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第6回優勝・桂三四郎師匠にインタビュー!5回の挫折を乗り越え掴んだ栄光!【若手噺家グランプリ特集】

ふじかわ陽子

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いよいよ始まる若手噺家グランプリ。第6回優勝の桂三四郎師匠にお話をうかがってきました。優勝するためにしたこととはなんでしょうか?この優勝は誰に捧げた?

様々なことをお聞きしました。今回の注目落語家さんについてもうかがっていますので、要チェックですよ!お楽しみください!

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若手噺家グランプリは性格を悪くする(笑)

――第6回若手噺家グランプリ優勝、おめでとうございます!

有難うございます。6回出場して5回ダメだったので、ようやくです。僕だけやないかな、第1回から全部出場しているのは。やっと卒業できました。毎年、この時期が憂鬱だったんです。

――だいぶプレッシャーだったんですね。

そらそうですよ。予選で負けるのは嫌やし、手を抜くわけにもいかんし。ようやく肩の荷が下りました。色々考えて臨んでいるのに負ける……。なんでやねん!ってなりますわ。若手噺家グランプリのせいで、だいぶ僕は性格悪くなっていたかも(笑)。

――ええ!?

第5回の時、雀太さんが面白い演出をしようとしていたんですよ。めっちゃ面白くて、ええの思いついたなと。おもろいから、「止めた方がええんとちゃいます?」と言いそうになった。でも、おもろいって素直に言うたんです。そしたら、雀太さんが優勝で卒業されました。ポツンと残されました。

――「止めた方がええ」って言わなくて良かった……。ほんま性格悪くなりそうやったんですね。

そらそうでしょ。賞レースって優勝者以外、不満を抱くものです。どんだけ審査員の悪口を言うてきたか(笑)。酒飲んで大分くだまいて、たくさんの人に迷惑をかけてきました。それが優勝したら、浄化されました。全ての人と物に感謝です。

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師匠のために優勝したかった

――優勝できてほんと良かったです。

僕が優勝しなくちゃと強く思ったんです。第6回は特に。

――その理由は?

今年の1月に師匠の奥さんが亡くなられて、師匠の落ち込み方が激しくて…。緊急事態宣言発出中だったので、お手伝いにも行っていないんです。僕は東京なのもありますが。何か師匠を元気づけることをしなくちゃいけないと思い、一門で決勝進出した三実と一緒に頑張ろうと。

――伴侶の死は堪えますね……。

それに一昨年は三弥兄さんと三金兄さんが急逝されて、だいぶ師匠は凹んでいたんです。弟子として何ができるかを考えた時、師匠が提案した若手噺家グランプリで優勝する、これしかないと思いました。ちょうど僕と三実が決勝進出していましたし。

――優勝されて、文枝師匠はなんとおっしゃっておられましたか?

電話をかけたら、「優勝するなら三実やと思ったのになぁ。あのネタ、めちゃめちゃおもろかったやないか。扇の的?どんな風にやんねん?」ですって(笑)。

――文枝師匠なりの喜びの言葉でしょうか?

ええ(笑)。喜んでくださいました。やっと上向きになる出来事ができて安心しました。今まで何のお返しもできていない中、唯一恩返しができた気持ちです。

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賞レースがあることでレベルが上がった

――若手噺家グランプリの時は楽屋の様子も違いますか?

第6回は例年になくピリピリしていました。みんな、コロナで仕事がなくなっていますから、何とかチャンスをつかみたい。みんな本気です。トップのべ瓶さんからラストの三実までギラギラでした。あんなに緊張したことはありません。仲入り後の九ノ一くんが終わってから胃が痛くなって、優勝が決まってからも胃が痛い

――前年までは違ったんですか?

1年目は空気が重たかったです。2年目3年目も。客席もなんとなく重たかったですね。お客さんも緊張してはったんとちゃうかな。5年目からいい空気で上がれるんですけど、みんなめちゃくちゃウケてるからプレッシャーになって逆にやりにくくなってました。

――お客さんも賞レースに慣れていないんでしょうね。

上方の若手は、賞レースが若手噺家グランプリとNHK新人演芸大賞くらいしかない。ほんと、この若手噺家グランプリはあって良かった。比べられるのは悔しいけれど、それが力になっていると思います。出ない人がいるのはもったいない。先輩たちがやってくれているんやし、やっぱ出てほしいな。

――賞レースがあることで、上達する?

しますね。後輩たちも上手くなっていますもん。みんなどんどんウケていって、ハードルが上がっていっています。悔しい思いをするって大切なんやなと思いました。性格悪くならんように気ぃつけんといかんけど(笑)。

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賞を取るために考えたこと

――賞レースがあることで、稽古を重ねるということでしょうか?

