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楽屋マメ知識~上方落語家、東京で修業する:笑福亭里光

笑福亭里光

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一般的な会社とは全く違う形をしている落語の世界。今回はそんな落語界での楽屋で使われている言葉を笑福亭里光師匠に教えていただきました。


寄席に行くと必ず聞くあの言葉にはあんな意味が…!笑福亭里光師匠が実際に体験したエピソードも必見です。普段、落語を聞く人も聞かない人も楽しめること間違いなしです!

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楽屋マメ知識

こんにちは。笑福亭里光です。

僕らの世界で大事なこと。それは挨拶と時間を守ることです。ってか、それだけしかない。

時間を守る。

その時間にその場所にいなければ仕事が成立しない訳ですから当然ですね。

きちんと挨拶をする。

特に先輩にはちゃんと挨拶できないと「何だ、あいつは!?」ってことになる。まぁ僕としては後輩にちゃんと挨拶できん奴もアカンと思いますが。

一般の方は先輩のことをどう呼ぶのでしょうか?

「さん」付けなのか、役職で呼ぶのか。

僕らが先輩に付ける呼称は「師匠」と「兄さん・姉さん」の2種類しかありません。これはテレビなんかでも芸人が使ってるので、ご存じかもしれません。

東京は分かりやすいです。真打制度がありますから。真打ちには「師匠」と呼べば良いし、二ツ目までは「兄さん」と呼べば良い。

大阪は真打制度がないので、どうしてるんでしょう?芸歴が何十年も離れてればね、師匠に決まってますよ。微妙なラインの人にはどうしてるんでしょうね。

僕は大阪には居てないので、その匙加減が分かりません。

ちなみに僕は大阪で迷った時は「師匠」って呼ぶようにしております。

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面白いのが「兄さん」。

東京の落語界だけ「あにさん」なんですよ。他は「にいさん」。

何なんでしょうね。

これね、理屈でいくと「ねえさん」は「あねさん」でしょう?

入りたての頃、女性の芸人に「あねさん、ご苦労様です!」と言うたらエラい怒られました。「あたいは極道か!?」って。「あたいは」って・・極道やがな。

「ご苦労様」というセリフ。

一般には目上の人に使う言葉ではありませんね。

でも我々の世界では使うんです。これも何故なのか分かりません。

「おはようございます」という言葉。

芸能人もテレビで使ってるので、これもご存じかもしれません。何時でも使う。

以前「芸人さんは起きるのが遅いからですか?」と聞かれたことがあります。

これは柳昇師匠が生前に仰ってたんですが、楽屋に先に到着している人に向かって「お早うお着きで」という意味で言ったんだそうです。

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だいぶ脱線してしまいました。

元に戻そうと思ったんですが、字数が足りません。

ついでにもう一つ。

「トリ」という言葉。僕らは表向きは「主任」と言っております。

何故なら、この「トリ」という言葉は本来あまり良い意味がないんですね。

昔は芸人自ら番組を作ってたんです。お金(売上げ)も出演者で割ってた。

今でも寄席のギャラのことを「ワリ」と言ってます。

ところが主任の人は自分の責任でお客様を集めてるので、他の人よりは多めにしたい。

そりゃそうですよね。倍くらいは「取り」たい。

で「トリ」と言うんです。

おそらくこれはかなり真実に近いんではないかと思います。

よく紅白歌合戦で「今年の大トリは~」なんて司会が言うたりしてますが、「大泥棒」という意味になります。

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