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①48歳でNHK新人落語大賞受賞~SFと童貞と落語:笑福亭羽光

笑福亭羽光

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寄席つむぎに笑福亭羽光さんが初登場です!笑福亭羽光さんは遅咲きの落語家で、なんと34歳で笑福亭鶴光師匠に入門されたとのこと。そして48歳の今年、NHK新人落語大賞を受賞されました。

紆余曲折を経て現在がある笑福亭羽光さん、この「紆余曲折」を寄席つむぎではつづっていただきます。さて、どのようなことがあったのでしょうか?お楽しみください!

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48歳でNHK新人落語大賞受賞

 48歳の僕がNHK新人落語大賞を受賞したニュースは、僕と同じ様に年とって入った後輩の噺家に勇気を与えられただろうか。

 このコンテストは、東西の2つ目落語家(上方では階級が無いので入門して15年未満)が挑戦出来る。予選を通過するのも初めてで、しかも来年5月に真打決まっているので、ラストイヤーである。

 東西から3人づつ選ばれ、本戦は6人。審査員が10点づつ持ち点を持っていてその合計点で競うのだが、僕は満点より1点少ない49点だった。500人入るホールにコロナ渦のディスタンスの為に80人しか客は居ないし、全体的に笑いは少ない状況だった。しかし後から考えると、運が味方してくれたのかもしれない。

 まず、1次審査がコロナの為、今回は動画の審査だった。僕は東京で修業したが、上方落語をやっているので、関西のNHKスタジオに毎年予選を受けに行っていたが、今まで手ごたえを感じた事がない。予選会場にいる関西のお客様にうけないのだ。東京での活動してると、知らず知らずのうちに間の取り方や何かが変わっていたのかもしれない。それが今回は、VTR審査の為、全くお客様を気にせず出来た。

 二次審査もお客様は入れないで、審査員だけの前でやったので、間も狂わず時間オーバーもしなかった。

 そして本戦。真ん中に審査員が座っているからだろうか。最初からかなり重い。僕も爆笑という感じではなかった。他よりもやや受けた……という位。しかし結果的にそれが幸いした。持ち時間ギリギリだったのだ。もし爆笑とっていたら、笑い待ちして時間オーバーしていただろう。順番も良かった。6人中4番目。伝わり辛い新作落語での挑戦だったので、程よくお客様が落語の雰囲気に慣れた位の出番だったので、少しはうけたのだろう。

 色んな偶然に導かれて受賞できたのかな~と思う。戦った相手は全て年下。一回り以上年齢の離れた人もいた。

 スポーツの世界では、若くて勢いのある挑戦者が、ベテランを倒すのも恰好良いが、盛りを過ぎた引退間際の選手が若い挑戦者を倒すのを見ると心が熱くなる。自分ももう一度輝けるかもしれない。まだやれるかもしれない……そんな風に思えるからである。

僕は、芸人と作家を挫折して34歳で入門した噺家だ。入門した時、楽屋には同じ年位の真打の師匠がいた。随分引け目を感じていた。

今の時代、年とって転職した人は会社で年下の上司と接して苦労している人も多いと聞く。

僕の世代は引きこもってる人が多いとニュースで見た。バブル崩壊で価値観が変転し、一度挫折してレールを外れてしまうとなかなか戻れない時代なのかもしれない。

そういう人に、「がんばれ」なんて言えないけど。

休んだら、恐れずにまた挑戦してみて欲しい。

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