タイトルでピンときた方は猫好きです。月亭天使さんによる『猫と銭湯と私』第8回は猫回です。今回は猫にまつわる落語会について。猫好きなら思い切り楽しめる会なのだそう。
その思い切り楽しめる会について、月亭天使さんの視線を通じて解説していただきました。もっと猫が好きになること間違いナシです。お楽しみください。
2月22日
皆さんは、2月22日がなんの日か、ご存知でしょうか。
ご存知の通り、フランス二月革命が始まった日であり、シャルル7世、ジョージ・ワシントンの誕生日でもありますが、2月22日、つまりニャンニャンニャン!ということで猫の日でもあります。
そんな2月22日は、全国各地で猫に関するイベントが行われています。天満天神繁昌亭でも猫を家族とする落語家が集まり、猫の日落語会を数年前から開催しています。
猫とロックを愛する月亭遊方師匠、常時30匹以上の猫を飼う笑福亭右喬兄さん、愛猫めんちぼうるちゃんの人気がすごくめんちオリジナルグッズを販売している桂米紫兄さん他、猫を愛する落語家が、猫が出てくる落語や猫になっての大喜利、漫才などを披露し、猫好きなお客様がそれを楽しむという趣向の落語会です。
他にも趣向を凝らした落語会はあるものの、この猫の日落語会ほど、他の落語会と雰囲気の異なる落語会も珍しいと思います。
まず、チラシが違います。
普通の落語会では出演者の写真がデデデーンっと載りますが、猫の日落語会では出演者の芸名と飼い猫(私の場合、飼い猫きなこが既に他界しているため、きなこに天使の羽根を書いて頂いています)の写真が載ります。
そして注意事項に「未就学児・ペットの入場はお断りします」との一行が…。いやいやいや、ペット連れてくるなんて、そんなやつおらんやろぉ~と、大木こだま師匠が言いそうですが、実際、「うちの子(もちろん、猫ちゃん)、連れて行ってもいいでしょうか」との問い合わせがあったそうです。いくら愛猫でも、客席にたくさんの猫ちゃんがいたら、威嚇することもあるやろうし、飼い主の元から逃げ出した時ニャア、落ち着いて落語を聞いてられやしないでしょう。
反対に、「猫ちゃんは出演するんですか?」と聞かれることもあるそうで、そんな芸達者な猫ちゃんがいたら、私が食わせてもらいたいにゃぁと妄想が膨らむ次第ですが、残念ながら猫の着ぐるみを着た落語家が出演するぐらいのものです。
しかし、開場時には猫のお面を被ったお茶子さんや全身タイツの猫姉さん(毎年、遊方師匠の奥様が全身タイツに猫のお面を被ってくださいます。というか、奥様の方から全身タイツを着させてくださいと打診があります。奥様は全身タイツが好きらしいです)がお客様を出迎えます。
お客様は猫好きなので、猫のお茶子さんや猫のお姉さんと、皆さん、写真を撮られます。
私たちはチラシに写真が載ってないからでしょうか。
あれ?素通り?気づかれてない?
という感じで、少しだけ凹みます。けど、猫ちゃんの可愛さには誰も勝てないので、仕方がないのです。
開演後、すぐに、出演者と愛猫の写真がオープニングVTRとして、流れます。
お客様は猫好きなので、猫の写真が映るだけ盛り上がります。
あれ?私ら、落語やらんでもええんちゃうん?
と、若干の不安がよぎりますが、そこはそれ、猫好き同士、猫あるあるで落語も演芸も大いに盛り上がり、猫の日落語会は開演から終演まで、お祭りムードに包まれます。
好きなものが同じ人間が集まり、それについて語るというのは、本当に楽しいですね。
ただ、数年前、猫大喜利をやった際、カリカリの味を当てるというゲームがあり、カリカリを食べたことがあります。美味しいとか不味いとかではなく…
まだまだ、猫ちゃんにはなれないなと思いました。
来年、2021年も2月22日に天満天神繁昌亭にて猫の日落語会を開催予定です。猫好きはもとより、犬好きの方にも来て頂けたら、嬉しいなと思います。