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⑥中二病事件簿~東海道島田宿からお江戸へ:三遊亭遊喜

三遊亭遊喜

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渡辺くんのインタビュー

生徒会「最後の大会に向けて頑張っていますか?」

渡辺くん「はい、頑張っています」

生徒会「剣道部も顧問の先生が新しくなり新卒の若い先生になりましたがどうですか? 」

<おい、待てよ。ここまで柔道部と同じ質問だぞ! なんて答えればいいのだ>

<Kくんと同じでエロいですねー では面白くないしなー>

<ここは素直に感じていることを言った方が面白いかな?>

<でもちょっと毒があった方が生徒会も突っ込みやすいかな?>

そんなことを思いながら 降臨した言葉のチョイスが、

渡辺くん「いやー 頼りないですねー」

<ザワザワザワザワ>  

渡辺くん「剣道をやったことない顧問ですからねー 」

このあたりで突っ込んでくれれば、「経験者でも指導は難しいのに初心者が指導するのは大変なことですよ」と今なら言えます。しかし、インタビューする方もされる方もそんな技術はありませんから、イジるのも中途半端になり、異様な雰囲気に。身内には受けましたが、 先生方の顔つきが見たことないぐらい固まっていました。そこからは体育館がずっとザワザワ状態。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

壮行会が終わり教室へ戻る途中、Kくんと私は校長室へ呼び出され こんこんと説教。生徒指導の先生からは・・・・・(とても書けません)。両部の顧問がいない中で他の教師から「大会に出さないぞ」と脅され、 「これで終わりなのか」とほとんど諦めてました。

連帯責任で柔道部と剣道部の部員が廊下で立たされていましたし、まったく先が見えない状況でした

Kくんと目が合うたびに、「お前が余計な事いうからこんな事になっているのだ」と、お互いに目と目で会話をし、「これから俺たちどうなっちゃうのかな? 俺たちは大会出られなくなったとしても、他の部員は大丈夫なのかな?」と不安は募るばかりでしたが、この日はとにかく大会参加について後日検討するとのことで帰されました。

結果、剣道部は大会参加OK。柔道部はKくんだけ参加できませんでした。「エロいですね] で 最後の大会に出場できず、「頼りないですね 」 で参加できる。どんな基準だったのか? 謎です。いまだにKくんからは「あれは何だったのだ?」「お前がかぶせて本当のこと言ったからおかしくなったんだ」と責められます。

確かに 「エロいですね」 は嘘か本当かは曖昧ですが、「頼りないですね」は事実でしたから。去年まで剣道経験者が顧問で指導してくれていたのに、その先生が異動で他の学校へ。今年から新卒の剣道未経験者が顧問ですからね。学校も新米先生に顧問を押し付けた結果が生徒からの「頼りないですね」です。確かにそれは怒りますよ。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

人はいきなり本当のことを言われると怒るものなのだと、学びました。でも事実を言っただけで 嘘はついて無いから大会に参加できたのかな?Kくんは下ネタでかつ嘘かも知れない曖昧な発言をしたから参加できなかったのかな?

色々考えてもよく分かりません。所詮は当時の先生方のご機嫌でしかなかったかもしれません。「東京リベンジャーズ」という、過去に戻りその後の未来を変えようとする漫画がありますが、もし可能なら Kくんと2人でその時に戻り何が正解だったか確かめてみたいです。

そんなKくんは現在東京在住で、忘れた頃に私の落語会に現れ、打ち上げに参加して爆笑をかっさらっていき、落語家仲間からは最強素人して崇められています。

謎の多いKくんは「臓器売買でもしているのでは?」という問いかけに、「ない内臓は売れない」と発言。 それを聞いた時、「表に出してはいけない奴だ。あの時の先生の判断は正しかったのだ」と自分に言い聞かせるので精いっぱいでした。

結局大人になっても、2人の中二病は完治することはなく、この病と上手く付き合っていくしかないと決心し、周りの落語家仲間を巻き沿いにしていくのでした。

つづく

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