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フリーの落語家の年収は?~日常ドキュメンタリー:三遊亭はらしょう

三遊亭はらしょう

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いつも楽しい時間を提供してくれる落語家。でも、その「楽しい」のかげで気にあるのは落語家の年収です。どうやって生活をしているのか、不思議な人もおられますよね。

その疑問を三遊亭はらしょうさんに答えていただきました。

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フリーの落語家の年収は?

えー、よく貧乏自慢の落語というのがありますが、それを喋っている芸人自身も、大変に貧乏な場合が多いようでして。

ある所に、三遊亭はらしょうというフリーの落語家がおります。

普通は、落語家であるなら、落語協会などの団体に所属していることが多いのですが、この男、どういう訳だか、色物団体の東京演芸協会に入っております。実話を新作落語にしたドキュメンタリー落語なる芸を発表していますが、その高座の様子から、一体、この芸人はどうやって生活しているのだろうという空気を、羽織のように纏っております。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

さて、今日はひとつ、この男の生活費の内訳を聞いててみようってんで、練馬にあります、はらっぱ公園へ行きました。


「こんにちは、今日は、赤裸々にお話して頂けるそうですね」

「ええ、包み隠さずリアルに言いますよ」

「しかし、なぜ、急に話して頂ける気になったんですか?」

「仕事が欲しいからですよ、当たり前じゃないですか」

「結構、出番が多くて忙しいイメージがありますが、えっ、違うんですか」

「全く忙しくありません、昨日も、一日中、ネトフリだけ観ていました、ちなみに今日もさっきまでネトフリ観てました」

「このあと、練馬のココネリで落語会ですよね?」

「ええ、ネトフリのあとはココネリ、ネトフリの映画がネタフリになることもしばしばありますが、お客さんは呆れて、ネタフリなんかします」

「最後のネタフリは、寝たふり、にかかってるんですか」

「すみません、落語をやってますと、インタビューでは駄洒落的な何かを求められてしまうもので、カットして頂いても大丈夫です」

「いえいえ、赤裸々に行きましょう、では、本題に入りますが、収入の内訳を教えて下さい」

「そうですね、では、毎月の独演会の話から始めましょう」

「えっ、毎月、独演会やってるんですか?」

「ええ、六~八回」

「待って下さい、それ、ココネリですよね?」

「はい、僕しか出てないので独演会だと言い張ってます」

「まぁ間違いではありませんが、ココネリはどれ位の時間やるんですか?」

「毎回、新作落語二席で一時間です、ちなみに入場無料です」

「えっ、いやいや、どういうことですか?」

「会場の決まりでお金が取れないんですよ」

「えー、毎月、無料で六~八回?意味が分からないんですが」

「これから、それをお話しましょう、こちらをご覧下さい」

その1「練馬駅ココネリ・内訳」

会場費1200円
開催数 平均6回 1200×6   7200円
毎月の会場費 7200円
毎月のチラシ制作代 3600円
あわせて、
毎月の経費 10800円
一年で12回あるので、10800×12 

一年で経費は129600円

平均客数3人 
平均おひねり3000円
3000×6  毎月18000円
一年で12回あるので、216000円
ここから経費129600円を引くと
216000円−129600円=86400円

