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⑧芸人は売れてなんぼ~師匠六代目笑福亭松鶴とわたし:笑福亭鶴光

笑福亭鶴光

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師匠の熱い志を受け継ぐのも弟子である一方、お茶目な部分をよく知っているのも弟子です。笑福亭鶴光師匠の師匠・六代目笑福亭松鶴師匠も名人の一面以外にもお茶目な部分があったそうです。

六代目笑福亭松鶴師匠がお茶の間でも親しまれるようになったきっかけ『どてらい男(やつ)』。この出演オファーがあった際、となりに鶴光師匠もおられたとのこと。さてはて、どのような経緯だったのでしょうか?お楽しみください!

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芸人は売れてなんぼ

噺家になったら一度は売れたい。

その為にはチャンスが来た時の為に引き出しを一杯持ってなければいけない。能狂言、歌舞伎、各演劇の鑑賞、古今東西の本(洋書も含む)を熟読。三味線、笛、日本舞踊などの習得。今起きてるニュースもチェック。

そして勿論、噺がうまい、面白い、センスが良い諸々。そこに若干の運も加わるかも。

でもマスコミの道から帰れずに藻掻く人も。それすらも気が付かない芸人が多数存在する。米朝師匠は40歳でマスコミはやめて落語道に邁進、そして文化勲章まで受賞した。

自分自身どこで気が付くかが分かれ道。

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松鶴が日の目を見たのが、ドラマへの抜擢。

関西テレビが『どてらい男(やつ)』と言う根性物を撮る事に成った。脚本は超売れっ子作家・花登筺はなとこばこ(女優 星由里子さんの夫)。主演が西郷輝彦、西郷さん歌手としての地位も落ち着いてそろそろ役者の道へ転向しょうと言う時期。

師匠の役は主役を支える経営のカリスマ、ニックネームが将軍さん。午後8時放映視聴率が30パーセント。輝彦さん役者としてのスターの道をド~ンと駆け上った。

それにつられて六代目もドン。

芸人は長い事やってると売れる事もある。
昔からよう言いますな、電気の球でも切れる前は一瞬明るくなるの例え。

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私その時の事良く覚えてます。場所は神戸の松竹座、今の喜楽館の近く。師匠退屈やから楽屋でテレビ見てはった。

その時画面に現れたのが一番弟子の仁鶴。NHKのドラマで『けったいな人々』と言うタイトル。我が師は弟子がテレビに出演するとやきもちを焼くんですな。

「この仁鶴の餓鬼ゃぁドラマに出てくさる、せやさかい落語がちょっとも上手くならんのじゃ、おい鶴光、お前は絶対ドラマなんか出るなよ」
「わかりました」

言うてる所へ関西テレビのプロデューサーが挨拶に来やはりまして

「師匠、関西テレビの方がお見えですが」
「何でしょうか」
「松鶴師匠、来年からどてらい男(やつ)と言うドラマにレギュラーでお願いしたいんですが」

師匠怒るかと思いきや
「はい、承知しました」ニコッ

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