今、最もチケットが取れない上方落語家のイベントが、「花詩歌タカラヅカ」です。前回は誕生の経緯を桂春雨師匠にご紹介いただきましたが、今回は本番について。思うように事が進まない中、更なるトラブルに巻き込まれます。
果たして、桂春雨師匠は無事に舞台を終えることができるのか!?どうぞ最後までお楽しみください。
よろこび
みなさん、ようこそ『麗しのタカラヅカ』へ。ご案内役の桂春雨です。
前回に引き続き、10月18・19日の天満天神繁昌亭で行われた『花詩歌タカラヅカ』の第9回公演について書かせて頂きます。
2日間のチケット204枚を、8月18日の午前10時に売り出したところ、発売後1時間で売り切れてしまいました。繁昌亭の窓口は11時からしか開いていないので、窓口に買いにきた方はチケットを手に入れることが出来ませんでした。
嬉しい悲鳴と言うと聞こえは良いのですが、チケットを手に入れることが出来なかった人たちの要望に応えるため、公演の模様をインターネットでの生配信もすることに致しました。
チケットは売り切れ、生配信をすることは決まったのですが、問題は稽古です。
何が問題かというと、コロナウイルス拡散防止のため、密を避けないといけません。
いつも使っている上方落語協会の稽古場は、密を避けるために9人までしか入れず、しかも1時間しか使えません。
2日間、しかも役替わり公演なので、2パターンの稽古をしなければならないのに、稽古は遅々として進みません。
これではラチがあかんというので、公演10日前から、20人まで入れる稽古場を借りました(こちらは2時間半使えます)。ところが、広い稽古場に移っても皆のスケジュールがなかなか合いません。
とうとう、全員揃っての稽古は一度も出来ずに初日を迎えるという綱渡り状態。昼席が16時過ぎに終わり、それから舞台の建て込みです。檜舞台の上へパンチカーペットを敷き、背景の吊物などをセッティングしていると、もう17時です。開場時間まで、あと1時間しかありません。
大急ぎで簡単なリハーサル。
時間が限られていて通しでリハが出来ませんので、必要な場面だけ選んで(本当は全部必要な場面のはずですが)音響・照明・立ち位置・出ハケなどをチェックしていると、あっという間に18時になり開場です。
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それから、落語の出番が無い人はメイクにかかります。衣装替えの回数も多いので、出演者それぞれが衣装の早変わり出来そうな場所を確保しなければいけませんし、手の空いたものはロビーへ出て入場の手伝いもしなければなりません。
そして18時半、慌ただしく幕が開きました。舞台監督がいないので、全てを把握している者が一人もいない状態で本番を迎えてしまいました。前半の落語の出番は4席でたった1時間というコンパクトなもの。
休憩を挟んで、いよいよ第2部の『なりきりタカラヅカ、PUCK』の幕が開きました。
始まれば必ず終わるので、もう何の心配もいりません。元星組トップスター安蘭けいさんの名言「死ぬ以外は失敗ではない」を心に刻んで、出トチリやセリフ忘れがあっても、アドリブを入れて乗り切って、何とか二日間の公演を終えました。
『なりきりタカラヅカ』の間だけは、客席からの写真撮影を許可しているので、ネット上には相当数の写真がアップされている筈です。
興味のある方はチェックしてみてください。どんな様子か少しは分かって頂けるでしょう。
私は二日間役替りで、初日はホテル王の息子のダニー(2014年の月組公演で美弥るりかさんがやりました)役、千秋楽は貴族の御曹司ラリー(同、凪七瑠海さん)役をやらせて頂きました。
上手くいったかどうか、出演者には分かりませんが、初日にお越し頂いた元月組の咲希あかねさん(2014年の月組公演でダニーの秘書役をしてた方です)が、インスタグラムに「☆社長ダニーの#桂春雨 さん。細くてとにかく面白い✨最後ハーミアのベールをもってはける迫真の演技!」と写真入りでアップしてくれていたので、私個人としては満足しています。
来年は10周年記念、5月9日(日)・10日(月)の2日間を予定しています。興味のあるお方は、ぜひ観にいらして下さい。