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【取材記事】第116回 ヨセゲー「冬の噺」レポート

三遊亭遊喜

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2025年2月13日、東京・神保町にある「らくごカフェ」にて、「第116回 ヨセゲー『冬の噺』」が開催されました。出演は三遊亭遊喜師匠、春風亭傳枝師匠 、柳亭芝楽師匠、笑福亭里光師匠、立川小談志師匠。立春を迎えても、まだまだ冬の寒さが残り、冷える日々…落語で冬らしい情景を楽しみながら、落語に出てくるあたたか~い食べ物のおかげで、ほくほくあたたかい会になりました。では、早速「冬の噺」を覗いてみましょう。

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冷える日は、酒にうどんに鍋にかぎる!

トップバッターは三遊亭遊喜師匠。遊喜師匠は、とある寄席の出番の日に足袋を忘れて小笑師匠に借りることに。お礼にとごはんをご馳走することになったのですが、足袋が何足も買えるじゃないか! という値段になり…以来、足袋は絶対に忘れないと誓ったそうです。

演目は『河豚鍋』。シゲさんが旅のみやげを持って世話になっている旦那の処に行くと、ちょうど良かった一杯付き合えと、酒と鍋をよばれることになったのですが、この鍋の中身というのが…ふぐ。どうやら二人とも食べたことが無いようで…。

ふぐを食べる食べないの押し問答、ダチョウ倶楽部もびっくりのゆずりあい、遊喜師匠の互いに様子をうかがう間のとりかたが逸品ということもあり、会場は笑いっぱなし。ふぐのうまさに気づく瞬間は「んまーーーっ」と、遊喜師匠の表情がなんともおいしそう。鍋からたちあがる湯気、グツグツとした音…そんな情景が目の前に広がって、一緒に鍋を囲んでいる心持ちにすらなりました。

さらに、まくらで大活躍した小笑師匠が、何と落語の中にも登場して大活躍?! するので、ぜひツイキャスでお楽しみください。まくらと本編をつなげる小粋な技はさすがの遊喜師匠です。会場も、ここで出てくるの! と爆笑でした。


続きまして、笑福亭羽光師匠の登場です。お馴染み『みじかいらくご』と最近の愚痴をこぼした里光師匠。そりゃあ、愚痴のひとつもこぼしたくなるよね、とヨセゲーのお客様のあたたかい包容力。ヨセゲーは、落語家さんと会場の心の距離が近い良い会ですね。

演目は『徂徠豆腐』。 儒学者の荻生徂徠は生活苦で3日間何も食べていない…空腹に耐えかね、豆腐屋の七兵衛を呼び止めて、寒空の下、冷やっこをぺろりとたいらげてしまう。あくる日もあくる日も冷やっこ…しかしお代はツケで一向に払ってくれない。理由を聞いた七兵衛さんは、怒るどころか心優しい人で、その日から徂徠に毎日おからを差し入れに行くのですが…。

七兵衛のいなせな風格でありながら、そこに覗く優しい人柄を見事に表す里光師匠。そんな優しい七兵衛の差し入れのおかげで元気になっていく徂徠の様子は、里光師匠が巧に声をあやつり、どんどん艶やかでハリのある声にしていくことで良く伝わってきました。
七兵衛を支える奥さんも寛大で、ピンチが訪れても夫婦二人で前を向いて立て直そうとする姿勢、そしてめぐりめぐって夫婦の元にかえってきた良い報いに会場も静かに感動していました。

情けは人のためならず。
人のため、自分のために親切な心、そしてありがとうの心を忘れないでいたいものですね。


お次は、春風亭傳枝師匠。笑福亭里光師匠が話した『徂徠豆腐』は元は講談。傳枝師匠は一龍齋貞心先生に稽古をつけてもらったとのこと。稽古の舞台裏のエピソードから貞心先生の楽しいお人柄が垣間見れて、会場もほっこりしていました。


演目は『うどんや』。冷える宵、うどん屋が流していると、随分と酔っている男が近寄って来て火に当たらせろと言いながら絡んでくる…。

酔っ払いという言葉を使わずに、呂律が回らないしゃべり方、あっちへこっちへゆらゆらふらふらする身体の動きだけで、うわ~めんどくさい酔っ払いに絡まれてる!ということが伝わってくる傳枝師匠の話しぶりはお見事。それと対照的にうどんやさんの冷静さも際立ち、2人の掛け合いのおもしろさが深まります。会場もループにはまる2人の会話に大笑い!
ようやく酔っ払いから解放されて、寒空の下を再び歩きだしたうどんやの描写は、冬の夜空に浮かぶ星々、そしてキーンとした冬の空気の中に冷たくこだまするうどん屋の声があまりにもリアルに想像ができました。


