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【取材記事】第106回 ヨセゲー「お題織り込み噺」レポート

三遊亭遊喜

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2024年4月18日、東京・神保町にある「らくごカフェ」にて、「第106回 ヨセゲー『お題織り込み噺』」が開催されました。三遊亭遊喜師匠、春風亭傳枝師匠、柳亭芝楽師匠、 笑福亭里光師匠が出演。
今回は、お客様からその場でいただいた「お題」を噺の中に織り込む挑戦です。
「臨場感を体感せよ!」とチラシにもあるように、最初から最後までスリリングな時間だったようです。それでは、早速「お題織り込み噺」の様子を覗いてみましょう。

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運命をわける?!  順番とお題決め!

高座にあがる順番をジャンケンで決めるところからスタート。一番手だと考える時間が少ないし、トリはどんどんネタが絞られていくし…ちょっと避けたいところ。運命を分けるジャンケンを前に、師匠方の拳に力が入ります。


呼吸を整えて…最初はグー!
ジャンケン…ポン!

あら、きれいに芝楽師匠が一人負けで、トリ確定!
その後、ジャンケンは続き…
一番手:三遊亭遊喜師匠
二番手:笑福亭里光師匠
三番手:春風亭傳枝師匠
トリ:柳亭芝楽師匠
に決まりました。この順番が吉と出るか、凶と出るか。もはや何番手でもドキドキしますね。トップバッターになることを予感していたかのように、ひとり羽織を着て登場した遊喜師匠は準備のため袖へ。

続いて、今日の大切な「お題」をお客様から募ります。さすが、ヨセゲーのお客さまです。積極的に手が挙がり、お題がどんどん集まっていきます。

たくさんのお題の中から、「金の茶碗」「ゴールデンウィーク」「オッペンハイマー」の3つがメインお題、「一平」「食虫植物」「学歴詐称」がサブお題に決まりました。メインお題は、必ず! 3つとも全て落語の中に織り込み、サブお題は必須ではないけれどノリで入れることがルールです。

時事ネタが多く、旬でありながらも、難題でもあるこれらのお題を、4人の師匠方はこのどのように落語に織り込むのでしょうか?!
お題決めですっかり会場もあたたまり、お客様の期待の眼差しが高座にビシビシ向けられる中、本編開幕です。Here we go!

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そう来るか! の連続に拍手喝采

トップバッターの三遊亭遊喜師匠の登場です。遊喜師匠は、お題織り込み噺企画の時に『ん廻し』を話しがちであることを指摘され、『ん廻し』禁止令発令!

そんな中、今回選ばれた演目は『堀の内』。そそっかしい亭主が自分の粗忽な性格を直せないかしらと、女房に相談すると、堀の内のお祖師さまに願掛けをしなさいと言われて、いざ、お祖師さまを目指して出かけるのですが…。

遊喜師匠は冒頭から「お題」を入れこみ、織り込み噺にエンジンをかけてきました! すると会場から、わーっと拍手が沸きおこります。何という一体感! その後も「お題」が織り込まれるごとに拍手で会場がこたえます。みんなで選んだお題が出てくると嬉しいですよね。ラジオで自分のリクエストした音楽がかかった時のような。

亭主がお祖師さまに向かう道中の陽気さに自然と会場はほっこりしていきます。が!  遊喜師匠の亭主のそそっかしさはとても軽妙でチャーミング。この亭主、喜劇王なのでは?! とすら思えてくる噺ぶりです。

噺はどんどん進み、メインお題、サブお題を次々と登場させます。いや、それどころか、どちらからもこぼれたお題までも全部織り込まれました。トップバッターから本領発揮です!

続いては笑福亭里光師匠。緊張のあまり、羽織と手ぬぐいを忘れてきた里光師匠ですが、里光師匠おなじみの「みじかいらくご」にも「お題」を入れこんでくる気合いの入れようです。

演目は『寝床』。浄瑠璃狂いの大店の旦那が奉公人や店子を集め、浄瑠璃の会を催そうとするが、どうしたことか、みんないろいろな理由をつけてやってこない…。

『寝床』のおもしろさのひとつ、みんながやってこない理由に、上手に「お題」を織り込んでいく里光師匠。「お題」を織り込むことで無茶な言いわけも出てきて、会場は笑いに包まれます。大旦那がだんだん機嫌が悪くなる様子、中盤で機嫌が良くなっていく様子は、滑らかなグラデーションがある噺ぶりで、大旦那の人間らしさがよく伝わってきました。

最後は、本来のオチに重ねて、お題を使ってさらにオチをつけるという技が繰り出されました! 言いわけのくだりで課題クリアと思いきや、最後に巧妙なたたみこみをするとはお見事です。ダブルのオチに会場から感動の拍手が鳴り響きます。

ヒートアップしているところですが、ここでお仲入り~。

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お題の解釈も十人十色

仲入りあけで、春風亭傳枝師匠の登場です。「お題」とは関係なく、趣味である食虫植物の美しさとおもしろさを嬉しそうに話す傳枝師匠。

演目は『錦の袈裟』。若い衆が質流れの錦でそろいの褌をこさえて、吉原であっと言わせる趣向を思いつくが、11人に対して錦が10人分しかない。あぶれた与太郎が女房に相談すると、お寺の和尚から錦の袈裟を借りよと入れ知恵されて…。

