現在、人気急上昇中の桂九ノ一さん。桂九雀師匠に平成28年3月1日入門され、現在25歳。若いパワー全開の、とても笑顔が素敵な青年です。
今回はこの桂九ノ一さんにじっくりお話をうかがいました。優勝したら何がしたい?の答えにはビックリです。お楽しみください!
前回は初出場で決勝進出!
――前回は初出場にして、決勝出場でしたね。年季明けしてすぐは快挙ではないでしょか。
若いキャリアで優勝しているお兄さん方もおられるので、僕は全然まだまだです。でも、嬉しかったです。大会自体が初めてだったので、始まる前は少し緊張していました。始まってからは楽しくやらせていただきました。
――若手噺家グランプリの魅力はなんでしょうか?
キャリアが10年以上の先輩も本気で獲りにきておられるところでしょうか。当日何が起きるか分からないのでゾクゾクします。皆さん、一番面白いものをもってきていますから、楽しいです。
――九ノ一さんが注目している他の出場者はおられますか?
僕が個人的に今年注目しているのは、月亭希遊くんです。ここ1年、最も伸びた噺家だと思います。間違いなく、今後も伸び続けると思います。
――後輩もライバルになるんだから、若手噺家グランプリは熱いなぁ。私は九ノ一さんに注目しているんです。友人知人からの推し方が強いのもあるのですが。初舞台からご覧になっている方も応援しておられます。
有難いことです。
――落語のお稽古で気を付けておられることはありますか?
最近はセリフを間違えても、そのまま喋り続けるようにしています。本番と同じ状況です。名前を忘れても大切なセリフを忘れても、その後にどうリカバリするか。そうしておけば、後から困らないかなと思って。
思い立ったらすぐ行動!
――稽古はどのようにされておられるのですか?座って?
いえ、僕は歩きながらです。本域ではありませんが、ブツブツ喋りながら。座っては逆にできないんですよ。じっとしていられない性質で。
――思い立ったらすぐ行動なタイプ?
頭を使うのが苦手なんです。悩めるほど賢くないて、だったら行動してしまいましょう。頭使うのがすごく苦手な結果です(笑)。
――それって噺家に向いている性格だと思いますよ。悩み始めたらキリがないですし。九雀師匠に入門する際も、あまり悩まず?
はい。落語家になろうと決めた時、高校の時の団体鑑賞で見たうちの師匠を思い出したんです。それで落語会へ赴いて、次の日に入門のお願いに伺っていました。その前はNSCに3日ぐらい通ったんですが、合わないと思って辞めました。
――即断即決即行動で、気持ちいいですね。最初は漫才を志したんですか?
はい。でも、コンビでスケジュールを合わせるのも面倒くさいですし、かといってピンでやれるほどセンスに満ち溢れているわけでもない。誰かにちゃんと教えてもらえるものというので、落語がええなと。消去法なんです。今だから言えますが(笑)。
自分の声をレコードの溝に乗せたい
――じゃあ、落語はあまり聞かないまま入門されたんですね。
それが今になっては良かったと思います。アマチュアでやって自分なりの正解を持っていたら、師匠の教えに疑問を持ったかもしれません。でも、僕はそれがないから師匠の教えてくださるものは100%受け入れられるんです。
――自分なりの工夫をしようとは思うことはありませんか?
テクニックは100%、師匠から教えていただいたものです。でも、自分なりに心がけていることはあるんです。よくジャズマンは「舞台に死にに行く」というのですが、僕もそこまでいかなくても次があると思ってやらないようにしています。1回1回、ぶつかっていければ。
――大切ですね。そういえば、音楽がお好きだそうで。楽器は何をされておられるのですか?
バンドではベースを弾いていました。楽器はエレキギター、アコースティックギター、エレキベース、ウッドベースを持っています。今ほしいのは、オルガンです。ハモンドオルガンや足踏みオルガン、三味線にも挑戦してみたいです。
――音楽媒体には興味がありませんか?
