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【開催中止】自分に何が向いているのか?5月29日「王道」について月亭天使さんにインタビュー

ふじかわ陽子

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5月29日に天満天神繁昌亭朝席で月亭天使さん主催の演芸探求俱楽部「王道」が開催を予定されています。月亭天使さんの意気込みを知っていただきたいと思い、この記事を公開します。

とても不思議なタイトルの落語会ですが、これには月亭天使さんの思いが詰まっているのだとか。今回は「王道」について、月亭天使さんにじっくりお話をうかがいました。もしかすると、キャリア10年前後の多くの落語家と同じ悩みかもしれません。お楽しみください!

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「王道」に込められた想いとは

――5月29日開催の演芸探求倶楽部「王道」ですが、とても不思議なイベント名ですね。○○落語会といった感じでなく。

この会は私の「王道」を見つけるための会なんです。王道は元々、「楽なやり方」という意味だったらしいんです。そこから定石という意味に転じたと。それで、私なりの王道を見つけたいという想いから、この名称にしました。

――古典落語を磨き上げるか、それとも新作落語にもっと力を入れるかのような?

それだけでなく、「この人に頼んだら、こういう風に盛り上げてくれるだろうな」と思ってもらえる落語家になりたいんです。寄席でもそうですが、私は自分で会をする場合は流れをイメージしています。なので自分が呼んでいただいた場合も、自分の役割を考えていきたいなと。

――なるほど。ただ落語をするだけでなく、自分がどういうポジションでいるかを考える。

10年目までは、とにかく元気に「落語」を提示することが求められていました。でも、それ以降は自分の落語がないと難しいと感じています。今回の「王道」はそれを模索する会にしたいんです。内容は、落語と漫才をそれぞれ一席ずつと座談会になります。

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鶴笑師匠や漫才のにぼしいわしさんたちの胸を借りて

――それは「特技」とは違うものでしょうか?

特技はすでに持っているものだと思います。王道は、そこに至るまでのプロセスなんです。例えば、今回ゲストにお招きする笑福亭鶴笑師匠はサービス精神がめちゃめちゃあって、いつも前に行ってはるやないですか。かといって、自分だけが目立つわけではない。全身でお客さんを満足させようとしている点が、王道を確立している点だと思うんです。

――パペット落語も鶴笑師匠の王道の一つだと?

お客さんを満足させようと考えた結果が、鶴笑師匠のパペット落語やと思うんです。ほぼゼロから考えられたと思います。ほぼゼロから考えるといえば、漫才もそうじゃないですか。それで、今回女性漫才師のにぼしいわしさんにもお願いしています。漫才は自分たちの形を決めるところから始めるから、それがすごいなと思います。

――古典落語はある程度、形は決まっていますよね。

だから、ある程度ウケるとおもうのですが、やはりゼロから何かを生み出したいという想いは常に持っています。ゼロから生み出した笑福亭鶴笑師匠とにぼしいわしさんの胸を借りて、私の「王道」を模索したいと考えています。

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落語は「お笑い」なのか?

――大阪は漫才と一緒の会を開くことは少ないので、面白い会になると思いますよ。

東京は漫才も協会があって、寄席に出演できるのが強みだと思います。落語も漫才も刺激しあえて。大阪だと、所属事務所の関係が大きいのか、一緒に育つことがありません。もっと広がりを持たせるためにも、積極的に共演したいと考えています。

――漫才の手法を取り入れるとか?

落語のイメージを払拭したいのもあります。若手漫才師の中には、落語家のイメージは外国人と同じフジヤマ・ゲイシャ・ハラキリな人もいるんです。全然違う芸能で楽しみ方も違いますが、同じところにいければと。

――というと?

にぼしいわしさんたちは女性芸人お笑いコンテスト「W」の決勝に出場されています。落語家もそういうコンテストに出られるようになりたいなぁ。

――落語がお笑いかどうかは物議をかもしそう……。異種格闘技っぽい感じでしょうか?

笑いを生む点では同じだと思います。自分の引き出しを増やし視野を広げるためにも、漫才やコントといった違うジャンルの方と交わるのも必要だと考えています。もちろん、落語家同志の研鑽も必要です。

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自分のカラーを見つけたい

――落語家同志の研鑽といえば、トップに出演される桂源太くんは今勢いのある若手ですね。

彼はすごいですよ。学生チャンピオンから入門ですから。礼儀作法もしっかりしていて、私が言うのもなんですが、これからの落語界を引っ張っていく落語家だと思います。私は年齢を重ねてから入ってきているので、若さがあるのは頼もしいです。

――天使さんにそう言ってもらえると、源太くんも嬉しいと思いますよ。天使さんは、今まで色んな企画をやってこられているんですし。

やりたいことをやってきただけなんです。お客様が喜んでくださっているのは伝わってくるのですが、満足かというと分からなくて……。それで今回「王道」を開催します。自分のカラーを見つけ、「これが私の落語」というのをお客さんに提示できるようになりたいです。

――今から楽しみです。応援しています。

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天満天神繁昌亭でお待ちしています!

今回は月亭天使さんにじっくりお話をうかがいました。今年で入門11年になり、自分の立ち位置に迷っておられるのが伝わってきました。

私もまた文章を仕事にして15年になるのですが、自分のカラーや売りが分からずにいます。それもあり、天使さんの迷いには共感ができました。

月亭天使さんご出演の演芸探求倶楽部「王道」は、5月29日午前10時半から天満天神繁昌亭で開催されています。開催・延期・中止が決まり次第、また『寄席つむぎ』でもお知らせさせていただきます。

【開催未定】演芸探求倶楽部「王道」

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日時:令和3年5月29日(土)10時30分開演(10時開場)全席指定

会場:天満天神繁昌亭(大阪市北区天神橋2-1-34)

出演:月亭天使、笑福亭鶴笑、にぼしいわし(漫才)、桂源太

木戸銭:前売2000円、当日2500円、中学生以下1500円

お問い合わせ:三栄企画 06-6631-0659(平日10時~17時30分/土日祝は留守電対応)