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デストロイヤー親父~噺を肴にもう1杯!:桂三若

桂三若

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桂三若師匠の大爆笑エッセイ第4回です!

中学生の頃に親の存在が見え隠れすると、とても恥ずかしいもの。それがとても目立つ存在ならなおさら。桂三若師匠もずいぶんご苦労をされたようです。

今回も爆笑必至です。電車では読まない方が無難ですよ。お楽しみください!

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デストロイヤー親父

ビールが最高に美味しい季節になりましたね。今回は僕の親父の噺を肴にもう一杯呑みましょう。

うちの親父は苦行かと思えるほど恥ずかしい思いをたくさん僕に与えてくれました。もちろん悪気はないのですが、今でも挨拶は「息子は落語家で親父は落伍者です」と必ず言います(恥)

僕が子供の頃、親父は駅まで自転車通勤をしてました。その頃は「リンカーンで通勤してるんや」と言いながら自転車のベルをチリーンチリーンカーンカーン鳴らしながら走ってました(恥)

僕が中学生の頃、家から駅までは学校の通学路を逆行する形になるのですが、そこを親父が自転車で走ってるだけで充分恥ずかしいのです。

僕が中学2年生の頃、冬場は自転車で走るのが寒いと言い出し、ドカジャンを買ってきて背広の上に着て走ってました。ドカジャン、分かりますか?ビートたけしさんが鬼瓦権蔵役をやる時に着ていた工事現場などでよく見る服です。

そんなん着てるサラリーマンを僕は見たことありません(恥)

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

そしてとうとう中学3年生の冬に大事件が起こります。

親父は「体はドカジャンで暖かいけど、顔が寒い」と言い出し、あろうことか目出し帽を被り自転車通勤するようになります。目出し帽、分かりますか?銀行強盗が被る目と口のとこだけが空いてる帽子です。

通学する中学生たちは驚愕します。前から自転車に乗ってドカジャン着た銀行強盗のようなオッサンが走ってくるのですから。

思春期の中学生たちがこんな人を放置しておくわけありません。学校中で

「通学路にデストロイヤーが現れる」という話題でもちきりになりました。

デストロイヤー、分かりますか?一世を風靡した覆面レスラーです(分からない人は画像を検索してみてください)

そこから噂は都市伝説のように広まり

「デストロイヤーとすれ違うときは親指を隠さないと親の死に目に会えない」

とか(いや…霊柩車か!)

「赤い靴を履いてるとデストロイヤーに連れ去られる」

とか(いや…異人さんか!)

「デストロイヤーを一日に二回見たら死ぬ」

とか(いや…黄色いワーゲンか!)

みたいに話はドンドン膨らんでいきました。

「デストロイヤーの正体はいったい誰やねん?」という話題に僕は身を震わせながら、とにかくうちの親父やということがバレないことだけを願って学園生活を送っていました。

ある日「はったん」と声をかけられました。僕は畑山なのではったんと呼ばれてたんです。「デストロイヤーってはったんの家の方向から走って来るけど誰か知らんの?」

その時は心臓が止まりそうになりましたよ。

ちなみに姉はその時高校生だったのですが、姉の高校でも話題になってたようで
「俺の中学ではデストロイヤーって呼ばれてるけど、姉ちゃんの学校では何て呼ばれてるの?」
と聞くと
「ギャング」

いや、そっちのほうがカッコええやーん!
と少し羨ましくなりました。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

そんな中学三年生のある日、購買部からパンが段ボールごとパクられるというおぞましい事件が起こりました。

犯人は同じクラスのヤンチャな奴だというのは周知の事実です。

先生も当然犯人は分かってると思うのですが皆の前で

「誰か犯人を知ってる奴はおらんかー?」と一応聞きました。すると犯人だと思われる奴が手を挙げたので自白するのかと思いきや、次に発した言葉に耳を疑いました。

「それ!デストロイヤー違いますかー!」

なんでやねん!なんでうちの親父が息子の学校に忍び込んで購買部からパンを盗まなあかんねん!すると他の奴も

「そういうたら今日、自転車に段ボールみたいなん積んでましたよー」

って嘘つけー!!

「家出る時は段ボールなんか積んでなかったわー」と危うく叫んで自爆するとこでした。

その後もなんとかデストロイヤーの正体がバレないよう、中学さえ卒業したらもう大丈夫やねんから、と自分に言い聞かせながら闇に隠れて過ごしてました。

まもなく卒業を迎えるある日、便所でおしっこをしてたら隣にヤンチャなN君が立ちました。そして僕の耳元で「知ってるで、はったんの親父がデストロイヤーやということ」と囁かれました。

この時初めて、口封じで人を殺める瞬間ってこういう時なんやろうなぁと思ったのでした。

あの時なんとか耐えたおかげで今の僕があります。

親父に感謝です。って感謝するかー!!

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三若師匠ご出演落語会「華のお江戸の香りを上方に-第157回元祖大阪名物あほの会」

日時:令和3年8月15日(日)18時開演、17時30分開場

会場:天満天神繁昌亭

出演:桂小文枝、笑福亭仁福、露の都、桂三若、笑福亭由瓶、林家笑丸

料金:前売2500円、当日3000円

チケット販売:チケットぴあ 0570-02-9999<Pコード:597-700>

       セブンイレブン

       繁昌亭チケット窓口(11時~19時) 06-6352-2525

お問い合わせ:06-6785-2525(あほの会)

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