桂三実さんが中心となり高津の富亭で開催されている「ビリートップ」。主なレギュラーメンバ―は、桂小留さん・桂文五郎さん・月亭遊真さん・桂文路郎さんの5人。以前は笑福亭智丸さんもご参加されていたのこと。
平成28年から開始し、令和4年8月30日(火)に開催された会でなんと第30回を迎えたのだそう。愛され続ける会に成長した秘訣を探ってきました。
歴史深い会場で先進的落語会を
上方落語の聖地のひとつ高津宮。六代目笑福亭松鶴師匠の得意ネタ『高津の富』の舞台です。『崇徳院』や『高倉狐(王子の狐)』でも登場するのはご存じでしょう。
境内にある参集殿で「くろもん寄席」など寄席や落語会が開催されており、「高津の富亭」と呼ばれています。高津宮での寄席の開催には五代目桂文枝師匠が尽力され、その功績を讃えるため石碑も建立されています。
この歴史深い場所で開催されているのが「ビリートップ」です。この会が他と違う点は、前半のフリートークにありました。
爆笑につぐ爆笑のフリートーク!
二番太鼓が鳴り終わると、出演者全員が高座の前に集合。この日は桂小留さんが体調不良で欠席し、ピンチヒッターに月亭太遊さんが飛び込み参加です。月亭太遊さんも以前はビリートップに参加しておられていたのだそう。今回は久々のご出演です。
トークは7月に決勝戦が開催された「第8回若手噺家グランプリ」の話題から始まり、どんどんと膨らんでいきます。ここでは書けないような楽屋での出来事も飛び出したんですよ。文五郎さんは、若手噺家グランプリ決勝戦が行われていた日に開催された「若手噺家シランプリ」についてお話してくださいました。この「若手噺家シランプリ」は予選3位の方が出演される笑福亭たま師主催のウエブ番組だったのだそう。
息つく暇もなく繰り出されるトークに、客席は笑いっぱなし。あっという間に小一時間経っていました。ここで今回の出演者を決める「Twitterゲーム」が始まります。これは最新の投稿から数えて○番目のtweetのイイネ数の多さで出演者を決めるというもの。
今回はイイネの数が1番多い人と5番目の人が出演者と決まりました。イイネ数を競う○番目はお客さんから募り、17番に。みなさん、真剣にご自身のTwitterを見つめます。
気になるイイネ数は、月亭太遊さんはイイネ2、桂三実さんはイイネ11、月亭遊真さんはイイネ22、桂文五郎さんはイイネ57、文路郎さんはイイネ22。この結果、今回の出演者は月亭太遊さんと桂文五郎さんに決定しました。
古典も新作も!笑いが絶えない時間
前半のわちゃわちゃなフリートークと打って変わって、後半はじっくり落語を。まず桂文五郎さんの登場です。高津宮が会場ということもあり、神社も舞台になっている『ぞろぞろ』を。軽くコロナ禍に関するマクラを入れ会場を温め、噺の世界へ。砕けた口調の中にある芯のある話術は、師匠譲りだと感じました。ますますこれからが期待されます。
続いて月亭太遊さんが高座へ。
落語の仕事自体が久しぶりだと言う月亭太遊さん。「こないだの会はお客さん1人」と自虐ネタでお客さんの様子を見ながら、新作落語『場末のバステト』を。熊本弁で繰り広げられる摩訶不思議な世界に、お客さんは笑いっぱなし。子猫を捨てにきた女性とババアの掛け合いが絶妙で、ずっと聞いていたいと感じるほど。普段耳にする大阪弁とは一味違う温かみのある熊本弁での落語は、とても興味深いものでした。
トリを飾るのは桂三実さんです。
月亭太遊さんが「いいネタを作っているので、ぜひ聞いてやってほしい」と推薦してくださり、急遽高座へ。そのネタとは『第四話が止まらない』。ネットフリックスで映画やドラマを観ている時に着想を得た新作落語なのだそう。日常の「第四話っぽい」場面を切り抜いていく噺に、笑いと共感が止まりません。丁寧に生活を観察しておられるからこそ、生まれる新作落語だと感じました。
秘密クラブのような楽しさがあるビリートップ
桂三実さんが高座を下りられた後、再び全員集合しアフタートーク。最初から最後まで笑いの絶えない落語会でした。こんなに楽しい会なのにあまり宣伝をしておられないため、客席は少し空席があったものの、その分他では話せないようなトークも聞かせていただきました。まるで秘密クラブのよう。
次回のビリートップは10月25日(火)に開催!今度はどんなトークが飛び出すのか、今から楽しみです。
ビリートップ vol.31
日時:令和4年10月25日(火)19時開演(18時半開場)
出演:桂小留、桂三実、月亭遊真、桂文五郎、桂文路郎
会場:高津の富亭(〒542-0072 大阪府大阪市中央区高津1丁目1−1−29)
木戸銭:前売1500円、当日2000円
お問い合わせ:三実さんのTwitterまで コチラ