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【取材記事】第105回 ヨセゲー「春宵一刻値千金-春先と桜の噺-」レポート

三遊亭遊喜

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2024年3月14日、東京・神保町にある「らくごカフェ」にて、「第105回 ヨセゲー『春宵一刻値千金-春先と桜の噺-』」が開催されました。今回は、春風亭鯉枝師匠、三遊亭遊喜師匠、春風亭傳枝師匠、柳亭芝楽師匠、 笑福亭里光師匠が出演。
「春宵一刻値千金」は、漢詩で「春の宵の一刻は千金の値打ちがあるほど素晴らしい」という意味。ヨセゲーの開催を通じて、季節の移り変わりを感じられますね。タイトル通り、今回のヨセゲーは春爛漫だったようです。それでは、早速「春宵一刻値千金-春先と桜の噺-」の様子を覗いてみましょう。

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あっちもこっちも春うらら

はじめは笑福亭里光師匠。おなじみの「みじかいらくご」で、会場を絶妙な空気に導き、お客様の心をじわじわつかんでいく里光師匠。洒落を利かせた一言で会場を笑いに誘う様子に、日本語のおもしろさに改めて気づかされます。

演目は『牛の丸薬』(がんじ)という一席。なかなか耳なじみのない「がんじ」という言葉。そこで、鶴光師匠に「がんじとは大阪の言葉ですか」と尋ねると「知らん。昔からがんじって言うねん」と一言。落語の世界のようなほっこりとした子弟のやりとりに、会場はあたたかい笑いに包まれ、噺が幕を開けます。

春到来。そろそろ片付けようと外に放ってた陶器の大和炬燵が雨に濡れてもはや土と化し、それをいじって丸めてみると、どことなく丸子に似ている…すると悪知恵が働いて金儲けを思いつき、友を連れて作戦実行に行くのですが…。道中には、れんげにたんぽぽ、菜の花が咲き、のどかな田舎の風景がゆらゆらと目の前に浮かびます。里光師匠は冷静な男とおしゃべりな友だちの性格の違いを見事に演じ分け、引き立つギャップに会場は抱腹絶倒です。

2人の行動は褒められるものではないのに、良い?! チームプレイと頭のキレるずる賢さに、なんだか納得させられてしまいました。

続きまして、柳亭芝楽師匠。楽屋で空気清浄機に向かって煙草をふかしている師匠方を傍らから見ていると、煙が機械に吸い込まれ…それがエクトプラズムのようだったとニヤニヤする芝楽師匠。その見立て方が芝楽師匠らしく、会場からは笑いが立ち込めます。もはやカオスなヨセゲーの楽屋!

演目は『卒業式の午後』。芝楽師匠が作られた新作落語です。学び舎や青春時代をともにした友との別れは、悲しさひとしおですよね。式典はもちろんですが、実は式が終わった後にいろんなドラマが待っていたりしますよね。ほら、第2ボタンをあげたりとか、もらったりとか…。
とある家族の卒業生である息子。何やら、卒業生本人より、母親の方が気が気ではないようで…根掘り葉掘り息子に問いただします。誰もが経験する「卒業式」だからこそ、お客様と「あるある」が共有できて、笑いが倍増されます。最後はもしかしたら卒業より切ない結末だったかも…ぜひツイキャスで、卒業生家族の顛末を覗き見あれ。

さて、お次は、春風亭傳枝師匠。コロナを経て、花見がなくなっちゃったよねと少し寂しそうに、日に4件も花見をはしごしていた時分を振り返る傳枝師匠。なんてタフなの! と思って聞いていると、「前座」の頃は修行期間で時間が制約される中、花見を通じてみんなでバカ騒ぎをするのがとても楽しかったとのこと。なるほど~、花見がいい息抜きになっていたのか、と、会場も納得のうなずきです。

演目は『花見酒』。仲の良い兄弟分が花見の場所で酒を売って儲けようと計画を立てる。だけど懐はすっからかんだから、番頭さんにお酒と釣銭を借りて、よっこらしょっと酒樽を担いで花見会場に向かうのですが…。

傳枝師匠の艶やかな声で、満開の桜、花見を興じる人々のにぎやかな雰囲気がぱっとそっくりそのまま現れたかのようで、会場に一気に陽気な空気が漂います。そこに加えて、落語の中からお酒のいい匂いがぷ~んと抜け出して香ってくるかのよう。仲良しの兄弟分も、酒の匂いに誘われて、あらあら、べろんべろんの酔っぱらいっぷり。2人がどんどんどんどん酩酊していく様子の描き方は実にお見事でリズミカル。こちらも一緒になって酔っ払い、なんだか、ぽわ~んといい心持ちにさせられてしまいます。

想像力をぐいぐい掻き立てて、リアルな世界と落語の世界をかき混ぜてしまう傳枝師匠の噺に、落語の醍醐味を感じずにはいられませんでした。きっと、帰り道にお酒を一杯、いや二杯とひっかけて帰られたお客様もいらしたでしょう。


ほろ酔い気分になったところで、お仲入り~。

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アンドロメダ星でも長屋でも、やっぱり春は風流な季節?!