登場人物の様子だけでなく、それを囲む景色や情景をも想像させるのは落語の力ですね。

ここで、お仲入り~。

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寒さに負けない! 冬の噺はまだまだ続く

後半戦は、立川小談志師匠からスタート。ヨセゲーの翌日、ご実家に帰られるという小談志師匠。電車をいろいろと乗り継いでようやくたどり着くとのことで…いってらっしゃい、気を付けてという空気。ヨセゲーのお客様はやっぱりお優しい。

演目は『蔵前駕籠』。吉原に遊びに行く客を狙った浪士の追いはぎが蔵前当たりで流行り、暮れ六つを過ぎると駕篭屋はそれを怖がって蔵前を通らないことにしていたのですが、どうしても行ってくれと聞かない旦那が現れて…。


駕籠屋の番頭と押しの強い旦那の駆け引きは、小談志師匠の言葉の鋭さと見事な間合いで、どうなるどうなる、乗せるのか乗せないのか…と会場もあたかも現場にいるように惹きつけられていました。いざ、駕籠が出発すると、今度は追はぎはほんとに出るか出ないかとドキドキしてきて、ドラマチックな一場面を観劇している心持ちになりました。

小談志師匠の登場人物に命を吹き込むような話しぶりによって、肝がすわっている旦那と威勢のよい駕籠かきたちの性格がよく立ち上がっていたこともあり、江戸っ子の気質を目の当たりにできた一席でした。




トリは柳亭芝楽師匠。演目は『二番煎じ』です。昨年12月は『鼻レレ』、今年の初席は『南京玉すだれ』だったので、ヨセゲーでは久しぶり?!の落語です。

寒くて風が強く吹く夜。夜回りのために町内の旦那方が番屋に集まってきた。二手に分かれて、一方が回っている間は、もう一方は番屋の中で休んでいようということになるのですが…。

芝楽師匠の夜回りは、寒そう…風が肌を切るよう…早く火にあたりたい…と、聴いているこちらも極寒の中に身を置いている心持になってくるほど。誰もまともに掛け声を駆けたり、拍子木を打ったりができない中、なんとか前に進む旦那衆の心の中の、めんどくさいなとかさぼりたいなとか、そんな気持ちもうっすら見え隠れするような、人間の機微も良く伝わってきます。
無事に?!夜回りを終え戻ってきたら、案の定、酒は薬だと、体を温めるには酒だと…ちびちびとはじまります。先ほどの外の寒さから、今度は、旦那衆の酔い方と酒や肴のおいしそうな描写で、会場もあたたかさに包まれ、ほっと解放されたような雰囲気に。
ちびちびががぶがぶになり、だんだんと宴のような様子になった頃にやってくる役人さん…ヤバい、バレる!ごまかせ!という表情は、いつもいたずらな笑みを浮かべる芝楽師匠ご本人と呼応しているようでより臨場感もって楽しめました。

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落語を楽しんで春を待ちましょう!


あたたか~くておいしそうな食べ物がたくさん登場したので、なんだかいつもよりお腹が空いてきました。夕ご飯は何を食べようかな…と、その前に集合写真を! 今日はいつもより師匠方のテンションが高いなと思ったら、何やら手にはチョコレート。なるほど、今回のヨセゲーはバレンタインの前日だからお客様が差し入れしてくださったのですね。それは嬉しくてテンションがあがります。そして、やっぱり素敵なヨセゲーのお客様! 寒い冬に、ヨセゲーの会はぽかぽかでした。

さて次回は、2025年3月13日でテーマは「出会いと別れと新生活」。涙あり、笑顔ありの会になりそうですね。ヨセゲーで笑って、春の新しいスタートをきってください!

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■次回予告■
ヨセゲー #117【出会いと別れと新生活】
2025年2月13日(木)

開場:18:30 開演:19:00
当日:2500円 前売:2000円 ツイキャス配信:1500円
会場:らくごカフェ(東京都千代田区神田神保町2丁目3−5)


ツイキャス落語会 ヨセゲー #116【冬の噺
2/27 23:59まで
https://twitcasting.tv/c:yosege/shopcart/354699



■関連情報■
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春風亭傳枝師匠 https://twitter.com/den_shi
柳亭芝楽師匠  https://twitter.com/turunperon
笑福亭里光師匠 https://twitter.com/rikoshoufukutei