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⑥羽光的人生肯定論~SFと童貞と落語:笑福亭羽光

笑福亭羽光

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2021年5月に真打昇進が決定している笑福亭羽光さんと三遊亭小笑さん。今回は芸歴が近いからこそ生まれるお二人の思い出をつづっていただいています。
タイトルにもある「人生肯定論」とはどういうことでしょうか?様々な経験をされてきた笑福亭羽光さんならではの人生の頑張り方は必見です!

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羽光的人生肯定論

「人生って…何なんでっしゃろな~?」

僕は少し先輩の三遊亭小笑兄さんと飲むといつもこんな事を言って恰好つけているそうだ。小笑兄さんは(また始まった)とおもいつつ、ヘラヘラして僕に話を合わせてくれる。

笑福亭羽光さん提供、無断転載禁止

二人で東北に仕事で行った時、タバコを吸いに野外に出た小笑兄さんの横で星空を眺めながら、僕はしみじみと「宇宙ってどこまで広がってまんねんやろな~」と言ったそうだ。

飲む時は、恰好をつけて自己満足に浸りたくなる……という僕の欲望を小笑兄さんは満たしてくれる。

 中学の同級生の小笑兄さんと鯉八兄さんは、よく2人で飲むらしいが、鯉八兄さんは「お前中学の倶楽部でこうだったよな~」と過去の話ばかりするそうだ。

そんな鯉八兄さんのノスタルジックな気分を小笑兄さんは(はいはい、また始まった)と思いながら満たしてあげるそうだ。

つまり小笑兄さんは天性の幇間持ちの才能があり、一緒に飲む人を気持ちよくさせてくれる。

 年とると酒を飲んで人生を語りたくなる。後輩に「俺らの時はこうやったんやで」と聞かれもしないのに前座時代の話や、お笑い時代、漫画原作者だった頃の話をする。

多分、僕は、自分の人生を肯定したいのだ。

誰しも恥の多い人生をおくるだろうし、本当にあの時のあの選択は正しかったのだろうか?……と迷いながらも人生を進行させ、老いていく。

老人が昔話を孫にするのも、会社の上司が部下に過去を語るのも、結局自分の人生を肯定するためにそんな話をするのだろう。

小笑は他人のどんな人生も否定せず、ヘラヘラとやさしく相槌をうちながら、適度に褒めてくれる。そうすると、ああ僕の生きてきた道は正しかったんや。明日も頑張ろうと思える。

笑福亭羽光さん提供、無断転載禁止

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