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【新春企画】オジサンでも若手!三遊亭遊喜師匠にインタビュー

インタビュー

今月から『寄席つむぎ』でご執筆くださる三遊亭遊喜師匠。テレビ番組『笑点』でお馴染みの三遊亭小遊三師匠のお弟子さんで、静岡県島田市出身です。師匠譲りの軽快で竹を割ったような語り口は、ずっと聞いていたいほど心地の良いもの。

今回は三遊亭遊喜師匠に1月23日(土)に開催される「ヨセゲー」のお話を中心にうかがいました。オジサンだけど若手なのだそうです。お楽しみください!

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失われた20年、ずっと噺家

――遊喜師匠は令和3年で入門26年目に突入ですが、振り返ってみていかがでしょうか?

私が入門したころは、全然お客さんがいなくて。それなのに、入門志願者が多かった時代です。でも、ほとんどが辞めてしまって。その、辞めた連中は出世しているんです(笑)。きっと先見の明があったのでしょう。私は相も変わらず好きな落語をやっている感じで。

ーーバブル崩壊前に入っておられたら、ブイブイ言わせられたかも知れませんね。噂に聞くと、お車代だけで10万円もらったとか、楽屋弁当が漆塗りのお弁当箱だったとか。

私の世代は、見捨てられた世代なんですよ。バブル崩壊後に就職氷河期、その後はリーマンショック。俗にいう「失われた20年」ずっと噺家です。浮いた話がない(笑)。

――笑えん……。そういえば、笑福亭羽光さんも同じようなことをおっしゃっていました。

彼は同い年なんです。寄席では先輩後輩ですが、ひとたび外にでたら仲が良い。色々と刺激をもらっています。

――良いご関係ですね。そうそう、入門された年は、阪神淡路大震災やオウム事件があった年で。

世の中が変わった年でしたね。それでも頑張ってやっと真打だと思ったら、今度はリーマンショックです。大変だった。お客さんに声がかけにくい。これも乗り越えて「さあ、これからだ!」と思ったら東日本大震災です(笑)。

――大事件と共にある26年なんですね……。次の節目も何かありそう……。

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軽い噺をさらっとやって爆笑させたい

――この26年で思い出のネタはありますか?

私の師匠・小遊三から教わった『堀之内』でしょうか。前座のころに習いました。師匠・小遊三から「これがウケるようになったら真打だ」と言われていたのですが、なかなかウケない。

――『堀之内』、上方ではないネタですね。

粗忽者が出てくる軽い噺です。江戸落語では定番の。うちの師匠は軽い噺が得意なんです。よく人情噺が最上級に置かれがちですが、こういう軽い噺をさらっとやって爆笑をさらっていくのが良い。改めて「師匠、すごい」と思いますね。

――それはカッコイイかも。いわゆる「大ネタ」と呼ばれるものは、筋がしっかりしているからある程度聞けるような気がします。

でしょ。軽い噺でトリをとれたらカッコイイ。

――それは見たいなぁ。入門したころに思い描いていた噺家に、26年経ってなっておられますか?

なってない(笑)。今、48歳なんですが、若い頃は50歳前後になれば粋な噺家になっていると思っていました。いざなってみると、なっていませんでした(笑)。

――私も同じくです。今、43歳なんですが、もっと知的で落ち着いた大人の女性になっている予定だったんです。でも、全然落ち着けません(笑)。

そういうもんだ(笑)。

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同世代の若手真打が集まった落語会「ヨセゲー」

――遊喜師匠は若手真打ユニット「ヨセゲー」のメンバーですが、今年で何年目になられるのでしょうか?

何年目だっけ?60回はやっているので、7年かな。

――最初は9人でスタートして、今は遊喜師匠・伝枝師匠・芝楽師匠・里光師匠の4人で。

いやいや、4人固定じゃないんです。出たい時に出るフラットな感じで。よく出ているのが4人なだけで。「ヨセゲー」はテーマを設けるから、しばられたくない人は出ていないんです。声をかけたら来てくれますよ。

――今月は田辺凌鶴先生と三笑亭可風師匠もご出演されますね。

1月は顔見世興行みたいな感じでやろうかと考えています。

――楽しそう。テーマを決めるのは、何か意味はあるのでしょうか?

