六代目笑福亭松鶴師匠は仰天エピソードが多い方としても有名です。でも、本当にあったのか疑いたくなるエピソードも存在します。というのも、楽屋雀たちが面白おかしく脚色することがあるからです。
さてはて、今回笑福亭鶴光師匠がつづってくださったのはネタか真実か?存分にお楽しみください!
ネタ?真実?
先代の文治師匠がまだ伸治の時代、松鶴と飛田新地ののぞき部屋に行きまして、下着姿の女性を見て興奮してると、中におばちゃんが居りまして、手を上下にこすりながら
「お兄ちゃん100円でどうです」
それに答えた桂伸治師匠
「50円に負けろ」
するとおばちゃんが
「あんた江戸っ子やな」
不思議な会話や。
因みに上方で寄席興行を開いた元祖は初代桂文治師匠。文治と言うのは桂派の宗家です。場所は坐魔神社の境内だったそうです。最近上方落語協会で碑を建立致しました。沢山の皆さま御寄付有難うございました。
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そういえばこんな話もあります。
うちの師匠に正月丁稚と言う落語を稽古して頂きました。その中の一部分に「下の歯が抜けると上目の者に死に別れる、上の歯が抜けると下目の者に死に別れる」と言うくだりがあるんです。教えられた通り明くる日松鶴の前でしゃべると
「アホンダラ!上目、下目てな言葉があるわけないやろ、それは目上、目下じゃ、誰がそんな言葉教えたんじゃこのボケ」
あんたや あんたが教えたんや、口まで出たが言えまへんでした。
他にもこんなこともありました。
ある時、松鶴が悪酔いして洗面器に戻しながら
「苦しい、あ~ちゃん呼んできて、背中さすって」
二階へ奥さんを呼びに行くと
「今パン食べてるのや、行けるわけないやろ」
「今パン食べてるさかい行けんそうです」
「あ~ちゃんに言うて来い、いずれ勝負したる」
自分の嫁はんと勝負してどないするね。
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訳の分からん英語も使ってました。
焼肉を御馳走になる事に成りまして、弟子一同が美味しく頂いてると、師匠が野菜しか食べない。
「師匠、何でお肉を召し上がらないんですか」
と聞くと
「わし肉はあかんね、エネルギー体質やから」
アレルギーやと思うんですがね。
「こう見えても神経がバリケードや」
デリケートでっしゃろ。
家にお邪魔すると運動をしてらっしゃいました。
「お~良えとこへ来た、そこのヘルスセンター取ってんか?」
ヘルスメーターや。
「えらいもんやな、ちょっとスポーツしただけで体重が65プログラムに減った」
キログラムじゃ。
「師匠の英語間違いだらけやと評判っでっせぇ」
「何を~お前弟子の分際でわしの英語にクリームつけるのか?」
顔にクリーム塗りたかった。
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雨が降ってきたので電車の駅まで傘持って来いと言われたので、傘持って走っていくと師匠がおばぁちゃんと話し込んでまして、私の顔を見るなり
「弟子が来ました、お先に失礼いたします。おばぁちゃんも早くお迎えが来るといいですね」
ここに書いたのは真実?創作、ネタ 実話 お読みになった方々で独自の判断をお願い致します。