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【取材記事】第90回ヨセゲー「年末大反省会」レポート

三遊亭遊喜

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 早いもので、2022年も最後のひと月になりました。毎月、東京・神保町にある「らくごカフェ」で開催されている「ヨセゲー」も、2022年最後の開催です。ふだんはフライヤーで演目が予告されているのですが、今回は「年末大反省会」という表題以外の告知がゼロ。

 かろうじて、三遊亭遊喜師匠、春風亭伝枝師匠、笑福亭里光師匠、柳亭芝楽師匠、そして春風亭鯉枝師匠という5人の出演だけが発表されていました。

 ところが、笑福亭里光師匠が新型コロナウイルス感染症からの復帰直後のため、大事をとって休演。前日夕方に特別企画として「緊急座談会!落語界の重大ニュース2022」(里光師匠はツイキャスのコメントにて参加)が発表されました。

 さて、いったいどんな会になったのでしょうか?

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前半は「落語界重大ニュース2022」から

 まずは「緊急座談会!落語界の重大ニュース2022」から。出演者4名に、スマートフォン越しに笑福亭里光師匠が参加です。落語芸術協会のウェブサイトで発表されているトピックを中心に、1月から振り返りました。

 なかなか終わりの見えないコロナ禍のお話、旅立たれた師匠方・先生方の懐かしいお話の他に、二ツ目・真打への昇進が多かったというお話も。
 もちろん、昇進が多いのはおめでたいことなのですが、師匠には師匠の悩みがあるようで……。

 最後に、それぞれの今年の振り返りを。鯉枝師匠をはじめ、多くの噺家さんがお世話になった浅草演芸ホールの職員さんのお話には、爆笑しつつもしんみり。あんなこともあったよね、こんなこともあったよね、と話す師匠方が、一気に昔へタイムスリップしたような表情を見せていらしたのが印象的でした。

 つづいては、柳亭芝楽師匠。泥棒の噺は、「見ている人の心を奪う」から縁起がいい、というお話から、『だくだく』を演じます。

 丸2年分ためた店賃を払うため、家財道具を売ってしまった男。近くに住む画家の先生に頼んで、家中に貼った紙に家財道具の絵を描いてもらうことにします。そんな家に泥棒が入り――。

 そこから始まる「つもり」の応酬のリズムが心地よく、芝楽師匠のパントマイムも巧み!

 落語を聴いている私達も、「そこに長屋がある『つもり』」「演じているのは芝楽師匠1人だけど、登場人物は3人いる『つもり』」――、と「つもり」の世界にいるのだと思うと、不思議です。

 つづいて、三遊亭遊喜師匠が『御神酒徳利』を演じます。

 年末の大掃除の日。不用心に置かれていた御神酒徳利を、水瓶に隠したつもりがすっかり忘れた通いの番頭・善六は、家に帰ってからそのことを思い出します。すでに店は大騒ぎ。女房の力を借り、三度しか使えないという「算盤占い」で見つけたことにして、事なきを得たはずだったのですが――。

 「徳利を見つけたのが三度目の占いでした」と言ってしまえばいいのに……、とあまのじゃくな筆者などは思ってしまうのですが、落語の登場人物は素直に?トラブルの渦中へ身を投じます。その人の良さが遊喜師匠のにっこり笑顔と重なって、気の毒なのに申し訳なくも笑えてしまいます。

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後半は今年の集大成を

 仲入り後は、春風亭鯉枝師匠が登場です。

 鯉枝師匠の今年の反省は、寄席で『ディスイズアペン』と『実践自動車教習所』の2つの噺をかけつづけたこと。笑 「ちょっとサボってた」と衝撃の告白です。
 今日は、この夏に書き上げた新作落語をということで、どよめく客席。「宇宙人から見た地球人」がテーマの新作に、期待が高まります。

 ところが、しばらく宇宙人どうしのやり取りが続いたのち、「変えます!」と急遽、『ディスイズアペン』に演目を変更なさったので、一同びっくり。ここまでのくだりはすべてマクラだったのか、それとも……?もちろん、『ディスイズアペン』は盤石の面白さです。

 最後は、春風亭伝枝師匠による『芝浜』です。

 魚屋の勝五郎はお酒好き。腕はいいのに怠け者で、商いに行きたがりません。やっとのことで魚河岸に出かけた途中に寄った芝浜で、古びた財布を拾ったことからお話が始まります。

 人情噺として聴かせるのはもちろんですが、今宵の『芝浜』は2022年ヨセゲーの伏線大回収!といった風情でした。42両を数える様子に『番町皿屋敷』、かっぽれを踊りたくなる姿に『宿屋の仇討』、勝五郎の棒手振り姿に『豆や』を思い出し――。
 市井の人々を描くことの多い落語ですから、登場人物に共通点は多くあるもの。それにしても……?
 来年の「ヨセゲー」が今から楽しみになってしまう、鮮やかな『芝浜』でした。

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おわりに

 個人的な話で恐縮ですが、筆者が10代後半で初めて聴いて、「落語って、“笑える”だけじゃないんだ!」と衝撃を受けたのが、『芝浜』でした。毎月「ヨセゲー」にうかがうようになった今年の終わりに、『芝浜』を聴けたことが感慨深く思われました。

 また、「年末」「大晦日」をモチーフにした落語が多くあることに、あらためて気づくことができました。慌ただしく忙しない1年の終わりは、ドラマに溢れているのかもしれません。

 第90回ヨセゲー「年末大反省会」は、12月22日(木)までツイキャスでもご覧いただけます。
 次回・第91回ヨセゲーは「壽与世迎初席」。3月に行われる「リクエスト大会」へ向けてのリクエストも募るとのことでしたよ!
 ぜひ、ご一緒に味わいませんか?

ヨセゲー #91【壽与世迎初席】
2023年1月21日(土)
開場:17:30 開演:18:00 ※通常と開演時間が異なります
当日:2000円 前売:1800円 ツイキャス配信:1500円
会場:らくごカフェ(東京都千代田区神田神保町2丁目3−5)
https://twitcasting.tv/c:yosege/shopcart/203239

ツイキャス落語会 ヨセゲー#90【年末大反省会】
https://twitcasting.tv/c:yosege/shopcart/181210
12月22日(木)までご覧になれます。

 寄席つむぎでは、三遊亭遊喜師匠、春風亭伝枝師匠、笑福亭里光師匠のお3方のコラムや動画がご覧いただけます。併せてお楽しみください。

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