ただやるより縛りのある方が、良いプレッシャーがあって面白いんじゃないかと。企画モノでネタを覚えることもあるので、かけ捨てになることもあるですよ。もうやってないネタがたくさんあって。お客さんも貴重な1回になっています。

――そのかけ捨てになってしまったネタの中で、思い出に残っているものは?

ないなぁ。気に入ったらずっとやってるから(笑)。覚えた時に、体にいれるために寄席で立て続けにやることはありますが。

――本当に「ヨセゲー」1回1回が貴重なんですね。見逃したらアカン。

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世間ではオジサンでも若手

――上方には真打制度がないので、「若手真打」という言葉には耳馴染みがありません。40代後半のオジサンが若手……。

世間ではオジサンだね。でも、この世界では若手中の若手です。落語芸術協会会長の春風亭昇太師匠が60歳ぐらいなのですが、若手と呼ばれています。

――すごい世界ですね……。お孫さんがいても良い年齢なのに。

校長先生が退職する年齢ですよ。「ヨセゲー」は全員が60を過ぎた時にひとつふたつ「こういう事ができるようになったな」と思えるようになれたら良いと考えています。70ぐらいで芸に磨きがかかって、80ぐらいで枯れた芸、90で「まだ死なないのか」と言われたい(笑)。

――今すぐの結果ではなく、時間をかけてじっくりなんですね。「ヨセゲー」の見どころは、どこでしょうか?

今は二つ目ブームですが、若手真打の私たちも頑張っています。中年が汗をかいているところを見て、笑ってほしいな。すました感じではやっていません。オジサンたちも必死こいている。

――最後になりますが、「ヨセゲー」に興味を持っておられるお客さんにメッセージをお願いします。

コロナが起きてから、今来てくださるお客さんは本当に有難いです。無理せず来られるようになったらお越しください。今なら変に通ぶったオジサン・オバサンがいないので快適です!チャンス(笑)。

――ありがとうございました。YouTubeの『ヒソヒソ噺』も楽しみにしています。

らくごカフェでお待ちしています

今回は三遊亭遊喜師匠にじっくりお話をうかがいました。竹を割ったような軽快なお喋りに、普段上方に慣れている筆者はとても新鮮な気持ちになりました。

三遊亭遊喜師匠がご出演の「ヨセゲー#67」は、1月23日(土)に神保町・らくごカフェで開催されます。とても楽しい会ですので、ぜひお運びください!

ヨセゲー#67

日時:令和3年1月23日(土) 18時開演(17時半開場)※いつもと時間が違います

出演:三遊亭遊喜・春風亭伝枝・柳亭芝楽・笑福亭里光・田辺凌鶴・三笑亭可風

会場:らくごカフェ(東京都千代田区神田神保町2-3神田古書センター5階)

木戸銭:前売り1800円、当日2000円、ツイキャス配信1500円

ご予約・お問い合わせ:03-6268-9818(らくごカフェ)

       rakugocafe@hotmail.co.jp

                    yosegerakugo@gmail.com

執筆者
ふじかわ陽子

◆寄席つむぎ運営管理責任者・あど屋店長◆
コンテンツライター/DMデザイナー/メディアコンサルタント/時々声優
昭和52年広島県安芸郡海田町出身、近畿大学文芸学部卒
平成13年4月上方講談師に入門、平成19年11月病気休業、令和元年9月講談師を廃業、令和2年6月寄席つむぎをスタート。
幼い頃から喋ることと文章を書くことを好み、小学生の時に初めてミニコミ誌を発行。印刷物のレイアウトやデザインを独自に学び、芸人時代のチラシ・DMの作成は自身で。休業時代にはライティング技術を磨き、現在は「何を売るか」を文章で伝えることを生業とする。中でも求人広告は応募率100%を誇る。
猫と陸貝と神社が好き。

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