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パイオニアとフロンティアの話~猫と銭湯と私:月亭天使

月亭天使

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お待たせしました。今回は天使さんの馴染みのある京都にある銭湯のお話です。
当時の思い出や、そこでの落語会。読んでいるだけで風景が浮かんでくるようです。
天使さん独特の雰囲気を楽しみながらお読みください。

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パイオニアとフロンティアの話

京都錦市場のすぐ近くにある錦湯。
その銭湯の二階に住んでいたのは、当時、京都住みます芸人だった月亭太遊でした。

錦湯は外観からして、とても目をひきます。
近代的な河原町通りを一歩入ると現れる、昭和2年から創業する町家造りの外観。
観光客も歩をゆるめ、思わず、立ち止まってしまうぐらい。
なのに!なのに!京都の大学へ通っていたはずの私は全く知らなかったのです。(涙)

大学が伏見稲荷大社近くの龍谷大学だったため、あまり、河原町や烏丸へ遊びにくることがなかったと言うのもありますが、なんだか、とても損した気分です。

学生の頃、サークルのみんなで入りにきたかったなぁ。

しかし、8年ほど前でしょうか。京都住みます芸人(現在は、大分住みます芸人)である、同じ月亭一門の太遊くんが、錦湯の大将・長谷川さんと知り合い、二階に居候すると共に定休日に落語会をやり始めました。

錦湯の大将・長谷川さんは、落語会以外にも、お風呂にDJを呼んで音楽イベントをやったり、様々な企画をたて、銭湯が街の社交場となるよう仕掛けている方です。

現在はコロナの影響もあり、落語会自体、自粛している状態ですが、錦湯の落語会だけでなく、京都の様々な銭湯を巡る落語会「ちゃいちゃい寄席(ちゃいちゃいと言うのは、京都の言葉で「おふろ」のこと)」は、長谷川さんがいなければ成立しなかったといえます。(また、再開できるといいなぁ)

そんなわけで、錦湯の定休日を利用して、落語会を始めた太遊くん。イベント名は「ネオラクゴ・フロンティア」。(ネオラクゴは太遊くんの造語で、太遊くんのやる落語は、ネオラクゴなんです)

お風呂屋さんやし、フロンティア。お洒落やね~。

そして、毎週、一本新作ネオラクゴを創り、ネタおろしをすると言うルールを自らに課した太遊くんは、本当に毎週、新作落語をネタおろししていました。
料金は投げ銭で、毎週、いろいろな若手が入れ替わりで出演。もちろん、落語家だけでなく、漫才師やピン芸人や占い師?も。

普段の落語会は、先に木戸銭を払わないと落語を聞けないけど、投げ銭という形だと、とりあえず、どんなもんかなぁ?と足を運んでくれる人がいたり…、また京都は学生の街なので、芸術や文化に敏感な学生さんが来てくれたり、なかなかフロンティアな雰囲気でした。

私も普段の落語会ではできない新作落語をやらせてもらったり、ちょっと長めの大ネタを試したり、実験的なことができる場所でしたが、何より錦湯独特の懐かしい空間とお客様の面白いことを見届けようという雰囲気がとても好きでした。

男湯の脱衣所に不揃いの座布団を並べ、脱衣所のテーブルに漫画や本を噛ませて高座を作り、太遊くんの選んだエスニック調の幕を高座の後ろにかける。そして、長谷川さんが番台に置いているジャズCDのメロディーに合わせてでていく。

脱衣所だからかお客さんもなんとなく、のんびりした空気で拍手をしてくれてたような気がします。

錦湯の佇まいや脱衣所に並ぶ柳行李のおかげか、古典落語はもちろんぴったり似合うのですが、新作落語もすごく溶け込む、そんな感じでした。

ただ、ある時は落語の最中、黒電話がジリジリジリと鳴り、ある時は落語の最中、定休日やと知らないお客さんが、お風呂に入ろうとガラガラガラと戸を開けて入って来た後、台の上に座った人に対し、皆が聞き入っているのを見て、何やら宗教じみたものを感じ、後ろ向きで外にでて行ったり、いろんな事件がありましたが、冬の噺をしている時、「火の用~心~」の声とともに、拍子木が聞こえた時は、自分が、噺の中に入りこんでる気分になりました。

当時のまだ何もわからず、とになく、なんでもやってみたい!みたいな空気や周りに対しての苛立ちは、なんとなく学生時代の戻れない寂しさと甘酸っぱさにも通じるような気がします。

そんな思い出や記憶も含めて、また新たな気持ちでお湯に浸かりにいく。それが銭湯の楽しさでもあるような気がします。

京都の銭湯をまとめたサイト

錦湯 -風呂があっても行きたい銭湯-
『風呂が無いから行く銭湯から、風呂があっても行きたい銭湯へ』そんな錦湯を様々な角度からご紹介!
※錦湯での落語会の様子

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