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落語の入口になりたい!逃れられない環境の林家染八さんにインタビュー!【若手噺家グランプリ特集】

ふじかわ陽子

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上方落語界で最も「逃れられない環境」で生まれ育った林家染八さん。父は噺家の五代目林家小染師匠、母は三味線の入谷和女師匠。そして、叔母は桂あやめ師匠です。落語家以外になる道は考えられないと、幼いころから周囲に思われていました。

周囲の思惑通り落語家になられましたが、本当に逃れられない状態だったのでしょうか?その辺りも含めて、若手噺家グランプリへ向けた意気込みをうかがいました。

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落語界ってええな

――今年で入門10年目ですね。おめでとうございます。

有難うございます。今日がちょうど10年目です。(※インタビュー日は6月1日)

――私は小学生のころから染八さんを知っているので、感慨深いです。あのころから噺家になろうと思っていたのですか?

いえ、小学生のころはそんなことを全く考えていません。お小遣いが貰えるから受付の手伝いをしていただけで(笑)。

――そういえば、茶臼山舞台に行ったら必ずおられましたね。

そうですね。僕が小学3年生か4年生のころから、茶臼山舞台の受付を手伝うようになりました。今思えば、人件費削減のために使われていたんかもしれません。それから、なぜか受付をしてくれる子として落語界の方に認知され始め、全く面識のなかった方からも受付要員として声をかけていただくようになったんです。

――やっぱり、人の高座を見ているとやりたくなったのでしょうか?

ある方の初高座を袖から見させていただのがきっかけです。高座に上がる前にみんなから「がんばりや」と声をかけてもらっていて、この時初めて「落語界ってええな」って思ったんです。それにこの方が面白い人で、この人と仕事したら楽しいやろなと。それで噺家になろうと考え始めました。高校3年生の時でした。

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「勘ちゃん」から「染八」へ

――ご両親は最初から賛成でしたか?

親に話す前に高校の担任の先生に相談したんです。先生は「味方になるから」と言ってくださり、母も交えた三者面談で初めて母に話したんです。

――どうでした?寄席三味線の入谷和女師匠なんですから、そら賛成?

もう大反対!この子は大学にやってちゃんとした仕事をしてもらうと先生に言うんです。よく僕は「逃れられない環境」と言われていますが、母は逃そうとしてくれていた(笑)。先生は味方してくれると言っていたのに、「そうですね」なんて言うもんですから孤立無援。もうショックで、その場で号泣してしまいました。

――勇気をふり絞って先生に告白したのに、それは辛かったですね……。

帰宅して、母が父に三者面談のことを話てくれ、その後父と初めて将来について二人で話し合いました。次の三者面談は父が行ってくれることになり、父が先生に言ってくれたんです。「こいつがやりたいことをやらせてやりたいです」って。

――おお!さすが小染師匠!先生はなんと?

「そうですよね」って(笑)。

――手のひらクルクルやんか(笑)。よう骨折せんもんや。

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家族写真のための会

高校を卒業して、4月1日から見習い期間スタート、6月1日に正式入門になりました。

――実家を出られて、通い弟子ですか?

いえ、内弟子です。

――それって、実家に居続けただけやん……。

そうです(笑)。年季明けした日に一人暮らしを始めました。師匠は寂しそうでしたが、背中を押してくださいました。

――今、ご家族で一堂に会することはありますか?

あまりなくなっているので、家族写真を撮るつもりで6月14日に繁昌亭で会を開催します。ゲストに師匠であり父でもある林家小染、三味線は母の入谷和女。もう一人ゲストをお呼びしたいなぁ、でも落語やない方がええなぁと思って、叔母の桂あやめ師匠とほぼ家族の林家染雀師匠の「姉様キングス」にお願いしました。

――改めて聞くと、本当に逃れられない環境ですね。それはそうと、染雀師匠の「ほぼ家族」ってなんですか?

姉より会う頻度が高いんです。だから、ほぼ家族です。そういうことにOKもいただいています。

――家族写真ならカメラマンが必要ですね。

寄席つむぎでもお馴染みの、佐藤浩さんにお願いしています。

――佐藤さんなら間違いない。楽しみですね。

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優勝したら甲子園の年間指定席を!

――逃れられない環境を維持していただきたいので、染八さんの結婚相手も演芸界の方を期待してしまいます。彼女はおられないんですか?

いません。出会いがないんですよ。僕は趣味といったら野球観戦ぐらいしかなくて。球場に女性がいなくもないですが、たいてい旦那さんか彼氏が一緒ですし。

――まあ、そうですね……。

あ、そうそう。僕は若手噺家グランプリで優勝したら、賞金20万円で甲子園主催試合の年間指定席を買います。一番安いレフトスタンドが9万8000円で、ライトスタンドは11万円。2席買っても20万ぐらいなのでいけるかと。

――え?なんで2席なんですか?

若手噺家グランプリで優勝したら、多分仕事が増えるじゃないですか。行けない試合も出てくると思うので、代わりに行ってもらうためです。一人だと寂しいでしょうし。

――そういう気遣いはできるのに、彼女はおらんのか……。

今年はコロナで年間指定席の観客しか入れていないんですよ。ヤフオク!で転売もされていて、それの値段が高い。だったら、優勝して自分で買う方がええなと思うてるんです。

――それが出来るよう応援しています。

先輩の一言で楽になった

――いよいよ第7回若手噺家グランプリ、楽しみですね。

前回は決勝進出したことで満足してしまったので、2月の決勝戦は不完全燃焼でした。でも、ここ1~2年、ようやく落ち着いて高座に臨めるようになったので、いつも通り頑張ります。

――それまでは緊張してガチガチ?

