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【取材記事】第112回 ヨセゲー「リンク落語」レポート

三遊亭遊喜

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2024年10月17日、東京・神保町にある「らくごカフェ」にて、「第112回 ヨセゲー『リンク落語』」が開催されました。今回は、三遊亭遊喜師匠、春風亭傳枝師匠、柳亭芝楽師匠、 笑福亭里光師匠が出演。前の人が話した演目を自身の演目にリンクさせていく企画。即興力とアイディア力が試されるドキドキな企画ですが、見事に落語の輪がどんどんつながっていく、ヨセゲーならではの遊び心満載の会になりました。では早速『リンク落語』を覗いてみましょう。

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順番が運命を決める?!

リンク落語は順番も肝心。 遊喜師匠は後ろに末廣亭でのトリを控えているので必然的にトップバッターに決定。他のメンバーはフェアにジャンケンで勝った順番に2番手、3番手、トリにすることに。最初のジャンケンでは、傳枝師匠が勝って2番手になることが決定。




あとは、芝楽師匠と里光師匠の一騎打ち!
最初はグー、ジャンケンポン! 里光師匠が力強く握りこぶしを出したものの負けてトリ決定。

ということで、
一番手:三遊亭遊喜師匠
二番手:春風亭傳枝師匠
三番手:柳亭芝楽師匠
四番手:笑福亭里光師匠
この順番で落語をリンクさせていくのですが、はじめのお題となる演目はお客様から募ります。さすが、ヨセゲーのお客様はノリが良く、次々と演目があがり…その中から季節にぴったりな『目黒のさんま』がはじめのお題として決まりました!



さあ、遊喜師匠は一体何の演目を『目黒のさんま』とリンクさせるのでしょうか。遊喜師匠が準備をしている間に、傳枝師匠、芝楽師匠、 里光師匠が『目黒のさんま』の解説をしてくれたのですが、どうやら芝楽師匠が「リンク落語」のルールをうまく把握していなかったようで、みんなで芝楽師匠にルールを解説するという一場面も。これには会場からも「わかってなかったんかーい」と突っ込みをいれる笑いが起こり、場が一気にあたたまります。このグルーヴ感の中、いざ「リンク落語」スタートです。

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『目黒のさんま』からバトンを受けて…


トップバッターの三遊亭遊喜師匠が選んだ演目は『親子酒』。
父と息子がそろって大の酒好きのとある家。息子の身体を案じた父親が、二人で酒を断つぞ! と持ちかけ、男同士の約束をするのですが…10日も経つと…。

はじめはどっしり構えていた父親ですが、久しぶりの酒が入りだんだんと理性を失い、ぐでんぐでんになり悪態をついていく変化に会場は爆笑です。本当に頬が赤らんでくるかのように見えるのは、遊喜師匠のなせる業。酒ばかり飲んでいても口さみしく、やはり欲するは酒の肴…と、ここで登場!『目黒のさんま』。  キター! と会場は爆笑。 さんまのつみれ汁をアテに、あらあらあら…お酒がまだまだ進みます。呆れるほどの酒好きの様子がビシビシ伝わり、親子の酩酊に巻き込まれて会場もぐるんぐるんしてきてしまいそうな遊喜師匠のコミカルな熱演に、『目黒のさんま』とリンクするおもしろさがスパイスになって、聴き馴染のある噺もとても新鮮でおもしろさ倍増でした。

酒とさんま、おいしそうなリンクをかましたところで遊喜師匠は末廣亭へ。いってらっしゃい!

続きまして春風亭傳枝師匠。普段のヨセゲーは、事前にネタを決めるから、本番に向けて稽古ができるのだけど、リンク落語は準備できることが一切なくて、プレッシャーだけがのしかかってくるんだよ! とボヤく傳枝師匠。いつもなら和気あいあいとしている楽屋も誰一人一言も話さないとのこと。しかし、こうして仲間とこのような企画にチャレンジできるのは嬉しいと語ります。

さて、遊喜師匠の『親子酒』をどのようにリンクさせるのか。傳枝師匠が選んだ演目は『錦の袈裟』。若い衆が吉原に遊びに行くのに錦の褌を揃いでしめていくという趣向を思いつくが、与太郎の分がない。与太郎が女房に相談すると、お寺の和尚から錦の袈裟を借りればいいと入れ知恵されて…。

