寄席につきものの出囃子。三味線はプロが弾いていますが、太鼓や篠笛は落語家の役割です。これは東西どちらも変わりません。入門後の大切な修業の一つといえるでしょう。
笑福亭里光師匠は東京の落語芸術協会で修業をされたので、上方落語協会とは一味違うかも知れません。笑福亭里光師匠を通じて東西の違いを感じてみませんか?上方のお囃子については、桂枝女太師匠と桂米左師匠もつづってくださっていますので、こちらもチェックしてみてください。
太鼓は叩く?
こんにちは。笑福亭里光です。
寿限無の稽古が無事終わりました。
着物の着方・畳み方も教わりました。
楽屋に前座として働くには、もう一つ覚えることが残ってる。
これが太鼓です。
ご存じの方も多いかとは思いますが、寄席では演者ごとに出囃子がある。
出囃子とはいわば入場曲。
要は演者の数だけ曲があるわけです。
寄席は協会(東京では落語協会と落語芸術協会)ごとの公演なので、少なくとも同じ協会(団体)内で同じ出囃子はないんです。
三味線は専門のプロ(いわゆるお囃子さん)がいるんですが、それに合わせて太鼓を叩くのは前座なんです。
芸人の数だけ出囃子があるとは書きましたが、多用できる叩き方もあるので、
実際にはコツさえ掴めれば曲自体を聞いたことがなくても叩けるようになる。
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あ、太鼓(特に和太鼓)は「打つ」なんでしょうか?「叩く」なんでしょうか??
もうかなり前ですが、あるお客様から注意されたことがあります。
僕ではないんですが、共演してた噺家が披露した噺の中に「太鼓を叩く」というセリフが出てきた。
「太鼓は打つもんなんだよ!」と仰るんです。「(その芸人に)言っといた方がいいぞ」と。
その方は歌舞伎に精通してらして、文筆もされてるんです。
たしかに和太鼓奏者の方は「打つ」って仰いますね。
ただ我々は「叩く」ですね。
何でしょう?それまであまり気にしなかったんですが。
日本語としては、どちらも間違ってないようです。
何が違うのか!?
あくまで僕の考えですが、「打つ」と言う場合は太鼓の音そのもの(あるいは太鼓を含めた演奏そのもの)を聞いてもらいたい時、
「叩く」は太鼓の音は何かの添え物になっている時という区別があるような気がします。
つまり太鼓が主役の時は「打つ」で、脇役の時は「叩く」なんじゃないかと。
出囃子の太鼓は添え物ですからね。
こんなこと言うと、歌舞伎だって演技が主役だ!って反論されるかもしれません。
でも音楽があって初めて演技が際立つんです。
テレビドラマだって音楽無かったらつまんないですよ。
だから芝居にとって音楽は重要。
決して脇役ではないと思うんです。
でも出囃子は違う。
最悪、無くても落語はできますから。やっぱり脇役なんですね。
こんなことを言うと、お囃子さんに怒られそうですが。
だから「打つ」ではなく「叩く」で良いと思う。特に東京では。
元々東京には出囃子自体が無かったそうですし。
ちなみに米左師匠の仰る雨音の東西の違い、僕もわからん(笑)
すいません、また脱線してしまいました。
えっと何でしたか?そうそう太鼓を覚えなきゃというところでした。
それにはもっと字数が要ります。
来年に持ち越しましょう。
今年はエラい年でした。
来年はもう少し改善してれば・・
良いお年をお迎え下さい。