普段は公務員として働きながら、ボランティアで年に1回落語会を開催しておられる青年が東京で暮らしています。落GO!企画代表の郷進太郎さんです。
主に桂三幸師匠や月亭方正師匠が出演される落語会を今まで10回以上開催してこられたんですよ。昨年末、寄席つむぎにもお知らせ記事を出しましたので、ご存知の方もおられるでしょう。
今回はこの郷進太郎さんに、じっくりお話をうかがってきました。落語会を主催するようになるまでの紆余曲折は?お楽しみください!
小学生のころ出会った文枝師匠の落語
――はじめまして。先日は落語会情報を有難うございました。おかげ様でお知らせ記事なのに、たくさんの方に読んでいただけました。
あんな良い記事にしてもらえるとは思ってもみませんでした。色んな報道機関にプレスリリースを送ったのですが、記事にしてもらえたのは『寄席つむぎ』だけで。それもチラシを載せてもらえるだけだと思っていたんです。
――良い記事にならざるを得ないですよ。小学生のころに出会った落語の感動を、20代後半になっても持続できるなんてすごいですから。
本当に面白かったんですよ。初めて触れた落語は、文枝師匠の『妻の旅行』というネタでした。中学受験で煮詰まっていたころで、2007年の冬だったと思います。たまたま点けたケーブルテレビで放送されていたんです。品川のケーブルテレビか東京MXだったかな?「おもしろいオジサンがいる!」ってとても感動しました。
――それからどんどんと落語にハマっていく?
そうです。中学に入ってからは音楽プレーヤーを買ってもらったこともあって、ツタヤで借りた落語CDの音声を入れていって。古典落語から新作落語まで。三遊亭遊雀師匠の『堪忍袋』は覚えるぐらい聞き込みました。もちろん、文枝師匠の新作CDも全部聞いています。
――落語にハマったのは良いのですが、気になることが…。中学受験は無事に合格されました?
はい!おかげさまで。中高一貫校に入学が出来ました。これも文枝師匠のおかげだと思っています。
大須演芸場が好き過ぎて落語会を開催
――ええ学校に入れたようで安心しました。そしたら大学もええ大学に?
大須演芸場が好き過ぎて、名古屋にある中堅大学に進学しました。毎日、大須演芸場に行けると思ったんですが、合格発表があった直後に閉館のお知らせが出て…。2015年2月のことです。でも、すぐ復活してくれたので、初日は始発に乗って並ぶことができました。始発で行っても僕が一番最後ぐらい並んでいました。
――大須演芸場は名古屋のお客さんにとって聖地ですからね。朝から並ぶって熱いなぁ。
その熱いお客さんを見て、僕は思ったんです。「ここで落語会がしたい」って。すぐ大阪まで行って桂三幸さんに相談したんです。断られるだろうと予想していて、一晩中説得するつもりだったのに、あっさり「ええよ、やろか」と。5秒で決まりました。
――三幸師匠と信頼関係が築けていたんですね。
この時は、知り合って3年ぐらいでしょうか。高校生の時に、初めて東京から大阪まで深夜バスに乗って、当時三枝師匠の独演会に行ったんです。その時、初めてお会いしました。それからちょくちょくお会いするようになって、深夜のガストでオールすることもありました。
記念すべき第1回目の落GO!企画落語会
――三幸師匠からOKをいただいたあとは、方正師匠にも相談を?
いえ、三幸さんから「方正さん、呼ぼか」と言っていただけたんです。それからは大忙し。大学にあまり友達がいる方でなかったので、色んなところにチラシを貼らせていただいて、チケットを売りました。そのかいあって、179席完売です。東京からも友達が駆けつけてくれたんです。
――2016年11月27日「桂三幸・月亭方正ふたり会」ですね。当日のことは覚えておられますか?
ほとんど覚えていないんです(笑)。18時半が開演だったので、17時頃に名古屋駅で三幸さんと方正さんと待ち合わせをし、僕は友達と車で迎えにいきました。テレビで見る方正さんと同じ空間で過ごすことと、このあと初めて主催をする落語会ということもあってテンパりまくっていましたね。
――その緊張、分かります。その日の天気も覚えておられないぐらい緊張されました?
それは覚えています。大雨でした。そんな雨の中でも、お客さんが並んで待っていてくれたんです。今ならもっと良い対応方法が見つけられるのですが、その時は初めての経験ですし、スタッフも全員僕の友達で若い。それでもお客さんたちは温かい目で見守ってくれました。とても有難かったです。
――そのお客さんからの、落語会の反応は?
友達からは「すごい良かった!」と言ってもらえました。普段、落語を聞くことがない分、とても新鮮だったみたいです。
――良かった良かった。また次の年からも落語会を開催されておられますが、第1回目を終えてすぐ次の企画を考えられたのでしょうか?
いえ、僕はこれ1回で終わりだと思っていたんです。もう思い残すことはないと考えていたら、大須演芸場での会が終わって3日目でしょうか。三幸さんから電話がかかってきたんです。
落語への恩返し
――およ?なんと?
「次の東京公演どうする?」って。それから会場の手配をして、ずるずると沼にはまっていきました。続けていると落GO!企画がきっかけで、友達の中からお笑い関係の仕事に就く人も出てきたんです。
――それは嬉しいですね。スタッフがいてくれると、演者の負担も減りますから。
ですよね。僕は落語会を主催する人がもっと増えてほしいと考えています。各地でファンが落語会を主催して、そのファンが身近にいる落語に馴染みのない人を連れてくる。そうすることで、もっと落語に親しみが持てるはず。
――ほんまですね。今までの落語会を振り返って思われることはありますか?
たくさんの人の温かさに触れられる経験をさせてもらいました。20歳そこらの若造に落語会を開催させてくれた三幸さんだけでなく、「毎年楽しみにしてるよ」と声をかけてくれるお客さん。友達にも何度も助けてもらいました。
――人間を描く「落語」で人の温かさに触れる、良いですね。
はい!こうやって僕と落語と出会わせてくれた文枝師匠にも、感謝しかありません。いつか、文枝師匠も僕の企画する落語会に出演していただきたいです。そのためには、定期的に敷居の低い落語会を開催し続けようと思います。それが僕の考える「落語への恩返し」なんです。
――有難うございました。
3月19日、浅草東洋館でお待ちしています!
今回は落GO!企画代表の郷進太郎さんにじっくりお話をうかがいました。とても行動力があり、頼もしい青年でした。
落GO!企画の落語会は、今年2月5日と3月19日(昼夜)に開催されます。お近くの方はぜひ足をお運びください。きっと今まで感じたことのない、若いパワーを得られるはずです。
桂三幸 芸歴二十周年記念落GO!
Testimony 寄席 桂三幸ひとり会~大阪落 GO!~
日時:令和5年2月5日(日)14時開演(13時半開場)
会場:此花千鳥亭(大阪府大阪市此花区梅香3丁目20−17)
出演:桂三幸、桂おとめ
料金:一般 2500円、中学生以下 1000円(全席自由席)
桂三幸・三四郎 兄弟会
日時:令和5年 3 月 19 日(日)
出演:桂三幸、桂三四郎
詳細は後日に。
月亭方正・桂三幸ふたり会~浅草落 GO!~
日時:令和5年 3 月 19 日(日)18 時 30 分開演(18 時 00 分開場)
会場:浅草東洋館(東京都台東区浅草1丁目43−12)
出演:月亭方正、桂三幸、Aマッソ
料金:一般 3500円、27歳以下 2000円(全席自由)
販売URL:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2245702
お問い合わせ
落 GO!企画(担当:郷進太郎)
メール:raku.go.burdock@gmail.com