京都の各銭湯で行われている「ちゃいちゃい寄席」、月亭天使さんも様々な銭湯を回ったそうです。
銭湯ならでは、というより銭湯でしかできない?!落語会について月亭天使さんにつづっていただいています。人が集まる場所だからこそできる、小さくて暖かい空間がそこにありました。
お楽しみください!
ちゃいちゃい寄席
今はインターネットで検索したら、すぐに言葉の意味を調べられる時代ですが、落語でよく聞く『人寄り場所』という言葉、ググってもいまいち出てきません。
人が集まるところという意味だと思うので、人寄り場所でいいんですよね?
つまり散髪屋やお風呂屋さんのことを、人寄りばしょ~と落語の中では話しています。
昔は散髪を待っている間、碁や将棋をしたり、世間話をしたりしていたようですが、今の散髪屋で、顔馴染みに合うことはあまりないように思います。
今で言うと、喫茶店や飲み屋、もしくはSNSの特大掲示板やツィッターの中が人寄り場所になるんでしょうか。もしくは、単に人が集まる場所という意味なのか。
詳しい方がいらっしゃいましたら、ご教示いただけますとありがたいです。
さて、人寄りばしょ~(落語の中では、こんな風に発音してるんです)でもあったお風呂屋さん、銭湯、今はなかなか経営が厳しく、廃業に追い込まれるお店があとをたたないそうです。
各家庭にお風呂がある時代ですので、なかなか難しいところでもありますが、お風呂に入るだけでなく、近所の方との交流があるのが銭湯のいいところだと思います。
以前、京都・錦市場近くの錦湯の落語会については紹介させていただきましたが、その錦湯さんと同期の太遊くんが企画した、京都の各銭湯を回るちゃいちゃい寄席をやっていました。
ちゃいちゃいとは、京都弁で「銭湯」のこと。
各銭湯の脱衣所に即席の高座を作り、お客様は座布団に座って観る。
お客様はご近所の方々が多く、たまに大学生や留学生の姿も。
お代は、終演後に、風呂桶へ、好きな金額を入れてもらう投げ銭方式。
すでに、10回近く開催していただいている紫野の上野湯さんでは、終演後ではなく、先に投げ銭を入れてくださるお客様がいたり、また小学生の子供たちは折り紙に包んでおこづいかいを持ってきてくれたりと、私たちの方が暖かい気持ちで会場を後にすることがたくさんありました。
こちらも紫野の、むらさき湯さんも何回か落語会をやらせていただいていますが、毎回、大将の娘さんがキーボードで出囃子を弾いてくださったり、オープニングアクトでは大将が弾き語りをしたり。
しかも、譜面を譜面台に置くのではなく、奥様が目の前で持っていたり。
オープニングで、神田川を弾いてくださった時はお客様がしんみりしてしまったり(笑)
また、京都ではないですが、大阪門真の巣本温泉さんでは、大将がマジックを趣味してはり、私たちより、大将のマジックの方が大ウケだったり。
劇場とは違った落語会を味わえるのが醍醐味でした。
出囃子のCDがなく、携帯電話の小さい音で出囃子を流したり、女湯の高座に出て行くための通り道が細くて、なかなか通り抜けられなかったり、細かいハプニングもありましたが、やっぱり銭湯ですね。皆さん、水に流してくれはりました。
また、銭湯でのあったかい落語会が開催できると良いなと思います。
https://1010.kyoto/ 上野湯、むらさき湯