仲入り後は、春風亭鯉枝師匠。ご自身の新作落語『地球レポート』をブラッシュアップさせた『刺青』をネタおろしされました。

地球を偵察するために、アンドロメダ星からやってきたアーミダバード。銭湯で出会った極道を生きる漢 渡辺さんにスカウトされ、刺青を彫りにいくことになるのですが…。
住む星が違うから、文化や常識が異なるのは当たり前で、2人のコミュニケーションにはズレが生じ、2人の会話は妙なリズム。そんな空気感がツボに入り、お客様は笑いっぱなしです。

異星人が地球を偵察にくるという意表を突く設定からして、会場の心を鷲掴みにした『刺青』。鯉枝師匠のたんたんとした語り口がより笑いを誘います。

アンドロメダ星人という外部の視点。アーミダバードの渡辺さんへの素朴な疑問の数々。普段自分たちが普通だと思っていることを外から見るおもしろさに気づかされました。

このネタのどのあたりが春かって? 実は、桜が吹雪いて風流なシーンがあるので、ぜひ、ツイキャスでアーミダバードと渡辺さんと一緒に、日本の春のわびさびをお楽しみください。

トリは三遊亭遊喜師匠。鯉枝師匠のアーミダバードが頭中に鳴り響き、危うく、自分のネタおろしを忘れてしまいそうになったと苦笑する遊喜師匠。会場からも、わかるわかるという笑いが起こります。チーム同士のいじりあい、良き同志であり、良きライバルでもあることが分かりますね。

ネタおろしされた演目は『長屋の花見』。貧乏長屋や戸なし長屋と揶揄される長屋。そんな悪口を払拭すべく、悪魔っぱらいだ~という、大家さんの誘いで、長屋連中が連れ立って花見に行くことになるのですが、あれれ、大家さんが用意してくれた酒や肴は…?

お世辞にも立派な花見とは言えないけれど、見立てた酒肴でワイワイガヤガヤ。もはやだんだんやけ酒状態になっていく様子は喜劇的で楽しそう。大きな事件すら起きないけれど、これぞ茶番劇というのかもしれないけれど、遊喜師匠ののびやかな声によって長屋の連中がイキイキして、お金を仰山使わなくても、工夫ひとつで、心持ちひとつで、楽しみは作れるんだなと、感じ入ります。ネタ中では『花見酒』につなげる場面もあり、ヨセゲーのおもしろさ、寄席の旨味ここにあり。

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良い春の宵で会場もほがらか

最後は恒例の集合写真。グッドスマイル、グッドにゃ~(といいつつ、みんなの手のポーズはバラバラ笑)をありがとうございます!

春爛漫、落語の魅力爛漫だったヨセゲー。
会が終わるころには、すっかり会場は春うららの如く、ほがらかな空気で満たされていました。会場に行けなかったよ~という方、リアルで参加したけどおかわりしたい~という方は、ぜひツイキャスをお楽しみください。

梅は咲いたが桜はまだかいな~。
みなさま、素敵な春をお迎えください。

さて! 次回のヨセゲーは…4月18日開催で、テーマは「お題織り込み噺」。お客様から出た「お題」を噺の中に織り込むという試み! スリリング! 一体どんな噺が、その場でできあがるのか楽しみですね。 会場も落語を創ることに加担できる、貴重な機会をお見逃しなく。

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■次回予告■
ヨセゲー #106【お題織り込み噺】
2024年4月18日(木)
開場:18:30 開演:19:00
当日:2500円 前売:2000円 ツイキャス配信:1500円
会場:らくごカフェ(東京都千代田区神田神保町2丁目3−5)

■ツイキャス落語会■
ヨセゲー #105【春宵一刻値千金-春先と桜の噺-
https://twitcasting.tv/c:yosege/shopcart/288231
配信期間3/14 19:00~3/28 23:59

■関連情報■
ヨセゲーメンバーの落語会のご案内です。楽しそうな会が盛りだくさん。ぜひお運びください。
※開催順  ※詳細は各落語会へお問い合わせください

「三三と若手」
出演:柳家三三、春風亭傳枝、春風亭朝之助
日程:2024年3月28日(木)
時間:13:30開場、14:00開演
料金:3000円(1ドリンク付き)
会場:らくごカフェ
予約・問合せ:らくごカフェrekugocafe@hotmail.co.jp、03-6268-9818

「三三と若手」
出演:柳家三三、春風亭里光、桂吉坊
日程:2024年4月11日(木)
時間:13:30開場、14:00開演
料金:3000円(1ドリンク付き)
会場:らくごカフェ
予約・問合せ:らくごカフェ rekugocafe@hotmail.co.jp、03-6268-9818

第13回 レインボー 新小岩落語会
出演:三遊亭遊喜
日程:2024年4月21日(日)
時間:①15:30~②18:30~ ※2公演制
料金:レインボーの入館料のみで観覧可能
   3時間コース1700円、通常コース2300円
会場:新小岩サウナレインボー
問合せ:新小岩サウナレインボー 03-3653-5122

伝枝のちょんちょん落語会
出演:春風亭傳枝、桂小右治、立川談幸、三遊亭遊馬、新宿カウボーイ
日程:2024年4月24日(水)
時間:17:30開場、18:00開演
料金:前売1500円、当日2000円
会場:お江戸上野広小路亭
予約・問合せ:上野広小路亭 03-3833-1789、傳枝 t_koinosuke@hotmail.com

亀有落語会 第27回
出演:笑福亭里光
日程:2024年4月27日(土)
時間:14:00開演
料金:2000円(学生1000円)、ドリンク&お菓子付
会場:藍ほーる(葛飾区亀有3-21-11)
予約・問合せ:やぎりん 080-5379-4929、yagirin88@gmail.com

第18回落語国領亭落語会
笑福亭里光の兄妹会
出演:笑福亭里光、笑福亭ちづ光
日程:2024年7月6日(土)
時間:18:00開場、18:30開演
料金:予約1700円、当日予約なし2000円(小中学生無料)
会場:Mermaid(調布市国領町4-47-9 ライオンズマンション調布第3の1階)
予約・問合せ:国領亭 関田 080-4270-3493、5rakugokai4652@gmail.com