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【取材記事】第101回ヨセゲー「心機一転!ネタ卸しの会」レポート

三遊亭遊喜

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 2023年11月2日、東京・神保町にある「らくごカフェ」にて、「第101回ヨセゲー『心機一転!ネタ卸しの会』」が開催されました。

 前回、100回目を迎えたヨセゲー。新たな歴史を紡ぐ第一歩の今回は、「心機一転」。ヨセゲーメンバーのネタ卸しに立ち会えるとあって、期待が高まります。

 いったい、どんな会になったのでしょうか?

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101回目のヨセゲーは……

 最初に登場したのは、春風亭伝枝師匠。趣味や習い事のお話から、『欠伸指南』を演じます。

「あくび」の指南所を見つけた男。大口流欠伸(けっしん)道の師範からあくびの稽古をつけてもらおうと、友達を連れて出かけます。

 江戸っ子な男と、あくびというよりは芝居の指導をしているような師範。よく考えれば、いえ、考えなくても滑稽な光景なのですが、2人は大真面目。何をするにも極端な2人の掛け合いに、すっかり引き込まれます。

 自分以外の人がしているのを見ると、思わずつられてしまうあくび。
 会の始まりからの『欠伸指南』には戦々恐々(!?)でしたが、あくびしたくなる間も、もちろん眠たくなる間も一切ない、スピード感にあふれた一席でした。

 ちなみにマクラでは、ヨセゲーメンバーの子どものころの習い事も教えてくださいました。
 遊喜師匠が剣道2段の腕前ということはご存知の方も多いのでは。他のメンバーの気になる習い事は、ぜひ配信をご確認くださいね。

 続いては、柳亭芝楽師匠です。

 先日、フードコートで注文がうまくいかなかった芝楽師匠。「情報を伝えるのは難しい」と、あらためて実感したのだそう。

 また、伝枝師匠が話された食虫植物のエピソードを受け、「手のかかる子ほどかわいい」というお話から、『代脈』を演じます。

漢方の名医・尾台良玄の弟子・銀南はある日、良玄の代わりに代脈(代診)へと出かけます。医者としての礼儀作法を習った銀南ですが――。

 想像していた「手のかかる子」のはるか上をゆく銀南の登場に、客席は大爆笑。
 これは大変なことになりそう……。こちらの不安をかきたてる芝楽師匠の演じぶりは、いっそ爽やかさすら感じるほど。

 でも、銀南のように礼儀作法や言葉の「裏を読む」ことに頓着しない人の存在は、あるいは昔から「憧れ」だったのかもしれませんね。

 ドキドキはするけれどイライラはしない。そんな清々しい人物を、生き生きと演じられた芝楽師匠でした。

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後半は、人情噺を二席

 仲入り後は、笑福亭里光師匠から。『稲川』を演じます。

 101回目ももちろん、ヨセゲーで生まれた「みじかい落語」をマクラに。
 鍋料理の締めには日本蕎麦がおすすめというお話、ハロウィンの仮装のお話など、噺を聴きながら「そういうことか!」と思わず膝を打つ、見事な構成です。

大坂相撲で活躍していた関取・稲川。江戸へ出て横綱を目指しますが、勝ち続けても贔屓ができる気配はありません。ある日、気落ちする稲川の前に男が現れて――。

 終演後、今回『稲川』のネタ卸しをした理由をうかがったところ、「ちょうど習っていた噺だったのだけれど」を前置きした上で、「お客様のようすが硬いときにも演れる噺だから、勉強したいと思った」と教えてくださった里光師匠。

 確かに、『稲川』は時系列に沿って話が展開され、起承転結が明確。稲川の魅力がしみじみ伝わる里光師匠の語り口に引き込まれます。

 噺の途中で「(この噺は)笑いがない」ともおっしゃっていましたが、その行く末には客席から「ほお……」と感心の声があがっていました。

 トリを務めるのは、三遊亭遊喜師匠です。

 今月のテーマについて会議したころは、まだ暑い盛りだったそう。それゆえ(!?)夏の噺が2席に――、と笑う遊喜師匠。『唐茄子屋政談』を演じます。

遊びが過ぎて、勘当されてしまった若旦那。叔父さんの手引きで、唐茄子を売り歩くことに。初めての商売の日、ある親子と出会います。

「人情噺」はあまたありますが、こんなにたくさんの「人情」が絡み合った噺はなかなかないのでは。

 叔父さん、叔母さん、往来に集まる江戸の町の人々、そして若旦那の徳さん――。
 つながっていく優しさを、巧みに人物を演じ分けつつ語る様子が印象的。時折挟み込まれる小さな笑いとのハイライトも抜群でした。

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おわりに

 ひとつの会がすべてネタ卸しというのは、ヨセゲーにあってもなかなか珍しい取り組み。100回を数えてもなお、チャレンジを続けられる姿に敬服です。「1回1回の積み重ね」という言葉を、あらためてかみしめました。

 第101回ヨセゲー「心機一転!ネタ卸しの会」は、11月16日(木)までツイキャスでもご覧いただけます。
 次回・第102回ヨセゲーは「年末大反省会」。いよいよ、今年のヨセゲーも最後の1回となりました。ぜひ、ご一緒に味わいませんか?

ヨセゲー #102【年末大反省会】
2023年12月11日(月)
開場:18:30 開演:19:00
当日:2500円 前売:2000円 ツイキャス配信:1500円
会場:らくごカフェ(東京都千代田区神田神保町2丁目3−5)
https://twitcasting.tv/c:yosege/shopcart/260205

ツイキャス落語会 ヨセゲー#101【心機一転!ネタ卸しの会】
https://twitcasting.tv/c:yosege/shopcart/260202
11月16日(木)までご覧になれます。

 寄席つむぎでは、三遊亭遊喜師匠、春風亭伝枝師匠、笑福亭里光師匠のお3方のコラムや動画がご覧いただけます。併せてお楽しみください。

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