緊急事態宣言発出で一時は延期になった真打披露興行。演芸場再開の後は順調に開催されていきました。スタートは新宿末廣亭。その千秋楽の様子を笑福亭羽光師匠につづっていただきました。
笑福亭羽光師匠は何を感じ、何を思ったのでしょうか?一緒に感動を味わってください。
末廣亭千秋楽から浅草演芸ホールの初日へ
真打ち披露興行中、ネタを30席全て変える宣言をした。
末廣亭の興行は4人で順番にトリをとるので、トリ以外の日は持ち時間が短く10分の時もあった。トリの時は長いネタをやったり、客席にお年寄りが多い時には古典落語をやったり……と、自然と毎日ネタのチョイスに困らなかった。
末廣亭の千秋楽は僕のトリの日にあたり、僕は上方落語の大ネタ『はてなの茶碗』をたっぷり25分口演した。
その日のうちに、荷物を搬出し、浅草演芸ホールに運ぶ。翌日からすぐ浅草演芸ホールの披露興行が始まるのだ。そしていきなり僕は浅草演芸ホール初日のトリである。
浅草演芸ホール昼席は、末廣亭とは全く雰囲気も客層も違った。
一般のお客様が多い。他の出演者が「今日トリの羽光さんは……」と僕のエピソードを喋っても、あまり反応が無い。きっと、緊急事態宣言もあけたし、たまたま演芸ホールに来たら披露興行がやっていた……という雰囲気である。
そして、他の出演者が多いので、トリでも持ち時間は20分位しかない。
僕は、お年寄りは全く無視して若い人向けに『あるある帝国』を口演して初日のトリが終わった。