レコードが好きです。いつか自分のレコードを出すのが夢なんです。自分の声を溝が奏でる。自分がレコードの溝に入りたいんです。それぐらい好きです。それにレコードは残るものですし。テープやCDとの違いがそこです。
九ノ一さんの夢
――それだけ音楽がお好きなら、もし優勝したら賞金で音楽関連のものを購入でしょうか?20万円あったら、だいぶ買えますよ。
キューバに行きたいです!キューバ音楽ってすごいんですよ。独特のビートがある。国営のクラブがあって、そこのミュージシャンになるには狭き門なのだそうです。国立の音楽大学を卒業して、その中からまた選ばれるんです。
――そう聞くと、私も行ってみたくなります。
血がたぎる音楽を聞くなら、キューバが良いです。20万円あれば、僕は貧乏旅行をするので十分楽しめるはずです。キューバに行きたいです。
――他にやってみたいことはありませんか?こんなところで落語がしてみたい、みたいな。
コムデギャルソンでやってみたいです。スタイリッシュな空間で落語と音楽のコラボができれば。いつかやってみたいといえば、心斎橋に「ジャヌス」というライブハウスがあるのですが、先日ここで落語をやらせていただきました。バンドをやっていたころは出たくても出られない場所だったのに、不思議なご縁です。
――そういうことは、これからも増えるかも知れませんね。他に落語をやってみたい場所は?
サンケイホールです。今まで一門会でも出させていただいたことがないので、いつか出てみたいと思います。
若手噺家グランプリは刺激的
――九ノ一さんの嬉しいことって、音楽以外では何でしょうか?例えば、お客さんからの楽屋見舞いとか。
何もなくて良いですよ。お声をかけていただけるのが嬉しいです。
――これからも落語は古典を?新作はされないのでしょうか?
これから何があるか分かりません。でも、今は古典でやりたいネタが山積みなんです。テクニックを身に着けたり、身に着けていないものを身に着けたりするのが楽しくて仕方がないんです。
――たのもしい。今年は優勝を狙いたいですね。
しっかり準備をやっていたら、チャンスは転がってくると思うので、いつも通りがんばります。
――最後に若手噺家グランプリを楽しみにしておられる方にメッセージをお願いします。
若手噺家グランプリは面白い大会で、出方にとってもお客さんにとっても刺激的です。大いに笑いましょう。良い機会なので、若手の顔と名前を覚えてください。そして、優勝した人に「おめでとう」と言ってあげに行ってください。僕も頑張りますので、応援のほどをよろしくお願いいたします。
天満天神繁昌亭でお待ちしています!
今回はじっくり桂九ノ一さんにお話をうかがいました。「快男児」という言葉がピッタリの方で、お話をうかがっていて私も元気になれました。相手の気持ちを盛り上げるのが上手なのかな。これからが本当に期待される噺家さんです。
桂九ノ一さんは、7月13日(火)の予選第2夜にご出演されます。応援にかけつけてくださいね。
第7回上方落語若手噺家グランプリ2021予選会
▲配信もあります
《予選第1夜》
日時:7月6日(火)17時30分(開場17時)
出演:桂小鯛「親子酒」/月亭天使「H亭の怪談」/桂華紋「八五郎坊主」/桂紋四郎「つる」/桂あおば「キザ男」/桂小留「壺算」/桂弥っこ「向う付け」/露の棗「運命の人」/笑福亭鶴太「平林」
*出演順は当日決定します。
《予選第2夜》
日時:7月13日(火)17時30分(開場17時)
出演:笑福亭喬介「寄合酒」/笑福亭生寿「鹿政談」/林家染吉「壺算」/桂鞠輔「正月丁稚」/桂恩狸「悋気の独楽」/露の瑞「平の陰」/笑福亭智丸「怪談が止まらない」/桂九ノ一「池田の猪買い」/桂笑金「ミスター・スメルバズーカ」
*出演順は当日決定します。
《予選第3夜》
日時:7月20日(火)17時30分(開場17時)
出演:露の団姫「残念さん」/桂そうば「代書」/桂咲之輔「皿屋敷」/露の眞「こぶ弁慶」/桂団治郎「七段目」/桂三実「師匠!」/月亭遊真「真田小僧」/桂おとめ「セールスウーマン」/桂二豆「悋気の独楽」
*出演順は当日決定します。
《予選第4夜》
日時:7月27日(火)17時30分(開場17時)
出演:桂ちきん「押し入れのラベンダー」/露の紫「狼講釈」/桂三語「二人癖」/桂二葉「天狗さし」/林家染八「八五郎坊主」/桂文五郎「七段目」/月亭秀都「茶の湯」/笑福亭笑利「千鳥の香炉」/露の新幸「つる」/月亭希遊「巻き舌職人」
*出演順は当日決定します。
会場:天満天神繁昌亭(〒530-0041 大阪府大阪市北区天神橋2丁目1−34)
木戸銭:前売1500円、当日2000円
お問い合わせ:06-6352-4874(天満天神繁昌亭)