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落語の定義~落語とは何か?:立川わんだ

立川わんだ

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落語立川流真打の立川わんだ師匠が寄席つむぎ初登場です!立川わんだ師匠には「落語とは何か?」について論じていただきます。記念すべき第1回は、「落語の定義」について。立川わんだ師匠は、オチのある話というだけではないと考えておられるよう。

読者の皆さんも、一緒に「落語とは何か?」を考えてみませんか?じっくりお読みください。

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落語の定義

皆さん、こんにちは。落語家の立川わんだです。

今回から、この”寄席つむぎ”でコラムを連載(月2回・全25回予定)させて頂くことになりました。よろしければ、お付き合いください。

テーマは、ずばり「落語とは何か?」です。日本で生まれたこの不思議な芸能である”落語”とは何なのか?”落語”という芸能を徹底的に考察したものは、意外とありませんでした。なので、これを徹底的に考察していきます。

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まず、”落語”の定義から考えみようと思います。

普段何気なく会話の中で”落語”と言ってますが、ちゃんと落語の意味を分かって使っているでしょうか?正確な意味を知らずに、何となく”落語”という言葉を使ってないでしょうか?「落語が好き」と言う人がいますが、「落語が好き」とは、どういう意味なのでしょうか?正しい表現なのでしょうか?

“落語”の定義は何なのでしょうか?

落語は、元々は”落としばなし”と呼ばれ、”落ち”のある話のことでした。しかし時代が進むにつれて、落ちのある噺の”滑稽噺”だけではなく、聴かせる噺の”芝居噺””人情噺””怪談噺”も出てきて、これらも落語と呼ばれるようになりました。

落語の意味する範囲が広がったと言えます。

これは、”ごはん”は最初はお米を炊いたものを指す言葉でしたが、のちに食事全体を指す言葉に広がったのと似ています。このように、学術用語と違って日常語は明確な定義がされず、時代によって意味する範囲が広がったり変わったりしていきます。

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しかし、「落語とは何か?」を考えるにあたって、私なりの”落語”の定義をしてみたいと思います。

まず、落語の説明として「落ちのある話」と説明される事がありますが、先程も言ったように、落語は滑稽噺だけでなく芝居噺・人情噺・怪談噺などの落ちのない話もあるので、この説明は十分ではないと言えます。

また、落語は昔から伝わってきた古典落語だけでなく、現代の落語家が新たに創作した新作落語も、日々生まれています。

では落語の定義は何でしょうか?

滑稽噺だけでなく芝居噺・人情噺・怪談噺も、また古典落語だけでなく新作落語も、落語と呼ぶならば、落語は話の内容ではなく、手法であると言えると思います。

つまり、落語とは、「一人の演者が座布団に座って、物語の登場人物をすべて演じ分けて物語を観客に伝える芸能」と言えるのではないでしょうか?

どうでしょうか?

これくらい細かく落語の定義をした文章は意外となかったのでないでしょうか?

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しかし、この説明ではまだ不完全です。似た芸能の講談との違いが分かりません。

落語と講談の一番大きな違いは、落語は極力演者本人の語りが出てこないように、なるべく話の登場人物の会話だけで物語を進めることです。落語はマクラでは落語家本人の語りで説明をしますが、本題の噺に入ったら、落語家本人の説明(小説で言うところの地の文)がなるべく少ない方がいいとされてます。一方、講談は語りの芸・ナレーションの芸なので、演者本人の説明がたくさん出てきます。

なので、あえて講談との違いを強調するなら、

落語の定義は、「一人の演者が、座布団に座って、物語の登場人物すべてを演じ分けて、なるべく演者本人の説明を入れないで、観客に物語を伝える芸能」と言えるのではないでしょうか?

しかし、これでもまだ不完全です。

落語にも「お血脈」「源平盛衰記」などの落語家本人の地の語りが主な”地噺”というのもあるので、落語と講談の境は曖昧です。

このように、”芝居噺””人情噺””怪談噺””地噺”などの新しいジャンルのものも、落語と呼ぶようになり、落語の意味する範囲が広がってしまった為、落語の定義をすることは困難です。

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少なくとも言えることは、落語とは話の内容のことではなく、物語を表現する手法だということです。どんな物語でも、基本的には落語にすることが出来ます。何でもいいのですが、例えば昔話の「桃太郎」でも「浦島太郎」でも「一寸法師」でも落語でやろうと思えば出来ます。

つまり”落語”は、”小説”や”漫画”や”アニメ”やや”芝居”や”紙芝居”や”人形劇”などのように、物語を表現する手段の一つであると言えます。

なので、逆に古典落語の演目の一つである「寿限無」を”小説”や”漫画”や”アニメ”や”芝居”や”紙芝居”や”人形劇”にすることも、しようと思えば出来ます。

落語とは、物語の内容のことではなく手段なのです。

しかし、ここのところを間違えて、落語を一部の古典落語の演目のストーリーのこととして語っている人がたくさんいます。

〈以下次回〉

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