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ありがたみ ~麗しのタカラヅカ~桂春雨

桂春雨

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緊急事態宣言が解除され、社会が徐々に動き始めてきました。宝塚歌劇団も同じく動き出したようです。その喜びを桂春雨師匠につづっていただきました。

残念なことに、こちらのコラムをご執筆いただいた2020年7月下旬と現在では状況が変わってきてしまいました。それでも、動き出したことへの喜びを語る春雨師匠の文章をあなたに読んでいただきたく掲載をいたします。

再び安心して観劇できる環境になるよう、切に祈っています。

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ありがたみ

みなさん、ようこそ『麗しのタカラヅカ』へ。ご案内役の桂春雨です。

前回は、コロナ禍で永らく自粛していた宝塚大劇場での公演が、花組『はいからさんが通る』で再開されたことを書きましたが、今回は東京宝塚劇場のことを綴らせて頂きます。

7月17日の宝塚大劇場の公演再開に引き続き、東京宝塚劇場も7月31日から星組『眩耀の谷』『Ray』で、無事に公演を再開致しました(客席数は約半分に制限されています)。

この公演は、星組新トップコンビ・礼真琴さんと舞空瞳さんの東京宝塚劇場お披露目公演です。同作品の宝塚大劇場での千秋楽は3月9日だったので、関東の宝塚ファンの皆さんはさぞ待ち遠しかったことでしょう(通常のスケジュールでは宝塚大劇場千秋楽の18日後が東京の初日です)。

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東西ともに宝塚歌劇の公演が再開されたのはとても喜ばしいことなのですが、一つだけ残念なことがあります。それは両劇場での公演の演奏が、生のオーケストラのものではなく、録音されたものを使用していることです。

宝塚大劇場のオーケストラピットは、舞台と銀橋(オケピと客席の間にある幅120センチの道。歌舞伎の花道みたいな使い方をします)に挟まれた狭い空間に指揮者の先生もいれると24人、東京宝塚劇場は同じく22人もの演奏者が集まって演奏しています。演奏する人たちの感染症対策のために録音したもの流すのは仕方ありませんが、生演奏が醍醐味である宝塚歌劇にとっては、とても惜しいことです。

それにもうひとつ残念なことがあります。それは、東京宝塚劇場は舞台や楽屋が宝塚大劇場より一回り小さいので、密集を避ける必要があるため公演をA日程とB日程に分けて出演者の人数を絞り込んでいることです。

全日程に出演するのが37人、A・B日程のみがそれぞれ21人。1公演58人ずつの出演です。宝塚大劇場公演の時の4分の3の人数になるので、舞台上で同じ力を発揮するには、単純計算で出演者ひとりひとりが33%増しでがんばらないといけないことになります。

大阪の寄席の天満天神繁昌亭も、定席の昼席公演は密を避けるために出演人数を通常の8人から6人に減らしていますので、4分の3に減ってしまったメンバーで舞台をつとめる時の気持ちはよく分かります。

お囃子さん(下座の三味線のお師匠はん。寄席のオーケストラ)も、いつもは2人のところを1人に減らしてますが、こちらは生演奏なので宝塚歌劇より少しはマシな状態です。その2つに客席数が半分になったことも加わって、寄席の出演者のモチベーションを上げるのは、かなり大変なことです。

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こういうマイナス要因があるにもかかわらず、CS放送タカラヅカスカイステージ『タカラヅカニュース』の星組稽古場情報の対談で、主演の礼真琴さんが「自分の組の皆さんと一緒にいるありがたみを感じていられるのが幸せです。こういう状況なので、宝塚(大劇場)の時とはまた違ったベクトルでお客さまにメッセージを伝えられるんじゃないかなあと、あらためて思いながら稽古しております」と、とても前向きに言っていたのが印象的でした。

そして「下級生たちがAとBの2チームに分かれて、良い意味でライバル心を持ってお互いを見て学んでいて、人数が減ったなんて感じさせないパワーに、泣きそうになりました」とも語っていました。

星組は昔から体育会系でポジティブで元気が取り柄の組なので、このような状況でもさらにパワーを発揮してくれて、人数が半分になった客席にも「公演を観にきてよかった」と、ほとばしるエネルギーを伝えてくれることと思います。

私はスケジュールの都合でA日程しか観にいくことが出来ません。どうぞB日程をご覧になる皆さん、私の分まで応援してあげてください。応援する際には、歌劇団から「感染症対策で客席内での発声はお控え下さい」とアナウンスされているので、心の声と拍手でお願い致します。

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