三遊亭遊喜師匠の青春グラフィティ、第12回の公開です!大学進学のため、静岡県島田市から上京してこられた三遊亭遊喜師匠も、もう3年生。そろそろ就職活動をしなくてはなりません。時は就職氷河期のスタート地点。さて、三遊亭遊喜師匠はどういう決断を下すのでしょうか?
1990年代の空気感を思い出しながらお読みください。
どうする就職?
いよいよ大学生生活も後半戦。三年になると唯一の先輩2人が卒業してしまうので寂しくなると思っていましたが、めでたく墨田区出身のO先輩が留年したのでなんだかうれしくなりました(笑)。詳細はわかりませんが、ほんの数単位で留年したらしいです。
定期を買うのがバカバカしいからと、一度学校へ来ると学校の近所に住んでいた私のアパートに来て 数日間我がアパートに泊まるという同居生活がつづくことに。楽しい日々でしたが 危うく私が留年しそうになりました。
そんな先輩も就職が決まり、さすがに自分の進路も考えなくてはいけないと思うようになりました。が、 これがなんだかもやもやして、合同就職説明会らしきものに行ってみたもののどこの会社のブースにも行かず帰ってしまう日々。
うすうす気がついてはいたのですが 会社務めは向いていないのでは? 落語家になりたいけど まったく接点がないし 弟子入りってどうすればいいのかな? そんな日々。 先輩達に就職先の話や面接の話を聞いて会社務めも悪くないとは思ってはいるのですが、なかなか決心がつきませんでした。
親は地元に帰って就職するものと思っていたでしょうから、一応就職活動らしきものをしてみようと思い、理系出身にもかかわらず地元の結婚式場を経営している企業へ会社訪問。話を聞いてたらなんだか面白そうだと思い、その会社を受けることに。
書類審査の通過し、いざ面接へ。面接官が相当興味を持ってくれたのか色々質問されて、細かくは覚えてませんが面接官は爆笑してました。何回かの面接で内定をいただき、親にも報告。これで子育ても一段落と思ったのかもしれません。
一方当人は内定を貰っても、もやもや感は晴れないわけで。「これでいいのかな?」「これをやりたかったの?」「落語家になりたいんじゃないの?」「落語家はきびしいよな?」「無理かな?」、そんなことばかり頭によぎりながらも寄席に通っては、誰の弟子になろうかな?と考える日々。
四年生の夏休みに内定を貰った会社から、適正テストを受けてくださいとの言われました。受けに行き、結果を参考に配置する部署を決めるとの説明され「いよいよ進路が決まってしまうぞ、早くどうするか決断しなければ」。
暫くして会社から制服の採寸をしますので都合のいい時に会社に来てくださいと言われ、採寸したらもう進路が決まってしまうと思い内定のお断りをさせていただきました。理由を問われ、落語家になりますと伝えたら
「はい?」
「落語家に弟子入りします」
「え どなたに?」
「決めておりませんが 落語家になりますので内定を辞退させていただきます」
と伝えました。人事課の方には本当に申し訳ないことをしました。色々と経験をさせていただき感謝しております。
ここからはもう、弟子になるにはどうしたらいいか考える日々がつづきます。
今思えばこうなることは必然で、誰の弟子になろうかと考えているとはいえ、その時点で答は決まっていたのかもしれません。寄席に通っていて師匠小遊三がやけに気になっていたのは、そういう事だったのかということです。
次回はいよいよ師匠に弟子入り志願へ。次回もおたのしみに。