絵本の夢を追いかける!そんなイベントが開催されました。その名も「はなし画」コンテストです。落語と絵本のアニュアーレの一環で開催されました。令和4年9月24日に天満天神繁昌亭で行われた「三題噺王決定戦 1stラウンド」で披露された三題噺をモチーフに、観客が思い思いに「はなし画」を描きます。
令和4年10月1日~11月25日までに応募された「はなし画」は50作品。その中から入選と佳作が選ばれます。さて、どのように選ばれたのでしょうか?
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入選作品に小学生の作品も!
佳作の選考の前に、入選作の発表がありました。なんと、今回の入選作に選ばれた作品の作者は9歳の女の子、吉井乃有さん。クレヨンと水彩絵の具で丁寧に描かれ、堂々の入選です。描いた三題噺は森乃石松さんの落語です。お題は「おばあちゃん・海岸通り・車いす」でした。

選者の偕成社・西川稔氏は、吉井さんの作品の選評をこう寄せました。
前回同様パワーのある作品がひしめき、そのままWebアニメになりそうな作品も少なくなかった。だが反面、技術が上がれば上がるほど既視感のある絵柄になりがちだ。
その中で本作は決してうまい訳ではない。しかし完成品の一歩手前の魅力というべき力、一番想像をかきたてられる何かがあった。
噺家が紡ぐ物語をたった3枚の絵に納めるという事は、コマとコマの間を無限に想像させるという事だ。そこを一番評価したい。
入選はもう1作品あります。奥井絢心さんの作品で、選んだ三題噺は桂小鯛さん。小鯛さんのお題は「保証人・空中庭園・大きな穴」です。とてもポップで見るだけで心が躍ります。

選者のロクリン社・中西陽太郎さんは、奥井さんの作品へ以下のような選評を寄せました。
絵と文で構成されている絵本は、それぞれ程よい「間合い」が大事だと思っています。例えば、葉っぱが飛んでいる絵だけで、文章に書かずとも風が吹いているというのが伝わります。
一方、文章には「行間」を読む楽しさがあります。絵と文がお互いうまく補完し合えると、一層楽しい絵本になります。
この作品は、場面を細かく説明していません。その分余白があって、読者が文からイメージする範囲を残してくれているように感じられました。また決して子ども目線でなく、ありのままの独自のスタイルを感じさせます。その潔さも気に入りました。
これぞ!という作品に付箋を

入選作の発表後は、佳作の選考へ。審査員は、上方落語協会会長の笑福亭仁智師匠に演芸ジャーナリストのやまだりよこ先生、天満天神繁昌亭マネージャーの豊田昌継さん、建築家でツキイチ屋台女将を務める岸上純子さんの4名。
4枚の付箋を「これぞ!」と思った作品のそばに貼っていきます。一同、真剣な眼差しで作品を見つめます。



さて、どの作品が選ばれるのでしょうか。ドキドキです。
いよいよ審査発表

審査員4人全員から付箋を貼られた作品は、全部で6作品。あと2作品、佳作を選ばなくてはなりません。再度付箋が配布され、審査を行います。審査員は頭を捻りながら作品を選びます。
ついに佳作が8作品、選ばれました。選ばれた作品は、「落語と絵本のアニュアーレ」の公式HPで閲覧が可能です。1月27日(金)に開催される「三大噺王決定戦 決勝ラウンド」の会場、天満天神繁昌亭ロビーにも展示されます。この日に表彰式も行われますので、気になる方はぜひ会場に足をお運びください。

講評で「はなし画」に文字を入れる方が良いか、それともない方が良いかという話題が飛び出ました。あなたはどう思われますか?実際の作品をご覧になって、一緒に考えてみてくださいね。
全体的に見て、「はなし画」のモチーフに選ばれているのは、桂小鯛さんと桂三実さんの三題噺が多い傾向にありました。イメージがしやすい高座だったのでしょう。決勝ラウンドもこの2人から目が離せません。

三題噺王決定戦 決勝ラウンド

日時:令和5年1月27日(金)18時開演(17時半開場)
出演:森乃石松、桂ぽんぽ娘、桂小鯛、桂あおば、桂慶治郎、桂三実
会場:天満天神繁昌亭
料金:前売 2500円、当日 3000円
お問い合わせ:06-6322-4874(天満天神繁昌亭)