夏の終わり、三遊亭はらしょうさんは気付きました。それは多くの人が気付いていないこと。そう。エアコンのフィルターの重要性です。いや、そんなこと知ってるという方も、最後まで読んでくださいよ。分かってるって?分かってます。でも、はらしょうさんが言いたいことはそういうことでなく…。
今回も三遊亭はらしょうさんの感性が光ります。じっくり(?)お読みください。
エアコンのフィルターを掃除せよ
エアコンのフィルターの重要性に、多くの人が気付いてない。
昔からテレビやネットなどでも散々言われてきた「フィルター掃除を定期的に」を実行している人の少なさに驚く。大抵、その理由を聞けば、
「めんどくさいから」
という答えが返ってくるのだが、そういう人は、そもそも何の為に掃除をするのか理解してない。
「掃除しないと、効きが悪くなったり、電気代があがってしまったり、一番恐ろしいのは、エアコンの寿命が縮まったりしますよ」
と俺が答えると、
「え~知らなかった~」
と、ちょっとだけ感動して、渋々、掃除をはじめる。
だが、理由を分かった上でも掃除しない人もいる。どうでもいい、と開き直っているならよいのだが、
「おい、効かないぞ。電気代あがっちまうだろ!」
と苛々するものだから、
「フィルター掃除をすればどうですか?」
と聞くと、
「え~めんどくさい」
と答える人がいる。
結構そんな人を見てきたのだが、毎回、この珍妙なやりとりをする度に、一体この人は今までどのように生きてきたのだろうかと心配になる。
仮に、俺がその人と同じ部屋にいたのなら、
「では、僕が掃除しましょうか?」
と、提案する。相手は一応、ありがたそうな顔で、
「じゃあよろしく」
と言う。
俺はすぐさまフィルターを外すと、網目には、いつから溜まっていたのかヘドロのごとき埃の塊が詰まっており、これを風呂場でシャワーをぶっかけて一気に洗う。主は、その様を見ながら、
「ほぉほぉ。こんなに汚れてたらそりゃあ効かないわなぁ~」
とようやく事の重大さに気付く。そして白くなったフィルターを見て、おきまりの一言を言う。
「わ~買った時みたいだ」
おいおい。買った時からこのフィルターを一度も見てないだろ!
しかし、その後、スイッチを入れたら、先ほどまでとは比べ物にならない涼しい風に、
「すご~い。こんなに涼しいのか」
と分かり易く感動し、おきまりの、二言目を言う。
「今度からはちゃんと掃除しよう!」
決意を固めているところ申し訳ないが、そう宣言して実行している人なら、そもそもこんなことにはなってない。要は、極度にだらしない人間なのであるが、掃除したこちらが感謝されているから、まぁ嬉しい。
だが、ごく稀に信じられないほどだらしない人間もいる。
それは、こちらが掃除しようと提案すると、
「え~めんどくさい~」
と答える人である。
その人は何もせず、数分後にはエアコンの効きが向上するのに、全くもって意味不明である。
「あの、僕が掃除しますから」
理解してないのかもう一度言っても、
「う~ん、めんどくさい」
と言う。
「でも、エアコンの効きが悪いままですよ」
と当たり前のアドバイスをすると、あろうことか、
「ええっ!それは嫌だな~」
と来る。
「だったら、掃除しますよ」
と二度目のチャンスを与える。いや、もしかしたら、こちらが与えられているのかもしれないが、ともかくそう言うと、
「いや、このままでいいです」
とうとう信じられないことを言いはじめる。ああ、ここまで来ると手の施しようがない。俺は我慢してその場にいるか、どこか安全な場所に移動するしかない。
昔は、エアコンは夏と冬しか動かさなかったが、今は除湿機能も付いている為、ほぼ年中作動させている。ここ数年、異常気象が続いており、このままいくと、数年後にはエアコンは冷蔵庫くらいの稼働率になりそうだ。近い将来、エアコンのスイッチを入れるのは設置した日で、あとは壊れるまで動き続けるという、第二の冷蔵庫のような家電になるかもしれない。そうなったら、人間が入れる『人間冷蔵庫』を作ってほしい。もちろん、冬は『人間炬燵』を希望する。
まぁ、そんな妄想の前に、フィルターを掃除しなくても効き続ける機能を作ってほしいのだが、そんな我まま言う前に、
「おい、とっととフィルターを掃除しろ!」
ということであるが。