傳枝師匠が演じる与太郎は茶目っ気たっぷりで、心をつかまれますね。会場もそのかわいらしさとつぶらな瞳によってあたたかい笑いに包まれました。

さあ、ではリンクっぷりはというと、和尚のところに袈裟を借りに行くと酒のみの親子の法事話が出てきたり、吉原に行けば与太郎が殿様と勘違いされたり…ほかにも細かなところに『目黒のさんま』と『親子酒』を次々に絡みあわせます。それにしてもこの短時間で『目黒のさんま』『錦の袈裟』に「殿様」という共通点を見つけて見事にリンクさせてしまう即興性にびっくり。会場はどんどんリンクしていく様子にノリノリで大笑い。切り取り方と入れ込み方が秀悦で一枚のコラージュ作品が誕生したかのようでした。


ここでお仲入り~

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まだまだつながる! そこでつながる?!

くいつきは柳亭芝楽師匠。もうルールはばっちり把握されているはず。宇宙は広いのにこんなことをしているのはここだけですよと芝楽師匠。 いろんな落語会がある中で、いろんな生命体が存在する中で、今日ここにいる奇跡! ここにいるお客様の時間とお金の使い方は最高です! と、この瞬間の奇跡に感謝しつつ、さあ、リンク落語へ。

演目は『権助魚』。どうやら旦那がお妾さんを囲っているのではと疑う女房が、権助に小遣いをわたして旦那のお供をして相手の家を突き止めてくれと頼むのですが…。


旦那の褌が錦だったり、出かける先が目黒だったり、細かな描写、舞台設定に『錦の袈裟』『目黒のさんま』がリンク! 行き先を目黒にするあたりは、それがやりやすいよね~と、会場からは同意の笑いがおきます。先の噺がリンクすると、その噺の内容も一瞬頭をよぎり、重なってくるかのようで二重におもしろいですね。権助の豪快さといたずらっぽさは芝楽師匠にピッタリで噺にいい味をにじませ、最後まで会場を飽きさせませんでした。

トリは、笑福亭里光師匠。今回は、まくらのみじかいらくごはなしで、ズバッ! と本編に突入! 選んだ演目は『転宅』。ある旦那のお妾さんの家に入った泥棒。金をよこせと脅すのですが、どうやらお妾さんのほうが一枚上手なようで…。

すごみながらもどこか間抜けな泥棒と、落ち着き払って頭のキレる女・お梅のかけあいは、良い旋律を醸し会場をぐっと落語の世界にひきこんでいることが良く伝わってきます。特にお梅の表情の変化が豊かで、まるで変面のよう。そんなお梅の表情と堂々とした語りが先にあったからこそ、泥棒がひとりになってからのおどおど感が助長され、噺を一層盛り上げていました。

権助のしくじり、酒飲みの旦那、さんまのつみれ汁、目印に錦の褌…と『権助魚』『親子酒』『目黒のさんま』『錦の袈裟』とこれまでの噺がリンクしまくり! さりげなく、だけど、重要なポイントにリンクさせてくるのは、さすが里光師匠。
これまでの演目全部盛りに、会場からはすごい! という感動の拍手も起こり、最後は、ばっちり高座と会場がリンクしました。


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落語を楽しむ、落語で遊ぶ

どんどんどんどんつながっていったリンク落語も無事終演。リンク落語ならではの新しい落語が次々と爆誕しましたね。古典落語が企画ひとつでフレッシュな気持ちで楽しむことができることに驚きでした。こんなに攻めた落語の楽しみ方、落語の遊び方ができるのはヨセゲーだからこそですし、このチャレンジ精神が落語のこれからを切り拓いていくのかもなと思います。

最後はみんなで、いつも通り、ハイ、チーズ! おや、傳枝師匠の手には例の漫画が。これから読まれるとのことで、今度感想を聞いてみたいですね。

次回は11月14日で、テーマは「いたずら三昧」。遊び心たっぷりのヨセゲーに、もしかしたらぴったりなテーマかも?! 師匠方のたくらむ顔がすでに目に浮かぶようです。どんないたずらが飛び出すのか、次回もお楽しみに!



■次回予告■
ヨセゲー #113【いたずら三昧】
2024年11月14日(木)開場:18:30 開演:19:00
当日:2500円 前売:2000円 ツイキャス配信:1500円
会場:らくごカフェ(東京都千代田区神田神保町2丁目3−5)

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■関連情報■
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笑福亭里光師匠 https://twitter.com/rikoshoufukutei