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フラワーカンパニーズのMVと少年時代の夢~SFと童貞と落語:笑福亭羽光

笑福亭羽光

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笑福亭羽光師匠は少年時代に夢があったのだそう。その夢は時間が経つにつれ忘れていくのですが、あることがきっかけで鮮やかに蘇ったのだそう。それは…。

夢の陰にあった大きな失望と挫折も蘇った今、笑福亭羽光師匠は若い人に伝えたいことがあります。最後までじっくりお読みください。

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フラワーカンパニーズのMVと少年時代の夢

 ユーチューブでフラワーカンパニーズのMVを観た。さえない大人になってしまった自分の姿を、少年の姿の自分の幻が、見つめているシーンが印象に残る。

 僕の小学校の時の夢は、探偵か科学者になる事だった。中学時代は理科部に入部し、ニトログリセリン(ダイナマイトの元)を作った事もある。学力が足りず理系に進めなかったので、科学者の夢はすぐあきらめた。法学部に行けば探偵にはなれたかもしれないが、そこまで真剣には考えていなかったのかもしれない。高校時代、大学時代と夢に向かってなにか努力する事はいっさいなかった。

 大学で落研に入り、そのままズルズルと就職せず≪お笑い芸人≫という肩書のフリーターになった。就職活動から逃げたのだ。

 小学校の頃の僕が、落語家になった今の僕を見たらどう思うだろうか。

多分、そんなに驚かないかもしれない。人一倍努力が嫌いで、勉強もスポーツも嫌いだった僕は、中学生位から何となく≪お笑い芸人≫に憧れていた。楽で楽しそうに見えたのだ。当時の大阪では、落語家はお笑い芸人の一種だった。

 僕は色んな面で、かなり恵まれた環境にいたと思う。運があった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 科学者になるとか、探偵になるよりも、≪お笑い芸人≫になる事は格段に簡単である。ネタを作って、お笑いライブのネタ見せに行った段階で、≪お笑い芸人≫と名乗っていいだろう。ただ売れるのは難しいが。≪お笑い芸人≫という職業になる事は簡単だ。

 一生童貞かもしれない、キスも出来ないかもしれないと思っていた僕が、結婚をして子供まで居るのを見たら、小学生の頃の僕は驚くだろう。未来が不安で不安でたまらなかった小学生の僕は、タラコ唇である事と、ふけが出る事、世紀末の予言で世界が滅亡する事、一生童貞である事 の不安で満ち溢れていた。

 いじめや両親との確執により自殺を考えた事があった。本当は死ぬ勇気等なかったのだろうが、包丁を持ってきて部屋で胸にあてた事がある。もしかしたら、その瞬間を両親に見つけて欲しかったのかもしれない。もう自分はいっぱいいっぱいだ、限界だ……というのを判って欲しかったのかもしれない。

 今から思うと、全然大した悩みではなかった。クラスのいじめも、期間的には半年位だったし、大けがしたり小遣いをとられたりはしなかった。

 運良く生き残った人生の先輩として、若い人達(20歳以下の人達)に送りたいメッセージはごくシンプルである。

僕は【私小説落語】という新作落語の形態でメッセージを伝え続けたいと思う

「人生は大丈夫やで」「不幸は襲ってくるけど、何とかなるで」 

と。

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