傳枝師匠はちょいとひねった「お題」の織り込み方で会場をアッと驚かせます。それは、駄洒落。ちょっと苦しくない? と苦笑を誘う駄洒落もありつつ(それもまたいとをかし)、お題を織り込むだけでも凄いのに、さらに駄洒落に変換させるとはあっぱれ! と会場の心を鷲掴みです。しかし、里光師匠に「みじかいらくご」で先に噺されてしまった駄洒落もあったようです。これも即興だからこそ体験できる、臨場感ある一場面ですね。

傳枝師匠の与太郎のふんわりおっとりした様子と女房の頭がきれる鋭さの描きわけはそれぞれの特徴をよく浮かびあがらせて、2人が纏う空気感すらも伝わってくるかのようでした。

「お題」の織り込み方だけではなく、「お題」の解釈もさまざまであることを見せてくれた傳枝師匠。まさに十人十色の応え方で、ヨセゲーの楽しみ方の醍醐味!


いよいよトリの柳亭芝楽師匠です。「みんなやりすぎー!」と、トリのプレッシャーをポロリとこぼします。

演目は『蒟蒻問答』。江戸で食いつぶした八五郎が蒟蒻屋の親分 六兵衛に世話してもらい、田舎の空寺の和尚になるのですが、ある日、旅の僧侶に禅問答を申し込まれ…。

スマートに「お題」を織り込んでいく芝楽師匠。そりゃあ、違和感はあるのですが、パズルのピースがバチっとはまったような気持ちよさがある織り込み方です。寺男の権助の訛りがいい味を醸しながら噺は進み、いよいよ禅問答を申し込む僧侶が尋ねてきたのですが…え、まさかの?! その人?! と、ここで会場が大爆笑。

寺が朽ちている様子の描写は静かな語り口で、より登場人物の個性豊かなキャラクターが際立ち、八五郎、親分、権助、そして旅の僧侶のやりとりのおもしろさが倍増です。それにしても、登場人物が何かを企む様子は、妙に芝楽師匠にマッチして、その噺ぶりは文句なしに魅了させてくれます。

話し終え後に「ふーっ」と息を吐ききる芝楽師匠。それに答えるように、おつかれさまです! 大満足! という拍手が会場でおこります。ヨセゲーのお客様は本当にあたたかいなと心にしみます。

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高座と会場が織り込まれた良い時間

最後は恒例の集合写真。無事にお題織り込みを終えた師匠方からは、やりきった! という安堵の表情がうかがえます。「金の茶碗」をひっくり返したような色と形のらくごカフェさんの素敵な照明のもと、今日もグッドスマイルをありがとうございます。

お客様からいただいた「お題」を見事に落語に織り込んだヨセゲー。
まさに会場と一緒に創る落語であり、落語会。会場と高座が織り込まれて一体となった会でした。師匠方の華麗に「お題」を織り込む技とセンスをぜひツイキャスでお楽しみください。

さて! 次回のヨセゲーは…5月16日。テーマは「師匠の噺、一門の噺」。それぞれの一門のカラーに触れられる貴重な機会になりそうですね! 必見です。

次回までに「ゴールデンウィーク」をはさみますが、みなさまはどんな連休をお過ごしでしょうか。映画「オッペンハイマー」を見るのもよし、落語三昧もよし。素敵な連休をお過ごしください。では、またお会いしましょう!

■次回予告■
ヨセゲー #107【師匠の噺、一門の噺
2024年5月16日(木)
開場:18:30 開演:19:00
当日:2500円 前売:2000円 ツイキャス配信:1500円
会場:らくごカフェ(東京都千代田区神田神保町2丁目3−5)

■ツイキャス落語会■
ヨセゲー #106【お題織り込み噺
https://twitcasting.tv/c:yosege/shopcart/299122
配信期間 2024年5月2日(木) 23:59 まで

更新の励みになります。ご支援のほどをよろしくお願いいたします

■関連情報■
ヨセゲーメンバーの落語会を一部ご案内します。楽しそうな会が盛りだくさん。
ぜひお運びください。※開催順 ※詳細は各落語会へお問い合わせください


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ヨセゲー    https://twitter.com/yosege_
三遊亭遊喜師匠 https://twitter.com/sanyuuteiyuuki
春風亭傳枝師匠 https://twitter.com/den_shi
柳亭芝楽師匠  https://twitter.com/turunperon
笑福亭里光師匠 https://twitter.com/rikoshoufukutei


笑福亭鶴光一門会
日程:2024年5月22日(水)
時間:18:00開場、18:30開演
会場:天満天神繁昌亭
料金:前売3000円、当日3500円
問合せ:笑福亭鶴光一門会実行委員会 090-8216-3450

鶴光弟子たちの会
日程:2024年5月22日(水)
時間:13:00開場、13:30開演
会場:DAIHATSU 心斎橋角座
料金:前売2000円、当日2500円
問合せ:松竹芸能 06-6258-8085

笑福亭里光の落語会
日程:2024年5月23日(木)
時間:①13:30開場、14:00開演 ②18:30開場、19:00開演
会場:門戸寄席
料金:前売2000円、当日2500円
予約・問合せ:070-3603-3192(安田)、rshofukutei@gmail.com(里光)

第18回落語国領亭落語会
笑福亭里光の兄妹会
出演:笑福亭里光、笑福亭ちづ光
日程:2024年7月6日(土)
時間:18:00開場、18:30開演