野球の世界一決定戦、ワールドベースボールクラッシック(WBC)が約6年ぶりに開催されました。第5回目となるWBCは侍ジャパンが優勝を果たし、コロナで沈んだ日本に大きな喜びをもたらしてくれたのは記憶に新しいことでしょう。
優勝の原動力は様々な方が解説しておられますが、マグナム小林先生はこう考えておられるよう。それは…?
今回もマグナム小林先生の筆が冴えています。じっくりお読みください。
マグナム小林流WBC回顧
日本が優勝出来た要因はいくつかあると思う。
まずは栗山監督という、いいか悪いかは別として、確固たる戦略を持った監督を据えたこと。山本浩二さん、小久保さん、悪くはないが、確固たる戦略があるようには見えなかった。戦略を持った監督は、選手を安心させられる。
そして有能なコーチを揃えられた事。特に決勝で一人も足を投手がいなかったのは、首脳陣の手腕によるところが大きい。名前で判断せず、徹底して適性と調子を見極めた成果だと思う。
そして一番のポイントと言えるのは、変に小技が得意という日本らしさに固執せず、長打力のある野手を揃えた事。前2回の準決勝での敗戦は、打てなかった事に尽きた。小技が使えても返す人がいなければ点にならない。そうそうチャンスは訪れないし、チャンスが来ても投手にギアを上げられたら、そう打てるものではない。少ないチャンスを生かすには長打力のある選手を揃えるしかない。準決勝、決勝で勝負を決めたのも、長打だった。恐らく今までの大会であれば岡本は選ばれるかどうか微妙なところだったと思う。選んだからこそ大事な場面で一発を打ってくれた。準決勝では8回に山川の犠牲フライで一点差に迫ったが、代打に山川や牧が控えてる事がどれだけ心強かったか。代打にも一発のある選手を置けたのも勝因だと思う。
これはこれからの日本の野球にも繋がると思う。長打力を身につける事こそが世界に通用する野球だと思う。
準決勝、決勝では投手が逃げずに向かっていっていた。それは中村のリードによるところが大きかったと思う。捕手のリードに不安を感じると、どうしても投手は逃げの投球になってしまう。日本シリーズでも感じたが中村のリードは、投手に自信を持って投げさせる事が出来る。中村起用を決断した首脳陣も素晴らしい。
最後にダルビッシュという精神的支柱がいた事。優勝した2回はその存在がイチローであり、優勝出来なかった時はそういう存在がいなかった。ダルビッシュは2009年にそのイチローの姿を見ていた。もう一つ言うと、北京五輪での失敗も反面教師としてあったと思う。あの時は最後、完全にチームが崩壊してしまった。そのどちらも見ていて、恐らく最後の出場となるであろう大会をどうしても成功させたかったのだと思う。合宿初日からの参加はチームとしてどれだけ心強かったか。
今大会、日本、アメリカはもちろん、メキシコ、ベネズエラ、プエルトリコあたりは、ほとんど実力の差はなかったと思う。一度、この5チームにドミニカを加えた6チームでガチのリーグ戦を見たいなあと思った。