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後輩に稽古~名古屋から大阪にやって来ました:桂三実


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桂三実さんの野望をつづるエッセイ、『名古屋から大阪にやって来ました』。今回の野望は「後輩に稽古」なのだそう。でも、稽古をつけられるほど上手になりたい、というわけではないと桂三実さんは言います。さて、真の目的は?

この野望が叶う日が訪れるよう応援したいですね。じっくりお読みください!

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後輩に稽古

さて今回お伝えする私の夢は”自宅で後輩に稽古をつける”です。

落語は先輩が後輩にお稽古によりネタを伝えることで次の世代へと受け継いでいきます。この人にこのネタを教えていただきたい!となり、お稽古のお願いをし、了承を得ることができたらいよいよお稽古が始まります。

お稽古の場所は天満天神繁昌亭など様々ですが、先輩師匠のご自宅ということがあります。私も何度かご自宅にお邪魔したことがありますが、稽古部屋のようなお部屋へ通していただきます。

そこには落語の本やDVDが並べられ、まさに宝の山で気分は高揚します。(気になってる女の子の部屋に落語のDVDがあればキンキンに冷めます笑)。他に雑貨やフィギュアなどその方の趣味趣向が垣間見れます。

お稽古が終わればお茶とお茶菓子を呼ばれることも。あるときは奥様がいらっしゃることがあり、緊張で鳥肌がスタンディングオベーション状態です。結婚を考えてる彼女のご両親に結婚のご挨拶に伺うときはこんな緊張感なのでしょうか。お稽古をつけていただいた上に御馳走にもなるなんておもてなしの中で溺れ死にそうです。

若手からしたらご自宅を後にするまで緊張と感動の連続です。

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さて私も後輩に自宅でお稽古をつけてみたいというのが今回の夢です。目的は普通ですとは落語の稽古ですが、私は違います。真の目的は”後輩にセンスがあると思われる”です。

後輩が来ると決まったら棚に並べてある映画や音楽のDVD、本、漫画をせっせと入れ替えます。観たことないタランティーノ作品を一目散に買いに行き、そしてそれを縦ではなく横に置きます。

勉強してると思われたら恥ずかしいので落語やお笑い芸人のようなストレートに直結する本は全部隠し、でも多少なりとも勉強してるとは思われたいワガママ三実ちゃんは落語に近い狂言と戯曲と活弁の本を並べます。

この間稽古のネタのことなんて微塵も頭にないです。

雑誌『POPEYE』に載ってるお洒落アイテムを掻き集め、お香を焚き間接照明を照らし額縁に入った知らない国の子供が落書きで書いた自画像を飾ります。稽古に来た後輩に何か質問されたら、”あぁそれ?タモリさんが良いって言ってたらしいよ”と言っておけば応急処置で腑に落とし込めます。もしくは”新作創るときの参考資料で”と言えば間違いないです。

稽古終わりはダイニングテーブルに招き、奥さんが事前に用意した珈琲とお茶菓子を2人で食べます。ここで肝心なのは奥さんは用意だけして決して後輩の前に姿を現さないということです。後輩の間で”三実兄さん(師匠)の奥さんはお茶菓子は出すけど姿は見たことがない”と噂になり、桂三実あるあるゲームで誰かの”奥さん顔見せない”の答えが一番ウケて欲しいです。

あ、こんなこと考えてる場合じゃない。今度のお稽古までに早くネタ覚えないと…

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