2022年5月の第1回開催を皮切りに、今回が4回目の開催となる「芸人魂」。寄席つむぎでもおなじみのマグナム小林先生を筆頭に、毎回さまざまなテーマで「寄席芸」の魅力を届けてきました。
今回は「演芸協会ものまね軍団vs.寄席芸特集」と題し、ものまねや漫才、幇間などバラエティ豊かなメンバーが揃いました。
5月19日(金)、お江戸日本橋亭にて行われた「芸人魂vol.4」の模様をレポートします!
幕開きから、客席は大盛り上がり!
この日最初の出演は、キラーコンテンツ師匠。登場から、客席は大きな盛り上がりを見せます。
長谷川師匠のお父様が競馬評論家・長谷川仁志さんである、というお話から、地方競馬・川崎競馬場で行われたレース「危険ドラッグ撲滅祈念杯」の話題へ。
このレース、過去に実際あったものなのですが、「危険ドラッグ杯」と言い換えたことをきっかけに、あらぬ方向に話が転がって……。
長谷川師匠から次々に繰り出されるボケに戸惑いながらも、和出師匠が心から楽しそうにそれを受け止める姿に、なんだか幸せな気持ちに。手を叩いて大笑いの客席です。
続いて、リトル清宮先生の登場です。その名の通り、プロ野球・北海道日本ハムファイターズの清宮幸太郎選手のものまねでおなじみですが、まずはビートたけしさんのものまねで『浅草キッド』をひと節。
そこからのフリップを使った「こんな○○はイヤだ」には、先を読みながらも気持ちよく裏切られ、心奪われる客席です。
さていよいよ、衣装の下から登場したのは……、日本ハム・清宮選手のユニフォーム!客席からは「待ってました!」の声も飛びます。
客席からのリクエストに応えつつ、形態模写を活かしながらさまざまなフードメニューを提供する姿に、「おお……!」と感嘆の声がもれていました。
続いては、幇間の松廼家八好先生。
なかなか拝見する機会のない幇間ですが、「どんなものか知っていますか?」の問いに「たいこもち?」と返す客席。「文化度が高い!」と褒められ(?)、みなさんの関心の高さがうかがえます。
15分という限られた時間の中で、幇間の所作についてや着物の着方などを知り、また手ぬぐいなどを使った芸を見せていただき、「なるほど!」「へえ!」と感心の声が。
時間の関係から「踊りはカットで……」との言葉には、思わず客席から「ええ!」「見たい!」。『深川』を披露していただきました。
さまざまな人物を演じ分け、先ほどうかがった知識も登場。その洗練された踊りに見惚れます。
続いて、映画『男はつらいよ』といえばのあの音楽にのって登場したのは、フーテンの寅さんに扮するゴジーラ久山先生。
「あんまり長くやると、似てないことがばれちゃうから……」とちょっぴり消極的に!?始まった15分間でしたが、めくるめくゴジーラ久山ワールドに圧倒されます!
曲間で衣装を変えたり、はたまた衣装をそのまま活かしたりしながら、寅さんから森進一さん、和田アキ子さんと、ノンストップで展開します。
コールアンドレスポンスにも大盛り上がりの客席。「最後の曲です」という言葉には、「ええー!」との声も。『あの鐘を鳴らすのはあなた』を雄大に歌い上げてくださいました。
後半も、ものまね・漫才・バイオリン漫談とバラエティ豊かに
仲入り後は、ふじきイェイ!イェイ!先生から。
ご本人が「今日は私のものまねの歴史のダイジェストだった」とおっしゃったように、小学校3年生のときに初めてやったものまねや、14歳のときに作り出したものまねなど、次々繰り出されるレパートリーに、息つく暇もない15分間でした。
この日お召しになっていたのは、レパートリーの中のお1人であるグッチ裕三さんから、ご自身の衣装だったものをいただいたというジャケット。ふじき先生の50歳の誕生日に贈られたものだと教えてくださいました。
「グッチ裕三さんの世界観を伝えたい」と語るふじき先生。グッチ裕三さんから直々に習ったという洋楽メドレーや、グッチさんがいつもディナーショーで歌うという『Only You (And You Alone)』から、その思いを感じ取ることができました。
続いて、宮田陽・昇師匠。今回の企画は「演芸協会ものまね軍団vs.寄席芸特集」、お2人の立場は漫才なのですが、ものまねがちょっとうらやましくなってしまう陽師匠です。笑
新型コロナウイルス感染症のお話からWBCのお話、ワインやソムリエのお話など、ノリツッコミをしてみたい陽師匠に昇師匠がツッコミながら展開していきます。きれいに決まったノリツッコミには大きな拍手が!
そんなときも、盛り上がった客席をすっと静めるお2人の空気感が抜群です。会話の切れ端がつながり、着地していく鮮やかさに見惚れました。
トリを務めるのは、この会の呼びかけ人でもあるマグナム小林先生です。
マグナム先生は「バイオリン漫談」でのご出演ですが、ものまねも――、ということで、バイオリンでさまざまな音まね=音の再現から。
大相撲の呼び出しや行司のまねには動きも付き、まるで本当に言葉を発しているよう!
『東京節』にのせたなぞかけでは、引退を発表したばかりの卓球・石川佳純さんや、休場から復帰し連勝中の照ノ富士関など、タイムリーな話題に感嘆の声が上がっていました。
『天国と地獄』の演奏には、客席から自然と大きな手拍子が。どんどん速くなるテンポに、圧倒されて思わず手が止まってしまう方、後れをとらず一所懸命拍手を続ける方など、反応はさまざま。
「早く止めてくれないと……!」と息切れのマグナム先生でした。
おわりに
東京演芸協会に所属するものまね芸人さんが増えてきたことで実現したという、今回の会。
ものまねだけでなく、漫才やバイオリン漫談、幇間など、「色物」とも呼ばれるさまざまな寄席芸をいっときに見ることができるのは「芸人魂」ならではだと感じます。
また、演者さんとのちょっとしたやり取りやコールアンドレスポンスなど、密な交流も、お江戸日本橋亭だからこそといえそうです。
演者さんの熱量が客席に伝わり、客席からも温もりのあるエネルギーを返す――。そんな幸せな対話を感じた2時間でした。
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