桂米紫師匠から原稿が届きました!三度目の緊急事態宣言発出により生じた閉塞感を打破するための企画があるそうです。それは一体何なのでしょうか?
今、元気のない方は、桂米紫師匠と一緒に元気になってみませんか?一人だと出来ないことでも大勢なら叶うこともあるはずです。
上方落語インディーズ大作戦
三度目の緊急事態宣言発令。しかもそれが再延長……。
上方落語界でも多くの噺家が、出演キャンセルの憂き目に遭いました。いえ、正確にはまだ遭い続けています。
「落語家さんって、給料制?」などとお目出度い質問をしてくる人がたまにおりますが……
そんな訳ないじゃないですか! 仕事をしない落語家に給料払ってくれるような酔狂な人がいたら、是非紹介して戴きたいもんです。
仕事が無くなれば、当然収入も無くなります。周りの仲間たちが疲弊して希望を失っていく中、「何か出来ることはないか」と、桂米紫・桂吉の丞・桂弥太郎という……まぁはっきり言って世間的にはあまりパッとしない売れない落語家三人で、ある落語会の企画を立ち上げました。
こんな時ですが……いや、こんな時だからこそ、壮大な落語会を開催したいと。
「梅田Lateral」という素敵な会場と出会えたことも、大きな後押しとなりました。
梅田Lateralは今年4月にオープンしたばかりの、配信に特化したトークライブハウス。「コロナ禍で出来る面白いこと」を模索中の梅田Lateralさんとは、目的が合致しました。
そして前代未聞の落語会が、本当に実現することになったのです。
場所は大阪梅田の、革新的なトークライブハウス。上演時間は13時から22時までの9時間。総勢24名の落語家が出演し、出演者全員がきっちりと落語を演じる……そんな有観客公演を、高画質・高音質で配信もするという、前代未聞の落語会が!
東西のフットワークの差
こんな大それた落語会を自主公演で開催しようと決意するに至ったのは、今回の緊急事態宣言に伴う自粛要請への対応で見えてきた、東西の落語界の“フットワークの差”にあります。
とにかく東京落語界のフットワークの軽さには、目を見張るものがありました。
まず動いたのは、東京の寄席組合。「寄席は社会生活の維持に必要なもの」として、休業要請に従わない姿勢を見せたのです。
結局改めて都からの要請を受け、その4日後には休業に応じることになるのですが、直後に鈴本演芸場と浅草演芸ホールが、豪華メンバー出演の無観客寄席公演をYouTube上で無料生配信し、これが爆発的再生回数を記録します。
そして最も大きな話題となったのが、落語協会と落語芸術協会という競合する二つの協会が手を組み立ち上げた、「寄席支援プロジェクト」のクラウドファンディング。なんと開始4日にして目標額の5000万円に達成し、東京の寄席への関心の高さを大々的に世間にアピールしました。
一方上方落語界は、そんな「転んでもただでは起きないぞアピール」の波に、完全に乗り遅れた感があります。
もちろん理由の一つとして、大阪の自粛要請が東京より厳しかったことも挙げられるでしょう。
しかしもっと“根本的な違い”が、東西の落語界には存在するのです。
根本的な東西の差…
東京の落語界とは違って、上方落語界の噺家はそのほとんどが、吉本興業・松竹芸能・米朝事務所といった芸能プロダクションに所属しています。
また実力と看板を兼ね備えながら、協会に所属しない噺家というのも存在します。
そもそも2006年に「天満天神繁昌亭」が上方落語協会の手によって作られるまで、関西は長らく寄席文化自体が途絶えていたのです。
今回東京落語界が起こした一連のムーブメントは、東京落語界の“土壌”と“歴史”があればこそのもので、上記のような様々な理由から“一枚岩になりにくい”上方落語界には、なかなか真似できない部分があります。
かと言って、このままでは「上方落語は元気が無い」という印象を、世間に与えかねません。
確かに東京落語界に比べて、上方の噺家は数も少ないです。
でもフットワークの軽い、面白くて活きのいい中堅以下の噺家が、上方にはたくさん揃っているぞ……という力強いアピールが、今こそ必要です。
プロダクションも協会も絡まないこのインディーズな呼び掛けに、上は芸歴33年の笑福亭銀瓶師匠から、下は入門4年目の桂弥壱くんまで、一門の垣根もプロダクションの垣根も、また協会の垣根も(桂南天師匠は非上方落語協会員)、それら全てを取っ払った勢いのある噺家が(それもびっくりする程安いギャラで)、24名も集まってくれました。
力強い炎は消えることはない
もちろん感染予防には万全を期しての開催となります。
9時間の公演を3部制に分けて、ご入場戴けるのはソーシャルディスタンスを保って、各回50名限定。しかしその分高クオリティの配信を、関西のみならず全国の方にご覧戴いて、上方落語の底力を強くアピールできればという狙いです。
最後にこれだけは書いておきます。
上方落語は、元気です。
スマートな東京落語好きの人からすれば、上方落語は喧しくて、ゴテゴテしていて、猥雑で、品性に欠けるものと取られてしまうところがあるかもしれません。
しかしその分、より生命力に満ち溢れているのが上方落語であり、その何ものにもとらわれぬ無茶苦茶な力強さこそが、上方落語の魅力です。
なので皆さん、今こそ上方落語を聴いてください。 落語好きも、落語初心者も、東京落語しか認めない人も。……あと、そもそも落語自体に何の興味もないという人も。
今こそ上方落語を聴く時です。 疲弊した世の中にどでかい風穴を開けるパワーが、上方落語には漲っているのですから!
梅田Lateralでお待ちしています!
会場でも!配信でも!上方落語大リモートまつり 梅田で9時間落語会
2021年6月24日(木)
【第一部】 13:00開演(12:30開場)
【第二部】 16:00開演(準備でき次第開場)
【第三部】 19:00開演(準備でき次第開場)
三味線(一部二部三部とも)原口陽子
会場:梅田Lateral(大阪市北区堂山町10−11 H&Iビル2F) https://lateral-osaka.com/
入場料/配信視聴料:一部3000円/二部2000円/三部1000円/通し5500円
※会場でご観覧のお客様は、別途ワンドリンク代(500円~)が必要です。
ご予約方法
●会場にお越しの場合 090-6678-7279 beishi-katsura@softbank.ne.jp 《米紫落語会事務局》までご予約ください。
●配信をご覧の場合 https://lateral-osaka.com/schedule/2021-06-24-1223/ からお申し込みください。