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㉔晩年~師匠桂米朝と過ごした日々:桂米左

桂米左

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数々の偉業を成し遂げた桂米朝師匠も、他の人々と等しいものがあります。それは「時間」と「老い」。分かっていても辛いものです。そばにおられたお弟子さんの桂米左師匠は、身を切り裂かれる想いだったでしょう。

今回は残された時間で、桂米朝師匠と桂米左師匠がどう過ごされたかについてつづっていただきました。桂米左師匠の大切な思い出です。じっくりお読みください。

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晩年

家に居る時が多くなり、弟子もよく呼ばれ師匠の元に通うようになりました。

ある時家で飲んでいると師匠が「あのな、犬を飼いたいと思うんやけどな」てな事を言いはりました。その頃は奥さんが入院されていて、まァ寂しかったのもあるのではないでしょうか。

「どんな犬ですか」と聞くと「この辺をウロウロする小さい犬とかな…」なるほど、座敷犬か。昔は庭飼いで玄関に片足上げただけでも怒ってはった人が座敷犬やなんて。

しかしこれを良いですねてな事を言うと可愛がるだけで世話はしないと思い…当り前や師匠なんやから世話は弟子がするもんや…上手い事言うて諦めてもらわなければと考え、落語『鴻池の犬』の台詞を使い諦めてもらった。

「こなたが飽かずに世話をするというのなら飼うてやってもよいが」

ニコッと笑いはってそれ以降犬の事は言わなくなりました。

もう稽古を付けてくれる事もなくなっていましたがこれではイカンと思い、毎年の独演会で初演のネタを出しているのでその度ごとに無理矢理聞いて頂いた。

押しかけ稽古というやつ、それもこちらから一方的に下手な落語を聞かせるという、師匠にとっては拷問のような時間だったに違いない。

最後に聞いて頂いたのは『住吉駕籠』、亡くなる前の年でした。

『菊江仏壇』を聞いて頂いた時はサゲを言うた後に拍手をしてくれはりました。ビックリしました。けど米朝から手を取ったのは私だけではないかしら。

以前のようにあそこがこう、あれはこうと言うて頂く事はありませんでしたが、師匠に聞いて頂いたという事は演る時に自信になります。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

入退院も繰り返してはりました。

我々弟子が24時間交代で病室に詰めておりました。初めの頃は食欲もあり病室から買いに行かされました…餃子を…。

病室でニンニクの臭いさしてホンマに。まァこれも訳がありまして、高校野球中継のCMで餃子の王将がよく流れてましたのでそれかなと。サブリミナル効果だと実感しました。

この頃の看護ノートを見ると師匠の体調やお見舞の方の記載は当然ですが、今日の看護師さんは誰々さんやとか…いろいろしょーもない事書いてます。

89歳の誕生日を家で祝ったその月の末、最後の入院をしはります。

さすがにこの入院の時は餃子の注文もなく、ほぼ1日寝てはりました。

お見舞に行くと起きてはりましたらしょーもない話をして師匠に楽しんでもらい、寝てはりましたら側に居ました。師匠の側に居てるだけで嬉しかったですけどね…。

平成27年2月22日日曜日の午後、お見舞に行くと起きてはりました。なんじゃかんじゃ話をしても聞いてはるだけで師匠が話す事はありませんでした。

帰り際「師匠帰ります。今日2月22日何の日か知ってはりますか、肉弾三勇士が戦死した日です」と言うと「クックックッ」と小さい声で笑いはりました。ひょっとして師匠を最後に笑わしたのは私かな?

それから約1ヶ月…「あの日」を迎えます。

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米左師匠ご出演≪第24回桂米左独演会≫※開演時間変更になりました

第24回桂米左独演会は天満天神繁昌亭で4月20日に開催です。2階席に若干お席のご用意ができるとのことです。ご予約はお早めに。

まん延防止等重点措置のため、入場の際は大阪コロナ追跡システムへのご登録かお名前とご連絡先のご記入をお願いします。手の消毒とマスク着用もお忘れなく。安心安全のために、ご協力のほどをよろしくお願いいたします。

第24回桂米左独演会

日時:令和3年4月20日(火)18時開演、17時半開場 ※開演時間が変更になりました

会場:天満天神繁昌亭(大阪市北区天神橋2-3)

木戸銭:前売3000円、当日3500円

出演:桂米左、笑福亭生寿、桂天吾

お問い合わせ:k-rice.left@docomo.ne.jp 080-8504-5009(左(The)らくご事務局)