昨年の冬に大病を患われた笑福亭羽光さん。その原因について考察していただきました。さてはて、医学的にこのような原因はあるのでしょうか?
大好評!笑福亭羽光さんのSF的エッセイ、第5回の公開です。お楽しみください。
解離性脳動脈瘤の原因はオナニーだった
2019年冬、とある旅先の旅館で、僕は差し入れられた日本酒を飲んだ。
ミニボトルだった事、口当たりよくおいしかった事もあり、一本飲んで床についた。翌朝頭がぼーっとして身体が火照った様に感じ鼓動が早かった。日課であるオナニーをした。
絶頂に達しかけた時、右クビと後頭部の間がピキッと音がしたような気がした。しかしその日は何事もなく一日過ごした。その翌朝、起床と同時に激しい頭痛に襲われた。
頭痛は四六時中続き、夜寝がえりうつのも苦しかった。
旅から帰り、すぐ病院に行きCTスキャンをとったが、問題は見られなかった。
医者は「肩こりだろう」と告げ首の牽引を勧めた。
オブラートにつつんで、医者に「あの~性的興奮によって頭痛は起こりますか?」と聞くと呆れられ相手にしてくれなかった。僕は命に係わると判断し、初老の医師と数人の美人看護師を前にして告白した。
「実はオナニーしている時に後頭部がピキッといったんですが」
医師も看護師も僕が落語家である事を知ってるので、笑いをとろうとしていると思ったようで、とりあってくれなかった。
更に大きな病院に行きMRIをとり、脳の血管が破裂している事が判った。そく車いすに乗せられ点滴され、入院となった。病名は解離性脳動脈瘤。
年末年始と入院した。やはり体調に関しては自分を信じるべきである。
退院後、初めて会った芸人はねづっちだった。
日本酒飲んでオナニーした話を聞いてねづっちは、「これが本当のマス酒ですね」と言った。
「入院中も羽光さんオナニーしたんでしょ」と聞くねづっちに「生き死にがかかってんねん!オナニーなんかするかいな!」と答えると、ねづっちはこう言った。
「なるほど、まさに生死(精子)をかけたわけですね」
終わり