ココネリの平均おひねり86400円

「以上が、練馬ココネリの内訳です」

「いやぁ~これは生々しい、平均年収ではなく、平均おひねりなのですね」

「ええ、月に六回、実際には八回の時もありますが、一年で独演会を80回近くやって、手元に残るお金は86400円位です」

「独演会80回!毎回二席で160席で86400円ですか!?失礼ですが、日本で開催してるんですよね?」

「練馬は海外だとでも?物価は同じですよ」

「頭がおかしくなってきそうになりました、しかし、年収が86400円では生きていけないですよね」

「勿論です、では、次にこちらをご覧下さい」

その2「寄席・内訳」

交通費PASMOで往復804円
出演料1000円 
手取り196円

寄席年間出演回 12回 196×12  2352円

東京演芸協会 年会費8000円 振込手数料165円
計8165円

一年で、5813円の赤字

「以上です!」

「いや、以上です、じゃないですよ、赤字になってるじゃないですか!」

「私の記憶が正しければ」

「いや、間違っていてほしいと願いたいですよ、なんですか、寄席の手取り
196円って!」

「嗚呼、交通費さえなければ」

「いや、嗚呼って、哀愁たっぷりの表情してますけどね、交通費がなくても、一回1000円って少なくないですか?」

「何言ってるんですか、ネタ時間は10分~15分ですよ、時給で考えて下さい、セレブですよ」

「前向きすぎますよ、結局、196円しか残らないんだったらセレブでもなんでもないじゃないですか、ちょっと待って下さい、赤字が5813円で、ココネリが黒字86400円てことは、年収が更に下がって、80587円!」

「ビンゴ!」

「当たった~!いや、喜んでちゃいけないでしょ、一体どうやって生活してるんですか」

「では、いよいよ、こちらをご覧下さい」

その3「バイト・内訳」

毎月、就労支援センターの講師のバイトで一回8000円

その他、スーパーマーケットのバイトで平均70000円

あわせて、毎月バイトで78000円
一年で、バイト代936000円

「以上です!これが、からくりですよ、ワハハハ~」

「笑ってる場合じゃないですよ、てことは、先程の芸人の年収80587円を足したら」

「はい、年収1016587円ですね」
「ほんとに日本に住んでるんですよね」

「練馬では生活出来るんですよ、冗談はさておき、それでは、最後に」

「良かった、さすがにまだ収入があるんですね」

「こちらをご覧下さい」

その4「その他の仕事・内訳」

一年に三回ある中野の落語会
出演料10000円×3=30000円

一年に二回位ある、20000円以上貰えるイベントなど
20000×2=40000円

一年に一回、地方巡業の黒字、平均10000円

その他の仕事・平均年収80000円

「パチパチパチ~!」

「いや、拍手しませんよ、てっきり、その他の仕事で大きな収入があると思ったじゃないですか!」

「ということで、すべて合わせて平均年収は、1096587円です、イヨッ!」

「まってました!じゃないですよ、じゃあ月収は90000円位ってことですか、

その内訳どうなってるんですか!?」

「おまたせしました、最後にこちらをご覧下さい」

その5「毎月の生活費・内訳」

アパート家賃48000円
光熱費 約10000円
電話代・ネット代・サブスク代 約15000円
保険料 約5000円
交通費 約5000円
食費7000円
スペシャル10000円

「以上です!安心しましたか?」

「しませんよ、いや、食費7000円も謎ですが、最後のスペシャルってなんですか?」

「これは、銀行に貯金がありますので、それを崩して食費の補助にあててるんです」

「失礼ですが、貯金はどれ位?」

「恥ずかしいですね、言うんですか、まぁ80000円ほどですかね」

「ほんとに恥ずかしいじゃないですか!」

「からくりは、こうです、その他の芸人の収入80000円を貯金して、それを崩してます、八か月しか持ちませんが」

「どこがスペシャルなんですか!」

「あとは、耐えるのみ!」

「はらしょうさん、こんな状況で、生きていけるんですか?」

「もっと銭が欲しい♪いかした女が欲しい♪欲しいものは山ほどある~♪」

「なんで長渕剛の歌を唄ってるんですか!」

「はらしょうは、芸人、執筆、俳優、司会、なんでもやりまります、よろしくお願い致します!」

チャカチャンチャン~♪

えー、いかがでしたでしょうか。本当にドキュメンタリーでしたね!

所で、ずっとインタビューしている私は一体誰なんだと気になった方も多いでしょう。これが推理小説なら、どんでん返し系のオチが用意されているのでしょうが、生憎、そんな気の利いたものはありません。

正解は、はらしょう自身が、はらしょう自身にインタビューしておりました。

常に自分を他人事のように俯瞰しているから、こうやって芸人を続けていられるのかもしれませんね。

皆様、はらしょうさんにお仕事あげて下さいね!

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