日本ハムファイターズの斎藤佑樹選手と、メジャーリーグでも活躍された松坂大輔選手が引退をされました。甲子園を沸かせたお二方は、プロに進んだあとも何かと話題になったことは覚えておられるでしょう。
今回はマグナム小林先生にこのお二方についてつづっていただきました。引退が今年になった理由を分析してくださっています。野球を愛するマグナム小林先生の温かい眼差しを感じてください。
松坂大輔と斎藤佑樹
10/17が斎藤佑樹、10/19が松坂大輔の引退試合。二人の共通点はもちろん、同世代を背負っていた事。斎藤はそんなにプロで実績を上げてないじゃないかという人もいるかと思うけど、
斎藤佑樹という人間がいたので、この世代が注目されたのは紛れもない事実。そういう意味では世代を背負ったと言っても間違いではない。
世代を背負っているからこそ、簡単には看板を下ろせないという責任感みたいなものはあったと思う。ダメだからと言ってあっさり辞められてしまっては、同世代の選手からすれば「そんなに簡単に辞めてくれるなよ!」と思うに違いない。
そういう世代が過去にあった。江川さんの世代だ。あの世代は江川さんに勝つために野球をやっていたと言っても過言ではなかったと思う。
その江川さんがあっさり辞めてしまったのは、同世代にとって大きな喪失感があったと思う。実際、達川さんや遠藤さん、一つ下ではあったがライバルだった西本さんなとは口を揃えて、
喪失感はあまりにも大きかったという。まさに、そんなに簡単に辞めてくれるなよと思ったとか。江川さんがもう少し長くやっていたら、掛布さんももう少し長くやっていただろう。もちろん、退き際の美学というのはあるし、ボロボロの江川さんを見たくないというのもファンとしてはあるのだけど。
そうなる事を分かっているから、松坂も斎藤もまさにボロボロになるまで現役を続けたと思う。同世代の選手も松坂が頑張ってるから、斎藤が頑張ってるから俺も頑張ろうという気持ちになれたと思う。そういう意味ではイチローもあの世代は有力選手が多く、その世代を象徴する選手だったので、ボロボロになるまで責任を全うしたと言える。
普通の選手であれば、少なくとも2年前には辞めていたと思う。まだやってるの?と思うファンもいただろうが、当人たちも辞めた方が楽だったと思う。彼らは他の選手と違い、自分で退き際を決めなくてはいけない。野球選手である以上は辞めたくはない。しかし、現役を続けていていいのかという気持ちもある。この何年かはその葛藤の連続だったと思う。
今は背負った荷物を置いてホッとしてると思う。心からお疲れ様と言いたい。