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㉓趣味~師匠五代目桂文枝と歩んだ道:桂枝女太

桂枝女太

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大好評!桂枝女太師匠のご自身の師匠、五代目桂文枝師匠との思い出コラム第23回です。今回は趣味についてつづっていただきました。上方落語界の中でも多趣味な桂枝女太師匠の趣味にも、五代目桂文枝師匠の影響があるのだそう。それは?

今回も秘蔵のエピソードが盛りだくさんです。お楽しみください!

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趣味

この「寄席つむぎ」で私は師匠である五代目桂文枝のことを書いてくれと言われ、自分の落語家としての歴史と重ねる形で我が師匠のことを少しでも思い出していただきたい、また覚えておいていただきたいという気持ちで書き連ねてきました。

ところが昨今のコロナ禍で、どうしても師匠の話題から外れてしまわざるを得なくなってしまいました。また私自身が感染したこともあり、コロナの話が続いたわけですが、今回からまた五代目文枝と私の話しに戻したいと思います。

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今回は落語家の娯楽や趣味について。

私自身は結構多趣味な方だと思っている。

幼い頃から音楽が好きで、小学生の低学年の頃はピアノ、中学生になってからはトランペットも習った。高校時代から三味線も習い出したし、噺家になってからはドラムも習った。現在でも津軽三味線を習っている。

ただピアノに関しては嫌で嫌で、とうとう熱を出して学校を休む事態に。

咳もくしゃみも出ないし鼻水も出ない。ただ熱が出るだけ。それも下がったと思ったらまた数日して出るといった具合。かかりつけのお医者さんが名医で「なにか習い事でもさせてますか」「はいピアノを習わせてますが」「それをやめたら治りますよ」。

治りました。やめようかという話しが出た途端に治りました。

病は気からとはよく言ったもの。

他にも気象に興味を持ち、中学から高校にかけての数年間、毎晩10時だったか10時20分だったかのNHKの気象情報というラジオ番組を聴いて天気図を書いていたこともあった。今でも天気図は書けますよ。

また子供の頃からクルマが好きで、すべての国産車を覚えていた。

しかしながら、どれもこれも中途半端というかものにならなかったというか、上っ面だけのことしかできていなかった。まぁ趣味というのはそういうものかも知れないが。

そんな中で中学から始めた落語という趣味が唯一ものになったいうか、はまり過ぎたというか、一生の生業になってしまいました。

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趣味が仕事になってしまうと、また別の趣味を持ちたくなる。このあたりのことはまた次回書くことにして、師匠である五代目桂文枝の趣味について少し触れておきたいと思います。

師匠は落語が好きで好きで落語家になったわけではなく、踊りに興味を持ち、先代の文枝師匠のもとに踊りを習いに行っていたところ、落語家を増やしたい師匠の思惑に乗るような形で落語家になっていったという経歴の持ち主。

その踊りを習った理由というのも、女性にモテたいという不純な動機からで、まぁそのあたりは落語家というか芸人に向いていたのかも。

若い頃の趣味がどんなものだったか知る由もないが、私が入門した頃の趣味はゴルフ。ハマっていた。たしかにその頃、昭和50年代というのはゴルフが大流行だった。しょっちゅうコンペやプライベートでゴルフ場に通っていて、私も運転手としてずっとお付き合いをしていた。ゴルフの日は朝が早いので正直嫌だったが。

師匠がプレイ中は弟子の私はクラブハウスのソファで寝ていた。一度だけ師匠のプレイに付いて廻ったことがあった。ただ付いて廻るだけ。正直いって行くのじゃなかった。上手な人のゴルフなら見ていて楽しいだろうが・・・。

あれは奈良の法隆寺カントリー倶楽部だったと思うが、何番ホールだったかティーショットが池越えのホールがあり、師匠がいきなり目の前の池に狙い澄ましたように打ち込んだ。後ろで見ていた私・・・こんなときはどう言ったらいいのだろうか、なんせ初めてのゴルフコース、思わずよそ見をしてしまっていた。

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それからしばらくして師匠が「おまえもゴルフやったらええ」。えらいことを言い出した。

とくにやりたいとは思わなかったが嫌ですとも言えず「ありがとうございます」。

「やれ」と言った以上、お古のクラブでもいただけるのかと思っていたが、「今度行くまでにクラブ買うときや」

ええっ!ゴルフクラブのセットを買えってか。一度もゴルフなんかやったことのない高校卒業してまだ間もない若者にとってゴルフクラブを買いに行くというのは結構な冒険ですよ。今と違ってネット通販なんてものもない。

飛び込みで入ったゴルフ用品店で色々聞いて、ハーフセットというのかな、通常より少ない本数しか入っていない、初心者用のものを買って何度か練習場へ。

その練習も当然師匠と一緒。師匠の前での練習といってもとくに緊張はしなかったのを覚えている。なんせ初めて。うまく飛ばないのは初めからわかりきったこと。その後コースにも連れて行ってもらって、だんだんとゴルフ場やゴルフそのものにも馴れてきた。それに有難かったのはプレイ料金や昼食代などすべて師匠が出してくれたこと。こんな言い方をするのはなんですが、当たり前といや当たり前・・・かな。

私の趣味にゴルフというあたらしい趣味が加わったわけだが、これも他の趣味同様、まったく上達しなかった。やっぱり一番最初に手ほどきを受けるときは、うまい人に習わなければ・・・。