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人生で何度も読み直した小説『IT』~SFと童貞と落語:笑福亭羽光

笑福亭羽光

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読書家の笑福亭羽光羽光師匠が何度も読み返した小説があるのだそう。それは、アメリカの小説家であるスティーブン・キング著の『IT』。何度も読み返すうちに、笑福亭羽光羽光師匠は気付かれたことがあるのだそう。それは…?

年齢によって同じ作品でも感じ方が変わってくるものですね。そんな経験はされたことがありませんか?

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人生で何度も読み直した小説 『IT』

人には人生で何度も読み直す小説がある。

僕にとってはスティーブンキングのホラー小説『IT』である。

最初、僕が小説というものを認識したのは小学校前、母親に「世界の怖い話」を読んでもらっていた。その中に含まれていたのが、ポーの『黒猫』であり、ラブクラフトだった。後にポーが世界最初の推理小説を書いた作家だと知る。

高校生の時にスティーブンキングを夢中で読む。後にキングがポーやラブクラフトの影響を強くうけている事を知る。最近小野不由美さんという作者が、キングの『呪われた町』のオマージュとして『屍鬼』を書いた 

ポー→キング→小野不由美とつながっている事を知ると、我々落語家を含む伝統芸能のように先人から受け継いだ技法を未来につなげていく…という芸術の連鎖を感じ、その輪の中に存在出来る幸せを感じる。

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さて『IT』は映画化もされ、有名だから説明は不要かもしれないが、一応明記しておく。

アメリカメイン州に住む7人の少年少女が、殺人ピエロと戦う話である。映画では少年時代、ピエロに化けたITにとどめをさせなかったので、27年後再び大人になった彼らが集まりITと戦うという2部構成だが。小説を改めて読み直してみて、交互に大人パートと少年パートが展開されていたのに驚いた。少年時代の伏線が、大人パートで回収され、ラストシーンの決戦の部分に向かって加速度的に進んでいくのだ。

少年少女たちが、悩み、大人になっていく姿がリアルに描かれている。『スタンドバイミー』にホラー色をつけて壮大にした感じだ。

僕は、大阪高槻市で過ごした少年期を、彼らに重ねて、物語を読む行為を通して、記憶を追体験しているのかもしれない。そして、僕にとってのIT(怪物)は、やはり自分の内面に居たと思う。