それもありますが、工夫が入ると思うんです。僕は前回の決勝の前、三実から「たま兄さんの動画を見た方がええ」と教えてもらって、『落語のコンクールで賞を取る方法』を視ました。僕、1回たま兄さんにも負けているから、ほんまは視るの避けたかったんですけどね。視て目から鱗です。僕に足らんかったんはこれか!と。

――どのような点が参考になりましたか?

「笑いを取った上でプラスαがないと評価されない」が目から鱗でした。僕は今までおもろいだけのネタやったんです。例えるなら、5教科の総合点が大事やのに、僕は国語だけ満点を狙っていた感じです。そこから、色々と賞を取るためのことを考え始めました。

――どんなことでしょうか?

前回の決勝戦があった日は、2月19日源平合戦屋島の戦いがあった日です。その日に僕は旭堂南龍さんにつけていただいた『扇の的』を出しました。講談を落語っぽく直して、修羅場読みの場面はそのままで。たま兄さんの動画がなければ、僕は『扇の的』を出すことはありませんでした。優勝は、たま兄さんのおかげでもあります。

応援したい人はいっぱい

――色んなことを乗り越えての優勝だったんですね。

神経性胃炎にもなりました(笑)。優勝となってもずっと痛くて。結局2カ月ぐらい胃がおかしかったです。胃カメラも飲んだんですよ。

――えらいこっちゃ……。優勝できて本当に良かったです。今回、注目している出場者はおられますか?

うーん……。全員注目していますが、強いて言うなら団姫さんかな。第5回の決勝で負けてしまったとき、「お兄さんが評価されないのが悔しい!!」と激励のメールをくれたんです。彼女とはキャリアも1年しか違わないし、今まで色んなイベントを一緒にやってきました。応援したいですね。心情的にはもっと応援したい人はいっぱいなんですが、一人というなら団姫さんです。

――最後に若手噺家グランプリを楽しみにされておられる方にメッセージをお願いします。

賞レースのピリピリ感があるので、緊張感も楽しんでいただければと思います。推しの人もいるでしょうが、誰かを贔屓するのでなくグランプリ全体を楽しんでほしいですね。フラットに。僕はようやく今年は余裕をもって楽しめます(笑)。

――ありがとうございました!

天満天神繁昌亭でお待ちしています!

今回はじっくり桂三四郎師匠にお話をうかがいました。10数年ぶりにお話したため脱線の方が多く、記事にできないことばかり話していました。半分は書けないことです。書けないことをお知りになりたい方は、三四郎師匠に手土産を持って訪ねてください。

桂三四郎師匠は前回優勝されたため、第7回若手噺家グランプリへのご出場はありません。ご了承ください。

更新の励みになります。ご支援のほどをよろしくお願いいたします

第7回上方落語若手噺家グランプリ2021予選会 

ご確認ください|チケットぴあ
ご確認ください|チケットぴあ,チケット買&#12358...

▲配信もあります

《予選第1夜》

日時:7月6日(火)17時30分(開場17時)

出演:桂小鯛「親子酒」/月亭天使「H亭の怪談」/桂華紋「八五郎坊主」/桂紋四郎「つる」/桂あおば「キザ男」/桂小留「壺算」/桂弥っこ「向う付け」/露の棗「運命の人」/笑福亭鶴太「平林」

*出演順は当日決定します。

《予選第2夜》

日時:7月13日(火)17時30分(開場17時)

出演:笑福亭喬介「寄合酒」/笑福亭生寿「鹿政談」/林家染吉「壺算」/桂鞠輔「正月丁稚」/桂恩狸「悋気の独楽」/露の瑞「平の陰」/笑福亭智丸「怪談が止まらない」/桂九ノ一「池田の猪買い」/桂笑金「ミスター・スメルバズーカ」

*出演順は当日決定します。

《予選第3夜》

日時:7月20日(火)17時30分(開場17時)

出演:露の団姫「残念さん」/桂そうば「代書」/桂咲之輔「皿屋敷」/露の眞「こぶ弁慶」/桂団治郎「七段目」/桂三実「師匠!」/月亭遊真「真田小僧」/桂おとめ「セールスウーマン」/桂二豆「悋気の独楽」

*出演順は当日決定します。

《予選第4夜》

日時:7月27日(火)17時30分(開場17時)

出演:桂ちきん「押し入れのラベンダー」/露の紫「狼講釈」/桂三語「二人癖」/桂二葉「天狗さし」/林家染八「八五郎坊主」/桂文五郎「七段目」/月亭秀都「茶の湯」/笑福亭笑利「千鳥の香炉」/露の新幸「つる」/月亭希遊「巻き舌職人」

*出演順は当日決定します。

会場:天満天神繁昌亭(〒530-0041 大阪府大阪市北区天神橋2丁目1−34)

木戸銭:前売1500円、当日2000円

お問い合わせ:06-6352-4874(天満天神繁昌亭)