はい。緊張すると、えずきが止まらなくなるんです。会の前にチラシの挟み込みをしていても、おえっおえっとなっていた。でも、ある先輩に言っていただいた一言で、だいぶ楽になりました。

――それは?

「いつも通りやって結果がでないなら、それが自分の実力」です。言われてみたらそうなんですよ。昨日今日すぐに面白くなるわけやなくて、いつも通りの積み重ね。こう言っていただけてから、いつも通りお客さんに楽しんでもらうことを大切に、リラックスしてできるようになりました。

――どんなお客さんに聞いていただきたいですか?

落語を知らない人にも楽しんでいただきたいです。といっても、落語を知らない人が何を面白いと思うかは分からないのですが。僕は落語村で生まれ育って、落語村の外の世界を知りません。どう伝えていくかも、今後の課題です。

落語の入口になる噺家になりたい

――落語を聞いたことがない人は、そもそも聞く機会がないんだと思います。

ですよね。だから、僕が落語の入口になるような噺家になれればと思います。例えば、お笑いだとダウンタウンさん。ダウンタウンさんが面白いから、周囲も面白いと思ってもらえる。それにダウンタウンさんは周囲を引き上げる力があるじゃないですか。僕もそうなりたいんです。

――「落語といえば染八さんを見たらおもろいで、染八さんの周囲もおもろいで」みたいな?

そうです。僕一人がおもろいんやなくて、周囲もおもろいと知ってもらいたいんです。それで落語以外にも最近挑戦しているんですよ。例えば、先日はCMのオーディションを受けました。残念ながら不採用だったのですが、別の世界が見られて一つ成長できたと思います。

――頼もしい。期待していますね。最後になりますが、若手噺家グランプリを楽しみにしておられる方へメッセージをお願いします。

M-1グランプリはお笑いを知らない方でも楽しめるように、若手噺家グランプリも落語を知らない方でも楽しめるお祭り。M-1に匹敵する面白さです。理屈やなく、一回見ていただいた方が早いです。おもろなかったらごめんなさい(笑)。

天満天神繁昌亭でお待ちしています!

今回はじっくり林家染八さんにお話をうかがいました。気づけば2時間半もお話をしていましたが、ほとんどが掲載できないエピソードです。掲載できなかったエピソードは、林家染八さんご本人にお尋ねください。その際は差し入れをお忘れなく。

林家染八さんご出演の「第7回若手噺家グランプリ」は、チケットの発売がすでに開始されています。お買い逃がしのないようお気をつけください。林家染八さんは7月27日にご出演です!

第7回上方落語若手噺家グランプリ2021予選会 

【動画配信】オンライン繁昌亭夜席 第7回上方落語若手噺家グランプリ2021予選会 一般発売 | チケットぴあ[演劇 寄席・お笑いのチケット購
販売終了/【動画配信】オンライン繁昌亭夜席 第7回上方落語若手噺家グランプリ2021予選会/一般発売(その他)をチケットぴあで今すぐチェック!

▲配信もあります

《予選第1夜》

日時:7月6日(火)17時30分(開場17時)

出演:桂小鯛「親子酒」/月亭天使「H亭の怪談」/桂華紋「八五郎坊主」/桂紋四郎「つる」/桂あおば「キザ男」/桂小留「壺算」/桂弥っこ「向う付け」/露の棗「運命の人」/笑福亭鶴太「平林」

*出演順は当日決定します。

《予選第2夜》

日時:7月13日(火)17時30分(開場17時)

出演:笑福亭喬介「寄合酒」/笑福亭生寿「鹿政談」/林家染吉「壺算」/桂鞠輔「正月丁稚」/桂恩狸「悋気の独楽」/露の瑞「平の陰」/笑福亭智丸「怪談が止まらない」/桂九ノ一「池田の猪買い」/桂笑金「ミスター・スメルバズーカ」

*出演順は当日決定します。

《予選第3夜》

日時:7月20日(火)17時30分(開場17時)

出演:露の団姫「残念さん」/桂そうば「代書」/桂咲之輔「皿屋敷」/露の眞「こぶ弁慶」/桂団治郎「七段目」/桂三実「師匠!」/月亭遊真「真田小僧」/桂おとめ「セールスウーマン」/桂二豆「悋気の独楽」

*出演順は当日決定します。

《予選第4夜》

日時:7月27日(火)17時30分(開場17時)

出演:桂ちきん「押し入れのラベンダー」/露の紫「狼講釈」/桂三語「二人癖」/桂二葉「天狗さし」/林家染八「八五郎坊主」/桂文五郎「七段目」/月亭秀都「茶の湯」/笑福亭笑利「千鳥の香炉」/露の新幸「つる」/月亭希遊「巻き舌職人」

*出演順は当日決定します。

会場:天満天神繁昌亭(〒530-0041 大阪府大阪市北区天神橋2丁目1−34)

木戸銭:前売1500円、当日2000円

お問い合わせ:06-6352-4874(天満天神繁昌亭)