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SFをもっと身近に!立川わんだ師匠インタビュー&独演会「わんだー落語」レビュー

ふじかわ陽子

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1月から寄席つむぎで執筆を開始された立川わんだ師匠。このわんだ師匠の大阪独演会が、令和5年1月22日に此花千鳥亭で開催されました。大阪での公演は、実に十数年ぶりなのだとか。

この独演会にお邪魔してきました。わんだ師匠からコメントもいただきましたので、わんだ師匠にハマっている方にも、これからハマりたい方にもお勧めの記事です。

じっくりお読みください。

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センスが光る改作と新作

立川わんだ独演会「わんだー落語」が開催されたのは、澄み渡る青空が広がる日のこと。寒さの中にも春の訪れが聞こえるかのよう。

いよいよ開演時間。わんだ師匠は白い着物に黒羽織といった出で立ちで高座に上がります。久しぶりの大阪に緊張をされている印象です。まずは自己紹介で出身中学の先輩たちのエピソードを。まさか、金さん・銀さんのお孫さんも同窓とは…。

その後、東京に4つある落語の団体の紹介をしたり、談志師匠のほのぼの(?)思い出話、一門での出来事などを面白おかしくふっていきます。最初は客席も緊張の面持ちでしたが、10分も経たないうちに満面の笑み。

客席が温まったのを見計らって、一席目は寒い季節にピッタリの『時そば』を。出だしはいつもの『時そば』だったんです。でも、途中からわんだ師匠のアレンジが入ります。お金を数えるときに、まさかソレなの?!とビックリ。サゲも通常のものとは違います。笑いが止まりません。

その後、わんだ師匠が作られた『アニソン和尚』が披露されるのですが、これがもう面白いのなんのって。昭和のアニソンを仏教にまつわる替え歌にされていて、どちらの元ネタも分かると面白さ倍増です。AKB48の『会いたかった』が、お釈迦様のお弟子さんのテーマソングになるなんて、予想外すぎます。

お客さんを笑い疲れさせたところで、中入りです。

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ビックリ箱のような後半戦

さて、後半。出囃子に乗って高座へ上がるわんだ師匠の手に、何やら紙袋が…。実は前半にもあったものなのですが、何か分かりませんでした。この正体が明らかに!紙袋の中身は帽子とサングラス、マイクのよう。装着すると、「落語家・立川わんだ」から「MC・wonder」に。

おもむろに「わんだラップ」が始まります。最初、客席は「何が起きた??」とポカーンとしていましたが、この「わんだラップ」が面白い。ダジャレにつぐダジャレ。途中、コール&レスポンスもあり、気づけば客席もノリノリに。

続いて連作『大山えっちら・おっちら』と『タイムマシン騒動』、2席連続で。深夜のファミレスで売れない漫才コンビが解散の話し合いをしている場面から、物語は始まります。途中挟み込まれる東洋館ネタがリアルで、秘密の共有をしているかのよう。

この『大山えっちら・おっちら』の続編ともいえる『タイムマシン騒動』は、SF落語。といっても、小難しいものではなくドラえもんに慣れている日本人ならすんなり受け入れられるSFです。「あー、その手があったか!」と思ってしまう内容で、ぐいぐい落語の世界へ引き込まれます。

気づけばお時間、終演です。あっという間の約100分、客席はニコニコ笑顔です。高座を下りる前、わんだ師匠がアンケートを取ったんです。

「面白い落語を聞いたと思う人?」

もちろん客席の回答は大きな拍手でした。

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岩崎書店のSFこども図書館シリーズが入口に

終演後に、わんだ師匠からお話をうかがいました!

ーーお疲れ様でした。私は『アニソン和尚』がツボでした。これはどういう経緯で誕生したのでしょうか?

わんだ師:『想い出がいっぱい』の替え歌を思いついてから、一席にしようと他の替え歌も考えて作り上げました。元々ダジャレが好きなので、ほぼダジャレですが。

ーー面白かったです。案外、仏教関係者にも受け入れられそうな。他の大阪のお客さんにも聞いてもらいたい。次回、大阪公演のご予定は?

わんだ師:年内にはしたいです。11月に京都でSFイベントがあるので、その時になるかもしれません。

ーーイベント参加って、SFガチ勢じゃないですか。わんだ師匠とSFの出会いは、いつごろなのでしょうか?

わんだ師:小学3年生か4年生だったでしょうか、岩崎書店の『SFこども図書館』と出会ったんです。海外のSF小説の翻訳です。小学生にとっては衝撃的でした。「こんな面白い世界があるんだ!」って。未来だったら今常識だと思われていることが実現しているかもしれない。それから「SFはカッコイイ」とのめりこんでいきます。

日本の古本屋、スクリーンショット
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SFをやろうと思って落語家に

ーー小学生のころの感動を、大人になっても大切にされているのは素敵ですね。でも、なんで落語家に?SFだったら、小説家の方が良さそうな…。

わんだ師:小説家は新人賞を取らないと、「小説家」になれません。何より、私は小説の書き方がよく分かっていないんです。何をしようかと悩んでいる時に、雑誌『TV Bros.』に掲載されていた落語特集を目にしました。「これから落語の時代だ!」とあったので、「そうなんだ」と思って。

ーーSFを落語で表現することの、メリットを感じられることはありますか?

わんだ師:すぐお客さんの反応が見られる点です。すぐ直せ、次回に生かすことができます。

ーー小説にはない利点ですね。私はとてもSF落語を楽しめたのですが、普段SFに触れることがない方には「SF落語」と銘打っているだけで敷居が高くなるかもしれません。

わんだ師:私のSF落語は難しくならないよう、普通のエンターテインメントとしてやっています。SFといってもライトです。『ドラえもん』や『世にも奇妙な物語』ぐらい。

ーー最後に、わんだ師匠の落語未体験の方へ、一言お願いします。

わんだ師:SF落語といっても、普通のお笑いとして楽しめるものです。会場でお会いしましょう。

ーー有難うございました!

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