千葉県出身、千葉県在住のマグナム小林先生。愛するプロ野球球団はもちろん千葉ロッテマリーンズです。そのマリーンズとファイターズの試合を観ている際、とても気になる打者がいたそう。この打者が実に粘る粘る。この打者とは……。
マグナム小林先生の鋭い観察眼が今回も光っています。バイオリン漫談家による野球談議、今回もお楽しみください!
粘る男
先日、ファイターズ対マリーンズの試合をテレビで見ていて、ファイターズの西川、近藤が打席に立つととにかく粘る。1試合で二人で40球以上、マリーンズの投手に投げさせていた。二人で四球が3個。いずれも2ストライクに追い込まれてから粘っての四球。まさに奪った四球である。相手投手のダメージは非常に大きい。
二人とも2ストライクまでは取れる。でも、そこからが大変。落ちる球、外に逃げる球は一切振ってくれない。際どい球、投手からしたら仕留めたと思う球はことごとくファール。最後は根負けして四球というわけだ。ホームランバッターが警戒されて出す四球とは訳が違う。
私も捕手をしていたから分かるが、2ストライクまで追い込んだのに粘られて四球になると本当にダメージが大きい。いっそのこと、初球にホームランを打たれた方が気分的に楽(苦笑)。球数を気にする現代野球なら尚更だ。
だからと言ってこの二人が初球から打たないかというとそういう訳でもない。ストライクを取りにいけば、ホームランこそあまりないが、長打を打たれる。塁に出せば西川は盗塁もある。近藤に至っては落合さんのシーズン最高出塁率越えを狙える数字。ほぼ二打席に一回は塁に出てる。相手からしたら本当に厄介な打者だ。
彼らはファールを打つ技術も練習してるだろうし、括弧とした自分のストライクゾーンを持っている。だから落ちる球や外に逃げる球を振らない。
見送り三振を怖がっていないのも大きい。日本の野球は見送り三振を極端に嫌う。間違いではないけど、それだと狙い球の徹底が出来ないし、自身のストライクゾーンもブレる。そうなるとボール球を振って相手を楽にさせる。特にいい投手を攻略するには、狙い球を徹底させるために見送り三振もOKにしないとなかなか打てない。
西川や近藤のような打者の攻略法は本当に難しいけど、仮に追い込んだとしたら、右投手ならインコースへのカットボールかスライダー、左投手ならインコースへの落ちる球かな。アウトコースはカットしやすいし、ボールも見やすいからボール球をなかなか振ってくれない。インコースでもストレートならカット出来るから、食い込む球か落ちる球で攻めるしかないだろう。その投手のウイニングショットの精度が試される。ただ、左投手は左打者のインコースに落ちる球を投げたがらないけど。理由ははっきりとは分からないけど。
他のチームだとホークスの中村晃と長谷川も同じタイプ。本当に嫌な打者だ(苦笑)。
そして今、この粘りをチーム全体でやろうとしてるのがマリーンズ。今年の四球の数は12球団一。安打数は12球団最低なのに、出塁率は12球団一位。これは、先程言った、2ストライクに追い込まれたら際どい球はカット、ボール球は振らないというのが徹底されてる証拠。
首脳陣が口で言うのは簡単だけど、それをチーム全体で徹底させるのは、本当に難しい。実際に出来てるのはマリーンズだけなのだから。まさにこれが今年のマリーンズ好調の要因でもある。前半に球数を投げさせて、中盤から後半にかけて攻略するという試合を何度も見た。もちろん選手も凄いけど、徹底させた首脳陣は素晴らしい。この粘りが最後まで続けば、リーグ優勝も夢ではない!
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