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恩師に感謝を~名古屋から大阪にやって来ました:桂三実

桂三実

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人生の岐路に立たされた時、そっと背中を押してくれた人にはいつまでも感謝の念が残り続けるもの。桂三実さんにも、そのような方がおられるようです。それは高校時代の先生なのだそう。進路相談の際に…。

あなたにも、そんな存在はおられますか?もしおられたら、教えてくださいね。

桂三実さんのハートウォーミング(?)な野望、じっくりお読みください。

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恩師に感謝を

いつもこのコラムを読んでくださってる人妻フラワーアーティストの皆様、ありがとうございます。さて今回お伝えする私の夢は”高3のときの担任の先生にお礼を伝える”です。

高校3年生。進路という人生におけるあらゆる決断の中でも特に大きな決断をするときです。親は勿論のこと担任の先生にも進路を伝えなければなりません。

私は高校入学の時点で既に卒業後は落語家になりたいとぼんやり考えていました。数字にして0.8%。これはほんまにこのくらいでした。

そして月日は流れ3年になり、進路の話をする機会が次第に増えていきます。夏の時点で進路希望票には大学進学と書き、志望大学も書いてました。オープンキャンパスにも何回か行きました。でもやはり落語家になる決心をします。

受験をするとなると学校側ありとあらゆる準備が必要だと思いますので、迷惑をかけないためにも早めに進路を伝えなければと思い、意を決して放課後の職員室へ向かいました。

険しい顔で廊下を歩く私に「おい斎藤(※三実の本名)、どこ行くの?」と声を掛けた重村くん。あの時は「いや、ちょっと」と濁してごめんよ。クラス一、いや学年一、いや学校一口が軽い君には言えませんでした。

職員室へ入り、先生のもとへ行き「ちょっと進路のことであのぉ…お話がありまして」と言うと、わざわざ作業を中断してくださり私に椅子に座るよう促してくださいました。ちなみに先生は女性で30代の先生です。

先生と向かい合わせ。緊張はピーク。まごまごしてはいけないと思い単刀直入に「落語家になろうと思ってます」と伝えました。それまで女子に告白したことなかった私はこんなにも誰かの返事を真剣に待ったことはありませんでした。

まぁおそらく反対されるか考え直すよう言われるだろうと予想してました。ところが驚くことに先生は私が言い終わった刹那、「素晴らしいと思う」と口にされました。思わず「…え?」と返してしまいました。これは本来先生がするはずのリアクションです(笑)。

そのあと何を話したか記憶は曖昧ですが、このことだけはロンギヌスの槍なみに脳の奥深くにブッ刺さったままです。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

そして現在に至るわけですが、最近なぜかよくこの時のことを思い出します。あんなにもすんなり受け入れるって、改めて考えたらとんでもなく凄いことだなと。だって普通絶対”え?”ってなるじゃないですか。

大阪の高校生が”吉本行って芸人なります”ならまだしも、愛知の高校生が”落語家になります”ですよ。”どういうこと?”ってなりますやん。僕が橋本環奈さんに付き合ってくださいと告白されても、即答で”はい”とは言えないです。まず”どういうこと?”って言います。

もしあのとき反対され進学を説得されてたら、不安になって諦めていたかもしてません。本当に感謝しかないです。

考えたらそのことで、先生にちゃんとお礼を言ったことがありません。落語家になり11年が経ちますが、先生とは卒業式以来会ってはいません。今どうされてるのか知りませんし、連絡先も知りません。果たして私が落語家を続けていることを知ってくださっているのでしょうか。

もしかしたら先生をまだ続けておられて、進路の話のときとか授業で落語関連の何かが出たときに”先生の教え子に落語家になった子もいましたけども”みたいなことを言ったら、それを聞いた生徒の誰かがすぐさま『愛知出身 落語家』で調べて私を見つけてくれて、先生に報告してくれるかもしれません。

いや待てよ?もしかしたら既に裏垢でTwitterフォローしてくださってるかもしれません。だとしたら先生、もう知っていますよね。今度6月24日に独演会をやります。場所は学生時代何度も通った名古屋の大須演芸場。落語家10年の集大成を区切りとして、名古屋の皆さんにお届けするつもりです。

もしかしたら先生は言わないだけで、本当は私の進路に不安を抱いておられたかもしれません。いや絶対あったはず。独演会が終わったあとに「あの時反対しなくてよかった」と思っていただけたら、私もそのときは落語家を辞めなくてよかったと思えるかもしれません。

でももし忘れられてたらどうしよう。スマホケースに同期の桂小留(ちろる)くんの千社札を貼っていたらどうしよう。”一席目の新作はちょっと分かりにくくて、二席目の古典はよかったからあれ順番逆でもよかったんじゃない”と、めちゃめちゃ本気のダメ出し言われたらどうしよう。

まぁでもその不安もどうやら解消されそうです。というのも、本来この文章を6月24日までに書き上げるつもりが、今日は7月9日だからです。先生、またどこかの会場で。もしくは学校近くのあのたい焼き屋さんで。

なんとか落語家続けてます!

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