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『屍鬼』と『呪われた町』~SFと童貞と落語:笑福亭羽光

笑福亭羽光

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読書家の笑福亭羽光師匠。緊急事態宣言発出中は、読書をされていたようです。読まれた本をご紹介いただきました。

読まれた本を知ると、なんだか笑福亭羽光師匠の頭の中を少しのぞいているような気持ちになりますね。じっくりお読みください。

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『屍鬼』と『呪われた町』


 小野不由美作『屍鬼』を読了した。単行本なら5冊程ある大長編である。

小野不由美作品は映画で『残穢』を観て興味があったのだが、これだけの大長編を読もうと思ったのは、やはり『屍鬼』がスティーヴンキング作『呪われた町』のオマージュだからだ。

キングの2作目の長編『呪われた町』は、アメリカの田舎町が吸血鬼に浸食されていく。それに戦いを挑む町の人々……という設定である。

大まかにいうと『屍鬼』は、それを日本版に置き換えてある。

『呪われた町』では神父(キリスト教)が、『屍鬼』では僧侶(仏教)が吸血鬼と戦う人間側に居て、キーマンになっている。

両小説は、ホラー小説というカテゴリーだが、信仰とは?生きるとは?人間とは?という命題を深くつきつけてくる。