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京都で観た小劇場演劇~SFと童貞と落語:笑福亭羽光

笑福亭羽光

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今年の8月中旬、普段は東京で活躍中の笑福亭羽光師匠が名古屋から関西にお越しいなられていました。故郷を探訪し切ない気持ちになられた後は、京都で小劇場観劇です。さて、目的は?

淡々と過ぎていく日々がとても愛おしい笑福亭羽光師匠の日常、一緒に感じてください。

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京都で観た小劇場演劇

関西滞在中の空き時間、京都で小劇場演劇を鑑賞する。昔共演した事もある黒木陽子さんという女優さんが出演していたからだ。

東京に出てくる前の24歳位の時、僕は関西で漫才師を名乗りながら実家でニートをしていた。ある日僕は偶然入った吉田寮という京都大学の寮で行われいた芝居を鑑賞する。それが劇団衛星との出会いだった。小さい空間だから共有出来る、客と役者との一体感と、劇団の持っているエネルギーに圧倒され魅了された。

そのあと、代表の蓮行さんに連絡をとって、漫才の台本を書いてもらったり、衛星の芝居に出してもらったりして、蓮行さんから多くの事を学んだ。その時学んだ事は、今の僕の表現活動の基礎となっているといってもいいだろう。漫才師(お笑い)を志しているのに、劇団の代表にいきなり電話するなんて、我ながら滅茶苦茶な性格だったと思う。

今思うと、当時、就職を先延ばしにするため漫才師していた僕は、自信もなく、将来も不安で、何かにすがりつきたかったのだと思う。自分の中に演劇の要素を取り入れたら、今後の表現活動に絶対役立つと直感したのかもしれない。とにかく僕は劇団衛星に近づいた。

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公演にかかわらせてもらって、大学一年生だった黒木さんと、材木やベニヤ板を運んだり、ポスター張りに行ったりもした。黒木さんは、真面目な良い人だった。

演劇は観るより、関係者として参加する方が数倍楽しかった。

それから20年以上の歳月が流れているが、僕は劇団衛星以上の劇団に未だ出会っていない。

多分、演劇を好きになるかとか、その劇団を気に入るとかかどうかは、一期一会なのだろう。鑑賞する時の自分の状態にもよるだろうし。それは落語も同じである。落語初心者が落語を好きになってくれるかどうかは、最初の出会いによるのだと思う。

東京に出てきてから、大きなホールで、映画やドラマに出てる役者さんの出演する芝居を観ても、最初に衛星を観た時の感動や興奮は無かった。僕は年をとってしまったのだろうか……と思う。

小さい手作り感満載の劇場で、開演直前、音が大きくなり、客席が真っ暗になる瞬間のあの、ワクワク感は、今も覚えている。

さて、今回は劇団衛星の芝居ではなかったが、出会った頃は20歳だった黒木陽子さんが圧倒的な存在感を出していた。基礎がしっかりして地に足のついた演技である事は素人の僕が観てもよくわかる。良い年齢の重ね方をして、華がある女優さんになっていた。芸は人なり……の言葉通り、黒木さんの人柄が客席に伝わっていた。