野球と切っても切れない関係のバットとボール。素材や形状によって飛距離が変わってくるのは、野球が好きな方ならご存知でしょう。草野球で楽しむ分には、どのようなバットやボールを使うのは自由ですが、プロ野球や高校野球には一定の基準があります。
今回はマグナム小林先生にバットとボールについて考察していただきました。木製バットが使われなくなった昨今、マグナム小林先生は何がベターだと考えておられるのでしょうか。
バットとボールの関係
今年の選抜から低反発バットが導入された。それ自体は悪い事ではないし、そもそも高校生が甲子園でバンバンホームラン打ってる事が異常なので、普通の状態に戻ったと言っていい。必要以上にバントバントといったセコい野球に走るのではないかというのが一番懸念されたが、それもなかった。今の指導者が進化してると言える。
よく高校野球を木製バットに戻せという人がいるけど、高校生の実力では木製なんて簡単に折れてしまうし、予算がいくらあっても足りない。折れないように練習しろというかもしれないが、今やってる8割くらいの高校生にそんな技術を求めるのは無理だ。ならば竹バットという人もいるだろうが、竹バットにしたら、弱い学校はほとんど点が入らないだろう。
かといって、今の低反発バットは値段がそこそこ張るらしい。難しい問題ではあるが、最大公約数的な妥協点として現状では低反発バットを使うしかないだろう。
逆に今の日本のプロ野球はこの3、4年飛ばなくなった。これはボールのせいだろうと思う。2011年に声高に低反発球が導入されたが、あまりに飛ばないので2013年に戻された。一時は戻ったが、近年、飛ばなくなったという印象が強い。低反発球が当時の中村や三冠王村上のように技術とパワー両方を兼ね備えた選手なら問題ないが、ホームラン20本前後の中距離ヒッターは諸に影響を受ける。飛ばない影響は打率にも出て3割打者が極端に減った。
ボールの飛ぶ飛ばないにも周期があって70年台後半から80年台にかけてはかなりボールが飛んでいた。70年台前半は圧縮バットの使用もありホームランが多かった。90年台にドーム球場が次々に出来たり、広い球場が増えてホームランが少なくなった。イチローに三冠王の可能性があったくらいだから。
00年台特に前半はかなりボールが飛んでいた。その最たるものが近鉄のいてまえ打線であり、城島、井口、福留、岩村などメジャーに行く野手も多かった。これらの選手はほとんどがシーズン本塁打330本以上を経験していた。そこで飛び過ぎるというので2011年に低反発球が導入された。
バットとボールの関係というのは非常に難しい。ちょうどいいというところがなかなか見つからない。そこには球場の広さというファクターも入ってくる。
飛び過ぎるのも確かにどうかとは思うけど、今の日本のプロ野球はちょっと飛ばなさ過ぎかな。1チームに一人くらいはホームラン30本打てる人が欲しいし、3割打者も最低一人は欲しい。難しい注文なのは分かるけど。