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⑰前世の記憶と新宿カウボーイ~SFと童貞と落語

笑福亭羽光

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前世の記憶。SFでよく取り上げられる題材ではないでしょうか。笑福亭羽光さんも、本当はこれがあるのではないかと感じておられるよう。あなたはどうですか?

今回も笑福亭羽光さんワールド全開です!じっくりお楽しみください。

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前世の記憶と新宿カウボーイ

一番古い記憶は二歳の時である。今は無くなった高槻市の実家で、僕は柱にもたれている。祖母に「僕もう三歳になってん」と言うと祖母が「嘘つきなさんな!まだ二歳やろ」と言った。

この会話を覚えている。昔からこのエピソードを友人に話してきたから、真実だと思う。記憶の改ざんはなされていないはずだ。

小さかった僕がごつごつした柱にもたれていた感覚も仏壇のある座敷の匂いも覚えている。

怖い話を聞いた。退行催眠というのだそうだが、催眠術をかけて昔を思い出させる事が出来るらしい。幼少期や、それ以前の母親のお腹にいる記憶も思い出し、それ以前の前世の記憶やあの世に居た時の記憶も思い出す人が居るそうだ。

僕には前世の記憶はないが、信じているし、今世でも意図的に消された記憶があるような気がする。

子供の頃、角川映画で『時をかける少女』を観た。原田知世主演、筒井康隆原作のこの映画。

愛し合った二人が記憶を消され、ラストシーンですれ違う。その切なさに涙した記憶がある。

そういう事が僕の身の周りでも無数に起こっているのではないかと、夢想する。だから偶然の出会いを大切にする。前世で強いつながりのあった人はこの世でもひかれあうはずだ。

僕の住んでいる町で、新宿カウボーイのカネキヨさんという芸人とやたらすれ違う。そんなに知り合いでは無かったのだが、生活のルーティーンが同じなのか、あまりにもすれ違うから、一度飲みに行った。もしかしたらカネキヨさんと前世で何かつながりがあったのかもしれないから。

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