SF新作落語『ペラペラ王国』でNHK新人落語大賞を受賞した笑福亭羽光さん。SF小説は難しくても、落語ならとっつきやすい方もおられるのではないでしょうか。
今回は笑福亭羽光さんにSF新作落語がどのような着想で誕生するかについて、つづっていただきました。SFを深く知るからこそ生まれる発想があるそうです。お楽しみください!
P・Kディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』から着想を得た新作落語
12月14日の会で、ネタおろしする落語は、ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を下敷きにしている。映画『ブレードランナー』の原作である。
近未来、アンドロイドたちは人間そっくりである。それを狩る刑事デッカード(映画ではハリソンフォードが演じる)は、アンドロイド達を始末しながら、次第に自分こそアンドロイドなのでは…という疑念にとりつかれる。アンドロイドを描く事で、人間とは何かを描いたSF小説の金字塔である。
この原作を落語に当てはめてみた。
落語家みたいで、落語家じゃない存在……、セミプロ、落研、タレントで落語やってる人、無数にいる。その存在に対して、色んな考えがある。
落語を広めてくれるんだから良いじゃないか……という考えもあれば、プロの領域を荒らしてけしからん……という考えもある。僕も正直よくわからないが、タレントさんに落語やられたら勝てないと思う。
また小説を書いておられる師匠方が居るが、プロの小説家は文句言わないし、僕もR1グランプリに挑戦していたが、ピン芸人の人から「俺らの領域荒らすな」と言われた事もない。だから多分落語家も文句言うべきではないのだろう。
では、何故悔しいのか?
それはきっとプロの落語家は修行したからだ。各派形態は違えど修行して苦しい思いをしたから落語家として活動出来るのに、それをタレントさんや俳優、有名な人達は、有名であるが故、手軽に出来る。ええとこばっかりとるなや!……と思うのである。
だがしかし……と僕は更に自問する。
プロの落語家とは何なのか?
今回の新作落語『偽者落語家』では、近未来、生活出来なくなったプロ落語家がアマチュアを殺しまくり、落語家とは何かを問い続ける物語である。
ネタおろしがよければ、また何処かで皆様の目に触れるだろう。よくなければお蔵入り。
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